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■■【経営コンサルタントの独り言】 日本文化財の危機

2015-09-21 20:32:00 | ◇経営特訓教室

■■【経営コンサルタントの独り言】 日本文化財の危機

 時代の流れを時系列的に見ると、見えないものが見えてきます。NHKの放送や新聞・雑誌などを見て、お節介心から紹介しています。


独善解説

■ 日本文化財の危機

 国宝を含む国の重要文化財に指定されている美術工芸品が180点も所在不明になっていることがわかりました。このショッキングなニュースについて、NHKの柳澤伊佐男 解説委員が解説している番組を見ました。

 氏の解説を中心に、消えた国の文化財についてまとめてみました。

 国宝を含む国の重要文化財に指定されている美術工芸品が180点も所在不明になっていることがわかりました。このショッキングなニュースについて、NHKの柳澤伊佐男 解説委員が解説している番組を見ました。

 氏の解説を中心に、消えた国の文化財についてまとめてみました。

◇1 国宝・重文とは

 まず、国宝とか重要文化財(重文)といわれます財とは、どういったものなのかを整理してみたいと思います。

 国の重要文化財というは、形のある有形文化財のなかでも、歴史的、芸術的価値などが特に高いものを指します。

 そのしていは、誰が行うのでしょうか。

 まず、各地の文化財の中から候補が選ばれます。文部科学省関連の文化審議会で審議された候補をもとに、文部科学大臣が指定します。その中でも、極めて優れたものが、国宝に指定されるのです。

◇2 なぜ、発覚したのでしょうか

 国宝や重要文化財の中には、城や寺・神社の建物なども指定されていますが、今回問題となっています、所在不明の重要文化財180点というのは、主に彫刻、工芸品などの美術工芸品でした。

 「文化財の所在が不明」という信じられないこととはどの様な状態なのでしょうか。

 「誰が所有し、どこにあるのか、国が把握できなくなった状態」を指すというのです。国宝や重文の所在がわからないという信じられない状態がなぜ起こるのでしょうか?

 この問題がクローズアップされました契機は、2013年10月にNHKが番組で取り上げた結果、大きな反響に繋がったのです。この報道がきっかけとなって、ようやく国の重要文化財1万500点余りの所在を確認する調査が開始されたのです。

 その結果、国宝3点を含む、合計180点が所在不明と判明したわけです。

◇3 所在不明の文化財

 所在不明となっている国宝3点というのは、刀剣です。

 その一つは、刃渡り25 cmの鎌倉時代の短刀(銘国光)で、江戸幕府の最後の将軍、徳川慶喜が腰に差していたと伝えられています、名刀の一つです。

 主な重要文化財としては、平安時代の貴族、藤原道長の孫にあたる僧侶が持っていたという、「木像不動明王立像」という仏像があります。中世の人々の病や治療法などが描かれた絵巻物もあります。

 さまざまな文化財が消えているのですが、多くが日本の文化を知る上で、貴重なものばかりです。

 もっとも多いのは、上述の3点の国宝を含む刀などの工芸品で、全部で96点が消えてしまっています。

 2番目が、書やお経などの書跡・典籍で38点で、続いて、彫刻17点、会が15点、その他14点という内訳です。

◇4 なぜ不明になってしまったのでしょうか?

 理由はいくつかあります。

 一番多かったのは、所有者が引っ越して、連絡が取れないという状況で、69点あります。価値あるモノが取り残されて、引っ越すという信じられないことが起こるのですね。

 2番目は、所有者が死亡したため、誰に譲られたのかなど、事情がわからなくなってしまって、トレースできなくて行方知れずになってしまっているのです。40点ありますから、ひょっとすると、身近にあるかもしれませんね。

 盗難が最も多い理由かと思っていましたが、33点で全体の20%近くになり、38点は理由もわかりません。

◇5 国宝・重文の管理者は?

 国宝や重文という国が指定した文化財ですので、すべて国が管理しているものと思っていましたが、そうではないのですね。

 所有者は、国以外、お寺や神社、個人、企業など、さまざまなのです。

 文化財の保存や修復のために国は補助金を出しますが、日常の管理は、所有者に任せられています。

 大切な文化財ですから、その所在地や所有者が変わった場合には、国への届け出が義務づけられています。届け出を怠った場合や、うその届け出をした時には、ものにより5万円以下、価値あるものでも10万円以下と制裁金が科されますが、それほど大きな金額ではありません。

 今回対象となっています180点では、盗まれたものは別として、国に届け出がないまま、焼失してしまっているのです。

◇6 問題の背景には何が?

 なぜ、届け出がないのか、主な理由として2つあります。

 そのひとつは、変更届が必要だということを所有者、特に個人所有者に知られていないという実態があることです。

 全体の70%あまりに相当します、131点が個人所有であることが今回の調査で解りました。しかも、そのほとんどが、国の指定を受けてから50年以上も経っているのです。

 個人所有者の多くが代替わりしているため、必要な手続きを知らずに譲ったり、売却したりするケースが多いのかもしれません。

 2つめの理由は、正しい手続きをしないで売買されていることです。

 重要文化財を売り渡す際には、まず所有者が、相手や予定の金額などを、あらかじめ、国に申し出なければならないことになっています。国に買い取りの優先権が認められているのですね。

 国が買い取らない場合、相手と売買の契約をし、新しい所有者が変更届を国に提出します。

 このような手続きに、一定の時間がかかるため、すぐに金銭が必要な人などは、無断で売却することがあるようです。

 国宝や重文ということがわかる書類がなければ、国指定の文化財とわからないまま、売買されてしまうようです。その一方、いわゆる「闇市場」があり、重要文化財ということが付加価値になり、高値で取り引きが成立しますので、不正な売買につがってしまいます。

 今回不明になっています180点のうち、11点は、無断で売却されたことが判明しています。おそらくこれは、氷山の一角でしょう。いったん売買の対象になってしまいますと、所在を確認するのは、なかなか難しくなることは、素人でも想像がつきます。

◇7 再発の防止策はないのでしょうか?

 専門家筋によりますと、所在不明の文化財は、今後さらに増える可能性があると見られています。

 そのような中で、文化庁では、以下のような再発防止策を示しています。

 往復はがきやメールで、所有者と直接連絡を取ったり、都道府県の担当者などが所有者のもとを訪れ、現物を確認したりするという方法があります。

 不正な売買に対しては、古美術商から情報を求めたり、インターネットをチェックしたりして、監視を強化する方針です。

 このような対策で問題は解決するのでしょうか。

 所有者からの届け出に頼った所在確認の方法では、不明になった文化財が次々に出てくることは、あまり期待できそうもありません。

 このような国宝や重文が不明にならないようにするには、盗まれたことが明らかなものや、一定の期間を経ても所在の確認ができないものは、指定を取り消すといった思い切った対応が必要ですと、柳澤解説員は力説しています。

 国宝や重要文化財は、適切な保存管理とともに、広く国民に公開することが求められているはずです。おそらく、不明になったものの多くは、私たちの目に触れる機会がなかったのでしょう。

 国指定の文化財が消えるという事態を繰り返さないようにするために、データベース化して、それを強制的に何年に一回とか、公開の義務を負わせるなどしてはどうでしょうか。それにより、私たち国民も、国宝や重文に接する機会が増え、その結果、関心が高まれば、その保護にも繋がると思います。


  
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