版画草子 All That Print Work

自作版画作品と日常の写真を日記形式で紹介してゆきます。
(画像の無断使用は固くお断りします。)

新作「Melancholy KAGUYA 2014」

2014-11-18 16:33:18 | 作品 Works




さて 久し振りに新作をご紹介します。
お伽草子シリーズ あるいは昔話シリーズに属する作品です。

この作品の構想を想い至った動機は ある日突然来ました。
頭の何処かにしまい込まれていたデューラーの銅版画「Melancholia」と
「かぐや姫」が 何の前触れもなく 無理なくぴったり重なったのです。
「これはいける!」
鳥肌が立つ程のわくわく感
何かの啓示のごとく 向こうからイメージが近づいて来た感じでした。

では 順に説明してみます。



「Melancholia」     (wikipediaからお借りしました)

ドイツの画家・版画家アルブレヒト・デューラーが1514年に製作した銅版画
多分エングレービング(直刻技法)と思います。

かなり知れ渡った作品なので 版画好きの方なら見覚えがあるんではないでしょうか。

wikipediaの解説には
<「憂鬱」をテーマにしたもので、天使が憂鬱に沈んでいる。
魔方陣をはじめとして、寓意的な画題がいくつも描かれており、様々な解釈がある>

この版画のテーマ「憂鬱」を本歌取りとして
かぐや姫の「憂鬱」と 現代の私の「憂鬱」を描き込んでみよう というのが私の目論みです。
とは言っても この想いを具体的なイメージに変換するのには だいぶ手こずりましたが.....



そして仕上がった作品がこちら


「Melancholy KAGUYA2014」 540×440mm ED70 28色35回刷り

天使の頬づえポーズと同じく かぐや姫も頬づえを付いています。
天使の様な深刻な憂鬱ではなく 姫はどこか遠くを見つめて 想いに沈んでいる表情です。
近々不本意ながら 月に帰らなければならない 気持ちの整理が付かない そんな目線です。

「憂鬱」というより「物思い」感の方が かぐや姫には合っている様に思います。 





半分開いた丸窓の外には キノコ雲が月を隠さんばかりに わき上がっています。
この部分は右下の和歌と連動して 今の私の憂鬱を出してみました。



歌は逆さまなので読みづらいですが 抜き書きしますと

 天(あま)かくす 
 くも立ちのぼる迷乱古里(めらんこり)
 早や 忘れいる
 様ぞ うらめし 

(もちろん自作です 和歌と云うより狂歌ですかね)

和歌の左には 何か漢数字が書かれていますが これは篠笛の譜面です。
曲は「さくら」
かぐや姫が右手に握っている赤い笛と連動しています。
(Melancholiaでは天使の右手にはコンパスの様なものを持っています)



三毛猫が赤とんぼを狙っていますが 多分捕まえる事は出来ないでしょう。
その奥には「火蝋燭」が夜の時を刻んでいます。
この三点はかぐや姫の「物思い」の時間の長さを感じさせる道具として 描きました。


いかがでしょうか。
「Melancholia」のような寓意性はありませんが
ふっとすると 気が沈み込んでしまいそうな 現代の気分を かぐや姫を借りて表現してみました。










井上君のニセコ便り その9-2

2014-11-09 16:11:35 | その他 Other



私の記憶はどうもいい加減だと云う事が前回で良く判りました。
中学の頃のスイカの思い出はあまりに古いので しょうがないところもありますが
この夏にいただいたスイカ 息子達にも分けたのですが
届けたのは 私自身 にもかかわらずです 
独り占め いや 二人占めしたと思い込んでいたんですね.....
でも 美味しかった味はしっかり覚えています。



と云ったところで 井上君のニセコ便りのつづきです。



やはり ニセコの大気の中で食べるスイカが一番美味しそうですね。
スイカを切っている方の愉しそうな顔もいいですが
井上君も(中央) その後ろの奥さんでしょうか いい笑顔ですな。

「収穫」という喜び 久しく私は経験していませんが 
喜びの中でも 最上の感覚なのでしょう。
井上君はすっかりその喜びにハマってしまったんでしょうね。
判る様な気がします。




この写真は10月なので 
今頃はきっと紅葉も終わって 薄ら雪も積もっているかもしれませんね。
これから長い冬に閉じ込められるんでしょうが
でも 今までも また今回のお便りからも 
寒ささえ結構 楽しみながら乗り越える井上君が想像できますな。
強力な助っ人の義弟さんも来られたんですから。


さて 今回のお便りには ちょっと珍しい報告も入っていました。

こちら



健康診断をグラフ化したんですね。
この辺り 几帳面な井上君の一面ですな。

50歳前後に「アカラシア手術」とありますが
このアカラシアとは 食道部分が拡張して戻らない病気だそうです。
未だ原因は判らないとか。

初めて知りました。
怖いですな。

にもかかわらず その後もしっかり呑んで 食べ続けたんでしょうね
55歳頃 γ-GTP が300!!にまでなっています。
(ちなみに 私の今までの最高値は200です)

