版画草子 All That Print Work

自作版画作品と日常の写真を日記形式で紹介してゆきます。
(画像の無断使用は固くお断りします。)

ドキュメント10.21 その1「山形酒田の本間宗家」

2013-01-30 11:21:23 | その他 Other



<このドキュメントはすべて事実に基づいて書いています。
 登場する人物・場所等はすべて実在するものです>


10月21日(日)午前11時過ぎ

友人の彫刻家Kさんからの電話
「あっ どうも ご無沙汰しています Kです
 実は今 うちにある啓さんの版画を見て 是非欲しいと言う人がいまして えぇ
 これから そちらへ伺いたいと言っているのですが.....」


「おやまぁ それは それは....
 でも 今から.... Kさんの八王子から電車でうちまで来るのは 大変でしょう
 その方へ私のカタログを近々送りますよ
 それにwebで私の名前を検索しても作品を見られますし.....」

Kさん
「いや 是非実物をいろいろ見たいし
 この際啓さんご本人にもお会いしたいという要望でして
 (小さな声で)
 場合によっては かなりの量を買い上げたいらしいです.....」


「本当ですか?
 でも私の所まで3時間以上はかかるでしょう
 それに駅から家まで遠いし...... どうしましょうかね.....」

Kさん
「その方本間さんと言ってかなりお忙しい方で
 今日しか時間が取れないそうなんですよ
 何でもすぐアメリカに戻らなければならないらしくて
 一端 電話を切って こちらで本間さんと相談してみます じゃぁ 後で」






数分後にまた電話
Kさん
「うちにある啓さんの作品をひどく気に入ったようでして
 やはり是非 今日中に会って版画を見たいそうです どうでしょう?」


「判りました それにしても うちに来ていただくのは時間がかかるので
 途中の大宮の駅あたりで待ち合わせて 駅近辺のレストランかなにかで
 作品を見ていただくというのは」

Kさん(そばにいると思われる本間さんと相談している様子)
「あっ それで結構だそうです
 これからすぐ行くそうです
 新宿駅で乗り換える時 啓さんの携帯へ連絡するそうです
 そうそう 黒っぽいスーツで 黄色の事務封筒を持った70歳位の方です」


「わかりました
 連絡お待ちします よろしくお伝え下さい」






突然入って来た願っても無い話しと 急な展開に 
私は興奮し 慌てて見せる作品をかき集め始めました。
でも かなりの量を買うといっても どれくらいか検討がつかないので 
取りあえず近作20~30点を用意する事にしました。

そこへまたKさんから電話
「たった今 本間さんがそちらへ向かいました」


「いやぁーー 大変結構なお話をいただいて ありがとうございます!
 ところで 本間さんって どういう方なの?」

Kさん
「本間さんって 酒田ゆかりの人で
 アメリカの銀行の役員を長く務めているているそうです」


「酒田の本間って 昔のあの豪商の 本間宗家の?
 へぇーー すごいじゃない!
 どうして 知り合いになったの?」

Kさん
「いやーー それがねぇ 
 かなり昔に本間さんが佐藤忠良さんの作品を買いに アトリエに行った時
 忠良さんが私の事を随分誉めていたのを想い出して
 突然訪ねてこられたそうなんですよ」
(だんだん 興奮気味に)
「それでですね 実はね 私の彫刻を1点300万で買ってくれたんですよ!
 山形の会社の玄関に飾るって!」
「だから 水落さんも 高く言って バンバン買ってもらったほうがいいですよ!
 これはチャンスですよ!」


つづく






<注釈>
ご存知の方も多いと思いますが
一昨年3月98歳で亡くなった佐藤忠良さんは
かつて 北海道の全道美術協会の彫刻部の会員でもありました。 
Kさんも同じく彫刻部の会員です。
このブログでも忠良さんのお話書いています。こちら

http://blog.goo.ne.jp/kei-print/e/af149ab27cd012c76b68533a1bdc9435 









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