経営コンサルタントへの道

コンサルタントのためのコンサルタントが、半世紀にわたる経験に基づき、経営やコンサルティングに関し毎日複数のブログを発信

■■【連載 経営トップ15訓】第12訓 利益は社員の汗の結晶

2016-07-02 19:37:14 | 経営トップ十五訓

■■【連載 経営トップ15訓】 第12訓 「利益は社員の汗の結晶であることを肝に銘ずる」

 グローバルな視点の経営者・管理職 

 


経営トップ15訓 ”当たり前”が実行できる


 経営コンサルタント歴25年を経過した時点で、(特)日本経営士協会の理事長を拝命することになりました。その際に、自分自身を戒める意味で「理事長十戒」を作り、それを日々座右におきながら仕事をしてきました。

 私の経営に対する考え方の基本は「当たり前のことが当たり前にできる」「暖かい管理ができる」、その様な企業作りのお手伝いをしています。

 理事長歴も長くなり、そろそろ後任の選定やその人への傾斜引き継ぎを考える時期といえましょう。この十戒に加筆をして、企業や組織のトップ・管理職の方々に向けて焼き直したものを「トップ15訓」としてまとめてみました。経営トップの皆さんだけではなく、私自身にも必要なことなので「社員」という言葉と共に「会員」という言葉も使っています。

 まだまだ内容的には不充分ですが、今後もこれをベースに推敲・改訂を重ねて参りますが、その第一版として茲にご披露させていただきます。トップの方々や管理職で日夜ご奮闘されている方に、少しでもご参考になれば幸いです。


  第 12 訓 

 

利益は社員の汗の結晶であることを肝に銘ずる


■ 給料に見合った仕事をしていますか?

 ある社員は、通勤ラッシュを避けて、毎朝5時起きで会社に向かっています。電車が空いているので、座ることができるため、自分のやりたいことができます。メールを見たり、書いたり、新聞やスマートフォンで情報収集をしたり、読書をしたりと移動する書斎として利用しています。

 ある営業パーソンは、寒さ暑さの中、くつをすり減らして営業活動に必死です。時として客先で怒鳴られ、納期を迫られ、時には間に合わないからと自分で納品までして体当たりで仕事をしています。

 トップが、クーラーが効きすぎるような社長室で、パターの練習をしていたのでは、何のためのトップか解りません。トップが、トップとしての業務をキチンとすることで社員の努力が報われるのです。

 業務価値に見合った報酬が、社員の納得に繋がり、モラールを高め、成果として出てきます。トップは高給を取ってはいるが、それに見合った業務をしていないのでは、社員のモラールは上がりません。社員の血と汗と涙の結晶が、企業の収益として評価されます。

■ 経営コンサルタントの年収

 私どものような非営利団体では、会員が納める会費が活動費の源泉です。経営コンサルタントの平均年収は2000万円とも3000万円ともいわれ、いわゆる高収入な職業の一つです。

 1億円ともいわれる年収の経営コンサルタントもいます。高級な人が経営コンサルタント業の年収平均額を押し上げていて、実際に年収が1000万円を超えている人は50%にも満ちません。すなわち、平均年収ではなく、中位数で見ると6~700万円位か、あるいはそれより少ないかもしれません。

 年収が500万円に達しない人は4人に1人と結構多いのです。特に私たちの組織で経営コンサルタント資格認定を受けたばかりの経歴の浅い経営コンサルタントは、まだまだ仕事が軌道に乗らず、年会費を納めるだけでも四苦八苦をしています。その様な人達が納めて下さった会費を、高給取りの協会トップ達が湯水のように費用として使うことが許されて良いのでしょうか?

 会費に見合った、あるいはそれ以上のメリットを、会員が感じない限り、一旦入会してもすぐに退会してしまいます。

■ Going Concern

 残念ながら、かつて、私どもの協会は、トップが高給を取ったり、「会員接遇費」と称して、会員を高級クラブに連れて行ったりして、会員の「血と涙の結晶」を浪費してきました。それでも、トップが会員の満足度の高い業務をしているのであれば納得もできます。

 ところが、次第に会員が現状に嫌気を差し、一人去り、二人去りして会員減少が始まりました。雪だるま式に会員数が減少し、知名度が下がり、やがて協会の解散論をも真剣に論議をする程、協会の体力がなくなってしまいました。

 「Going Concern」ということを企業に求める私たち経営コンサルタントですが、自分達の足下である組織が崩壊するようでは、クライアントからの信頼を勝ち取り、維持することはできません。

 変革のための提案をすると「俺たちを批判するのか」というトップでは、変革も起こりません。たまたま提案を受けて、行動を起こし、成果が上がると、それを自分の手柄として偉そうに会員に言い廻ります。

 私たちは、先輩コンサルタントからいろいろなことを学ぶことができるから、年会費を払い、資格維持のための条件を満たして会員としてやってきました。このような状況下では、先輩トップからは「反面教師」として学ぶことはあっても、他に得るところがないような組織であっては、会員でいる価値がないのです。

 謙虚さを忘れず、会員の声に耳を傾けるべきです。耳を傾ける行為は、社員(会員)に好感を与えます。それだけに形式だけの傾聴はすぐにメッキがはげることを知っておくべきです。平素から社員(会員)に対する思いやりを欠かさないことが社員との信頼関係を築くことに繋がります。

 提供するもの、社員であれば労働、私たちの協会会員であれば会費に見合ったメリット、対価を提供し続けることが、その企業や団体の永続性ある成長に繋がると考えます。

ダイヤ青 電通鬼十訓トップページ
ダイヤ青 はじめに
仕事は自ら作るべきで、与えられるべきではない
2  仕事は先手先手と働きかけていくことで、受け身でやるものではない
大きな仕事に取り組め、小さな仕事は己を小さくする
難しい仕事を狙え、そしてそれを成し遂げるところに進歩がある
取り組んだら放すな、殺されても放すな、目的完遂までは
周囲を引きずり回せ、引きずるのと引きずられるのとでは、永い間に天地の開きができる
計画を持て、長期の計画を持っていれば、忍耐と工夫と、そして、正しい努力と希望が生まれる
自信を持て、自信がないから君の仕事には迫力も粘りもそして厚みすらない
頭は常に全回転、八方気を配って、一分の隙もあってはならぬ、サービスとはその様なものだ
10 摩擦を恐れるな、摩擦は進歩の母、積極の肥料だ、でないと、君は卑屈未練となる
附1 電通「責任三カ条」
附2 電通「戦略十訓」

この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ■■【経済の読み方】何が起こ... | トップ | ◆ 7月2日(土)のつぶやき 一... »
最新の画像もっと見る

経営トップ十五訓」カテゴリの最新記事