歴声庵

ツイッター纏め投稿では歴史関連(幕末維新史)、ブログの通常投稿では声優さんのラジオ感想がメインのブログです。

松浦玲著「徳川慶喜」

2006年11月05日 20時03分45秒 | 読書
 以前お世話になっている方から、この松浦玲氏の著書の「新選組」を勧めて頂き購入したのですが、この人の考え方というか歴史観に好感が持てたので、「この人なら」と思って徳川慶喜について知りたくて購入しました。
 徳川慶喜という人間は幕末維新史で非常に重要な役割を果たしたのに、それこそ倒幕派寄りの人からも佐幕派寄りの人からも否定的に書かれる人間なので、公平な視点で書かれた本を読みたかったんですよね。何せ慶喜に関しては星亮一氏のような会津史観でしか歴史を見れない人間だけではなく、野口武彦のような良識人でさえも「単なる権力欲の塊」と否定的に書いている程ですから。

 前置きが長くなってしまいましたが、そんな期待を込めて読んでみた松浦氏の著書ですが、期待通り慶喜の事を持ち上げすぎる事もなく、また蔑む事もなく淡々と慶喜について書かれていたので好感が持てました。特に禁裏御守衛総督時代の慶喜についてはよく知らなかったので、松浦氏の説明は非常に参考になりました。実際先日更新させて頂いた「幕長戦争に至るまで」でも、この本を参考にさせて頂きました(^^;)
 そんな非常に好感が持てた松浦氏の著書ですが、鳥羽伏見以降の慶喜の態度に関してだけは違うんじゃないかなと思いました。松浦氏は鳥羽伏見で負けた時点で慶喜は新政府軍に恭順を決めたのではないかと書いてますが、私は江戸城帰還の時点では慶喜はまだ新政府軍の戦いを諦めていなかったと思っています。
 ただこの事以外は松浦氏の説明はどれも納得出来ましたので、今まで読んだ慶喜関連の本の中では一番公平な視点で書かれていると思いますのでお勧めです。

 余談ですが最後に私の慶喜観を書かせて頂くと、「聡明だが胆力が無い」ですね。聡明だからこそ勝てると思った時は、どんなに不利な情況でも諦めませんが、頭の回転が速い反面一旦自分で勝てないと判断すると、他から見ればまだ諦める必要はないのに諦めてしまうと言うのが私の慶喜観です。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