昨日、K-1 WORLD MAX 2010 世界一決定トーナメントがやっていた。
世界一決定トーナメント、決勝ラウンド・・呼び方はいろいろあれど、MAX―すなわち、ミドル級の王者を決定するトーナメントで、ヘビー級の王者を決定するK-1 グランプリが12月のあたまにあり、その前のこの時期、MAXの決勝ラウンドが行われる。
決勝ラウンドに残ったベスト8のメンバーのうち、1日に3試合を勝ち抜いた者が王者になるという過酷な1dayトーナメント!
マイク・ザンビディスは、日本代表決定トーナメントを制した長島”自演乙”雄一郎をKOで降し、初代王者、アルバート・クラウスを降した昨年王者のジョルジオ・ペトロシアンと準決勝で対戦。
その”鉄の拳”で、66戦してダウン経験のないペトロシアンを、かつてないほど追い詰めるも、惜しくも判定負け。
モハメド・カマルを降したドラゴと、ミハル・グロガフスキーを降した佐藤嘉洋が準決勝で対戦。
佐藤が気迫のヒザ蹴りの連打で序盤からドラゴを猛攻、判定で降し、ペトロシアンとの決勝戦が決まった。
共に2試合とも判定勝ち、フルで6ラウンドを戦ってきたため、かなり消耗も激しいが、ポーカーフェイスのペトロシアンに比べ、やや佐藤のダメージの方が大きいように見える。
脚に蓄積したダメージのせいか、得意のローキックもなかなか出ない。
ボクシング技術は明らかにペトロシアンが上!
ポイントで勝るも、逃げ切るつもりなど一切なしで倒しに来る。
「下がっちゃダメだ!」「ここでやんなきゃ、絶対後悔する!」・・と、解説の谷川EPや魔娑斗の声が飛び、観客席ではラスト30秒、”佐藤”コールの大合唱であったが、残念ながらその声は届かなかった。
3ラウンド終了のゴングと同時にがっくりとうなだれ、リングにヒザを着く佐藤の姿が印象に残った。
「今年勝てなければ、もう勝てない」との決意で、今年、生まれた息子に世界王者になるコトを誓って臨んだトーナメントだったが、その夢が潰えた瞬間だった。
「あともう少し」、「あと一歩」―しかし、そのもう少し、その一歩が出ないほど、苦しい時が、人生においてもある。
それでも、その一歩を、気力をふりしぼって踏み出せた者だけが、勝利をつかむコトが出来るのだろう。
ペトロシアンの勝利でMAX初の連覇となる、世界王者の誕生となった。
ペトロシアンは非常に完成度の高いサウスポーで、佐藤も「天才」と評し、魔娑斗にも「やりたくない」と言わしめたほどの男。
スピードやパワーももちろんだが、目(動態視力)が良く、テクニックがズバ抜けており、距離の使い方がバツグンにうまい。
今回のトーナメントで戦ったクラウスとザンビディスは、その距離を殺すため、ガードを固めて接近戦に持ち込んだ。
テクニックで敵わないなら、インファイトでガチャガチャにするという作戦だ。
ザンビディス戦で見たように、サウスポーのペトロシアンの左ストレートに、左フックを合わせる戦法は有効な攻略法といえよう。
しかし、ペトロシアンほどの選手なら、その攻略法に対する対策も講じてくるだろう。
その王座がいつまで続くのか?
ペトロシアンを脅かす選手は出てくるのか?
今後のMAXも目が離せない。