大分県宇佐市の宇佐神宮で5月27日から行われた第64期本因坊決定戦七番勝負の第2局は挑戦者の高尾紳路九段(32)が羽根直樹本因坊(32)に白番中押し勝ちし、対戦成績を1勝1敗とした。第3局は6月10、11日、北海道函館市のホテル函館ロイヤルで行われる。
一時は羽根優勢とみられたが、高尾がチャンスを巧みにとらえて逆転し、勝負を振り出しに戻した。
黒模様の中で白が動き出した戦いは、右上の黒地が大きく、控室では「黒優勢」の声が上がった。高尾は下辺の黒を攻めたが、苦戦が続いた。
しかし、右上の黒地に手が生じ、高尾は右上の白を取られたものの、中央の黒の二つの大石を攻めて優位に立つ。最後は左辺のコウ争いに勝ち、羽根を投了に追い込んだ。
<高尾九段の話>
右辺の戦いは誤算だらけでした。最後にコウにしてくれたので、勝ったと思いました。ひどい碁で、勝てた理由はラッキーだけです。
<羽根本因坊の話>
下辺の黒を攻められてから、おかしくなりました。白152(11六)と逃げられては負けです。急にひどい碁になってしまいました。
(毎日新聞より抜粋)
◇ ◇ ◇
週刊碁の1面タイトルは「高尾マジック、羽根に粘勝タイに」。
2・3面では「羽根勝勢から転落、実戦心理が影響か?」、「高尾逆境から脱出、乾坤一擲、勝負手奏功」。
高尾九段が苦難の道中を耐え、追い上げから逆転と第1局とは逆の展開となりました。連敗をまぬがれホッとしていることでしょう。
一方の羽根本因坊、後半は足どりが乱れて無念の投了となりました。魔が差す時間のようなものがあるのでしょうか。
右上の「死んだふり」をした白石の微妙な働きがポイントのようでした。
我等ザル碁党でもありますね。「相手の死んでたと思っていた石が、突然息を吹き返す」。この時の無念の心境、本因坊のレベルとは段違い平行棒でしょうが、思いは同じだと思います。
◇ ◇ ◇
今回の対局地は大分県宇佐市の宇佐神宮。
高尾九段のブログ に宇佐市や宇佐神宮、宿泊地でのエピソードが紹介されています。
対局翌日に対局者本人の感想がブログに公開される。時代は変わりましたね。
囲碁ファンへのサービスとしては有難いことです。
私も30年ほど前でしょうか、宇佐神宮を訪れたことがあります。
九州のあちこちを巡っての旅で、宇佐神宮にいた時間も短く、あまり印象に残っていません。
まだ人生を振り返ることなどなかった若造にとって、神社・仏閣などは関心が薄かったのでしょうね。