■■顧問料50万円は高いか? 連載小説 経営コンサルタント竹根好助の先見思考経営 49
昼は休みに読むブログ連載小説です。経営コンサルタントとどのようにつきあうと経営者・管理職として、プロ士業として一歩上を目指せるのか、小説を通じて体感してください。
【本書の読み方】 脚注参照
ブログ発行の不手際により、一部の原稿が重複していることがあります。
■■ 4 転機の模索 7 通算49回
幸は竹根に経営支援依頼を考えている。竹根からの返事は「顧問料は高いですよ」、覚悟してくださいというニュアンスが含まれていた。まずは、「ビジネスドック」からはじめようという竹根の提案であった。
コンサルティングにはどのくらいの料金がかかるのか気にかかる幸である。コンサルティング・フィーというのは、コンサルタントやテーマなど諸条件により異なることも知った。コンサルティングのやりかたも企業毎に異なることも学んだ。
【回想2】 1980年代
コンサルタント業界の一般論はわかったが、幸は現実問題、自分の会社ではどうなるのか気にかかる。
「ところで、先生、現実の問題ですが、ビジネスドックの後の顧問料というのはどの程度を心づもりをしておいたらよいのでしょうか?もちろんビジネスドックの結果次第でしょうが・・・」
「ビジネスドックは二ヶ月で百万円ですから、単純に月割り換算すると五十万円ですね。コンサルティングとして何をやるのかにより大きく変化をしますが、私どもの通常のやり方ではそのくらいの顧問料を考えておいてください」
――毎月五十万円というと年間六百万円か、今のうちの現状としては厳しいな。毎月五十万円なら、社員を一人充分に雇える金額だし・・・とにかく、ビジネスドックの結果を見てそれから判断しよう――
「私どもとしては大金をいただくのですから、私たちも全力を尽くします。しかし、それ以上に社長を始め、社員の皆さんががんばらなければ会社はよくなりません」
竹根の顧問料が高いのは業界ではよく知られている。高いと言っても財閥系や銀行系あるいは外資系のコンサルティング・ファームに比べると金額は小さいものである。なぜ、竹根の顧問料が高いかの理由はいくつかある。
一つには、『高額な顧問料を出すのであるから、なんとしても結果として出さなければならない』という意識が企業側にもコンサルタント側にも強く出て、その熱意の結果、強いエネルギーが双方に発生し、企業がよい方向に進むと言うことがある。事実、竹根がコンサルティングをした企業は、竹根へのコンサルティング・フィーの何倍も、時には何十倍、何百倍もの経常利益を新たに生むようになり、実績がその効果を示している。
顧問料が高い二番目の主な理由は、コンサルティングのやり方である。一般的には、コンサルタントが毎月一、二回訪問して、コメントをするというやり方が多い。ところが、竹根経営コンサルタント事務所では、専門分野の異なる複数のコンサルタントがチームを組んで、チーフコンサルタントを中心にコンサルティング業務を推進する。
専門分野の異なるコンサルタントが、異なった視点で企業を診て、各自がその専門性を活かしたコンサルティングをするのに加えて、竹根経営コンサルタント事務所の監査部門がコンサルティングの状況評価を逐次行っている。また、竹根自身が顧問先を定期的に訪問し、顧問先の状況変化を肌で感じてきて、それをコンサルタント・チームに持ち込み、フィードバックをしてゆくのである。
幸は、竹根のコンサルティングのやり方をだいぶ飲み込めてきた。
――竹根との契約は、コンサルティング・ファーム一社との契約であるが、社内に自浄作業がある仕組みがあり、それは人工がかかることが想像できる。このような組織的なコンサルティングであれば成果が上がるのも当然であろう。投資以上に成果が上がればおつりが来ることになる。竹根経営コンサルタント事務所は、大手のコンサルティング・ファームのよいところであるチーム対応と、個人コンサルタントによるきめの細かいコンサルティングの両面を持っているのだな――
■■ 脚注
本書は、現代情景と階層部分を並行して話が展開する新しい試みをしています。読みづらい部分もあろうかと思いますので、現代情景部分については【現代】と、また過去の回想シーンについては【回想】と表記します。回想シーンも、回想1は1970年代前半にはじめて幸が竹根に会ったときと、回想2は、その十数年後、二度目にあったときの二つの時間帯があります。
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