「はま寿司がとうとう回らなくなったらしい」
そう聞いたので、買い物ついでに立ち寄ってみた。
入店すると、いつもと雰囲気が違う。
レーン上には寿司が一皿も乗っていない。
寂しいというか寒々しい眺めである。
完全閉店して商品棚を空っぽにしたスーパーを連想した。
実は・・・
ぐるりと周回する従来のコンベア方式をやめて、直線ベルトに変更したのである。
作り置いた寿司を回す方式をやめて、客が液晶パネルから注文した寿司だけが、ベルトに乗って届くというシステムになっている。
噂通りに、はま寿司は回らなくなっていた。
他に変わったのは、湯の注ぎ口。
力の要る押しボタンをやめて、取っ手を回す方法に改められた。
これは良い。
子供やお年寄りの力でも注げる。
もうひとつ。
パネルから発注した分が食べた分だから、会計前に皿数を数える人間的な儀式がなくなった。
ボクらは、もともと回っている寿司を取らずに注文して食べていたから、何も不便になったわけではない。
しかし、たくさんの寿司皿が賑やかに回っていた風景が消えて、実に殺風景で無機質な眺めになった。
食欲が刺激されないし、座っていて楽しくない。
全店がこう変わるのかどうかは知らないが、ちょっと心配になった。
近くにあって便利なはま寿司が本当に回らなくなっては困るのである。