それがニセコ移住に伴う 体重の減少で 正常値になった様子は
私が絶食ダイエットで減量した結果と同じなんですね。
要するに アルコールのせいだけで GTPが上がったのではなく
食べ過ぎによって肝臓に脂肪が溜まりすぎたのが 原因のようです。
食い過ぎに寄る脂肪肝ですな。

今年の私の健康診断も 前日まで呑み続けたにもかかわらず 正常でした。
大きな胃潰瘍にも 休肝日なしにも めげずにです。

私の極端ダイエットより 
井上君の労働による自然減量の方が やはり断然 健康的なのは言うまでもありませんが。


で この話題に直接関係はありませんが
先日 同期の友人が肝臓がんで亡くなりました。
64歳です。

昨年暮れまで一緒に呑んでいた仲なのですが 
この夏前頃から 体調が思わしくなくて 検査入院して そのまま逝ってしまったそうです..... 
かなり ショックでしたね。

しっかり働くのも 愉しく呑むのも 健康あってこそ可能だと つくづく思いました。


いや 最後は妙に深刻になってしまいましたが
我々の世代はその様な危険にも直面しているんだという事ですな。

井上君 お互いに身体には気をつけましょうね。

では 近況報告 ありがとうございました。
またいづれ 話題がありましたら お知らせ下さい。





いや 何ですな 大した事ではないんですが.....
もうひとつ 話題を

今日から大相撲九州場所が始まりました。(先程まで 観ていました)
例の「西の花道の妙齢な御夫人」
今回はいつもの場所には 別の若い着物のおねぇさんが居まして
がっかりしたのですが(この方もいいんですがね)
しきりの合間 ようく観察していましたら 居ましたね!

向正面 二人の審判員の左の親方の直ぐ左斜め後ろ 溜まり席の一番前に。
以前よりもっと目立っていましたね。
ライトのせいか ちと 老けた様な感じではありますが
相変わらず正座で 姿勢が良く 
着物の上からでも大きな胸と判る 様子のいい方です。 

大体 九州場所は綺麗どころというか 玄人筋というか
着物姿のおねぇさん・おばさん・おばぁちゃんが多いのですが
彼女は断トツですな。
多分 場所中欠かさず観に来ていると思います。

皆さんもしきりの合間の愉しみとして探してみてはいかがか。













井上君のニセコ便り その9-1

2014-11-02 16:21:18 | その他 Other



ここ埼玉も紅葉が始まって 過ごし易い秋真っ盛りとなりました。
晴れ上がった日は実に気持ちがいいです。
しかし先日は木枯らし1号も吹いたようで そろそろ鍋物恋しい季節でもありますが...

そんな中 久し振りにニセコの井上君から近況報告をいただきました。
彼 増々元気に 意欲満々の日々を送っているようです。

では



なんと 家を建ててしまったんですね!
それも設計図から起こすなんて!
物置を作るのとは訳が違うでしょう....
建築許可申請とか 付随する申請書類作成なんかも 大変じゃなかったかと想像します。
凄過ぎますな!

でも 何かと心強いお仲間がそばに来て良かったですね。




ここに出て来る「伝助スイカ」
北海道の人や スイカ好きの人には結構知られた品種です。
当麻町で栽培されているスイカで 抜群に甘くて美味しいのですが
めっぽう高くて 容易には買えないスイカです。
(うん万円もするとか...)
この伝助スイカより遥かずっと以前から 甘くて有名だったのが「雷電スイカ」と云うのがあります。
(私の中学生頃からありましたね)
確か岩内の近くの雷電という地で作られ始めたから この名が付いたようです。
井上君が作ったスイカはこの雷電スイカではないでしょうか。
(違ったらご免なさい)
 
実は このスイカ 夏に送っていただいたんですよ。
こちら



我が家二人では食べきれないと思ったのですが 
たまたま子供達におっそ分けするチャンスを逃してしまって 二人でしっかり平らげました。
(いいえ、ちゃんと息子のところと半分わけしました!
ただ、こんなにおいしいなら分けなきゃよかったとかなんとか 話し合ったような.....相方)



美味しかったです!
初めて収穫したとは思えません。

野菜作りだけでなく 家まで作って....
研究熱心なんですね。
それと情熱 
我らの同輩とは思えません。



さてさて 次は




「千客万来」 そうでしょうね。
風光明媚で尚かつ新鮮で美味しいものを作っていると聞くと
そりゃぁ皆さん 行ってみたくもなりますな。

でも 対応する井上君一家は大変ですね。
夏場の作業に差し障りが無ければいいですが。
私がお訪ねするとしたら 邪魔にならない真冬にしますかね。
北海道の醍醐味は やはり冬ですから。
(と言っても何時になるやら....)



と云う訳で 次回につづきます。