歴声庵

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甲斐:躑躅ヶ崎館跡、武田信玄墓所、河尻塚

2011年12月03日 18時19分07秒 | 登城記・史跡訪問

 武田信玄と言えば、今でも郷土の英雄として甲斐の人から慕われており、武田神社(躑躅ヶ崎館跡)近くに建つ信玄の墓所は綺麗に整備され観光地化されて今でも多くの人が訪れています。この武田神社と信玄の墓所は山梨県の有力な観光資源であり、信玄は今も物心両面で甲斐の人に恩恵を与えると言って良いでしょう。


 綺麗に整備され観光地化されている武田信玄墓所

 そんな郷土の英雄である信玄の死後、後を継いだ武田勝頼が織田信長によって攻め滅ぼされたのはご存知だと思いますが、武田攻め論功行賞にて、武田家の本拠の甲斐を与えられたのが河尻秀隆です。そしてあまり知られていませんが、信玄と秀隆の墓所は直線距離にして100mも離れていない至近距離に位置しています。


 信玄の墓所と秀隆の墓所の標識。見てもらえば判るとおり、本当に両場所の位置は近いです。

 武田攻めの総大将となった信長の嫡子である信忠の、家老的存在だった秀隆は武田攻めの軍勢の中でも滝川一益に次ぐ地位だったとも言え、論功行賞でも一益に次ぐ規模の恩賞である甲斐一国を与えられます(穴山信君領は除く)。しかし秀隆の甲斐支配の期間は短く、秀隆が甲斐を与えられた三ヵ月後に本能寺の変が勃発し、信長の横死を知った甲斐国人衆に攻められ殺される事になります。
 武田家旧臣や甲斐の民衆の秀隆に対する憎しみは凄い物であったらしく、殺された秀隆の遺体は逆さまのまま埋められたとも伝えられます。秀隆がこれだけ甲斐の人々に憎まれたのは圧制の為と言われていますが、平山優氏の『天正壬午の乱』によれば秀隆が甲斐で発給した文書の数は少なく、占領から三ヶ月やそこらでも、とても圧制をする時間的余裕すら無かっただろう。むしろ甲斐の人々の憎しみを買ったのは信長・信忠親子による武田残党狩りの苛烈さで、秀隆はこの憎しみを一身に受ける事になったと述べています。
 そうは言っても甲斐の人々からすれば、信長親子に対する憎しみと秀隆に対する憎しみを区別する事は出来ず、秀隆は言わば甲斐の人々の織田家に対する憎しみを、一身に背負って殺害されたと言えるでしょう。
 そして甲斐の人々の秀隆に対する憎しみは、その墓石にも反映されているのか、織田家の重臣であり、一時期とは言え甲斐の支配者だったのにも関わらず秀隆の墓石は簡素な物になっています。しかも信玄の墓所が上記のように綺麗に整備され観光地化されているのと対して、秀隆の墓所は公共施設(青年センター)横のゲートボール場の片隅の空き地に、諫言すれば捨て置きされたような場所にひっそりと建っています。


 公共施設の敷地の片隅に、ひっそりと建っている河尻秀隆の墓所である「河尻塚」。訪れる人も少ないらしく、献花も枯れていました。

 同時代の人物なのにも関わらず、信玄と秀隆の墓所の扱いには雲泥の差がありますが、その違いを見ていると甲斐の人々の信玄に対する尊敬の念と、秀隆への憎しみの深さを実感してしまいます。
 それにしても一益を始め、旧武田領を与えれた織田家家臣が、本能寺の変を聞いて皆旧領に脱出したのに、一人秀隆だけ旧武田領、しかも武田家本領の甲斐に留まった真意は何だったのでしょうね。上記したとおり秀隆の甲斐支配時代の文書発給量は極端に少ないので、史料から秀隆の真意を汲み取るのは無理でしょうが、疑問に思ってしまいます。織田家の重臣として、占領地を守る為に不退転の意思で留まったのか、それとも事態を楽観視したのか・・・。信忠の家老格だったと言う事で、個人的には前者と思っていますが。

 河尻塚を訪れた帰りに、躑躅ヶ崎館跡の武田神社にも寄ってきました。「信玄は国内に城を作らなかった」と言う逸話の代名詞でもある躑躅ヶ崎館ですが、躑躅ヶ崎館跡の南側は武田神社として観光地化されていて、あまり城跡との印象はありません。しかし北側は土橋や石垣が現存しており、通説されているような単なる館ではなく、立派な平城だったと実感出来ました。


 北側に残る土橋。


 その土橋の北側に築かれた石垣群。

 訪問日:2011年11月25日

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12月2日(金)のつぶやき

2011年12月03日 01時52分09秒 | twitterまとめ
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11月第4週の声優ラジオ感想 その2 http://t.co/zbKh4LfQ
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この週末は未整理の画像整理をするつもり。先週の板室・大田原の他にも鳥取城址や、甲斐能見城址とか『未整理画像がたくさんあるので。他にも読書感想も結構たまってきたので、この週末は久々に出かけずに自宅での作業に専念の予定です。
by tukaohtsu on Twitter