版画草子 All That Print Work

自作版画作品と日常の写真を日記形式で紹介してゆきます。
(画像の無断使用は固くお断りします。)

よらしむべし

2013-12-23 17:07:09 | その他 Other



さてさて 妙なタイトルで始めてしまいましたが
この言葉
「由(よ)らしむべし 知らしむべからず」
と続くのですが ご存知の方も多いと思います。

私は半端な知識で
「民は従わせればいいのであって 余計な事は知らせる必要はない」
と理解していました。
こんな言葉を急に思い出したのは 
つい先日 特定秘密何とかが決まったせいでもあるのですが
それ以前の原発事故問題にしても
やはり政府・官僚は市民に対する愚民意識が強いものなんだと うんざりしていました。

しかし本来のこの言葉の意味は違うんですね。
出典は「論語」で くだいた解釈として
「常日頃 民に信頼されていれば 細かい事を知らせなくとも 政治は巧く進む
 よって民は煩わしい事を考えずに 日々の労働・生活にいそしむ事が出来る」
と云う中国古来の理想の政体
「徳治政治=政治は徳を備えた人物 信望が厚い人物が行うべき」を説いたものだそうです。


正反対ですな....
論語なんて 高校の漢文の授業でほんの一部しか読んだ事がない上 
まともに聞いていなかったので しょうがないのですが。

でもですな.... 
あの三白眼氏を見ていると 
やはり最初の中途半端な解釈が正しいように思えてしかたがありません.....


今年も押し迫ったというのに どうも「爺むさい」話になりました。




毎年クリスマス前に咲く「シャコバサボテン」です

年末までにもう一度更新したいと思っているのですが
まだ年賀状も仕上がっていない状態ですので さて どうなりますか.....

とりあえず 皆様 良いお年を 

 




皇国のコウハイ

2013-12-14 18:06:43 | その他 Other



やはり師走は何かと気ぜわしいですね。
12月に入ってから我が家では 白菜と沢庵を漬け込んだり
先週の土日は泊まりがけで同期の忘年会に出席したり
年賀状の準備をして 篠笛の制作をこなしたりと フル回転でした。

その忘年会
同期の息子さんが鎌倉七里ケ浜で経営するお寿司屋さんで行われたのですが
まぁ サービスが良くて 4時間飲み放題! お寿司のお土産付きという大盤振る舞い
すっかりお店のご好意に甘えて 足腰立たないくらい 全員よく呑みましたね。
その後二次会にも行って 足掛け15時から22時まで延々と宴会!!!
私も胃潰瘍の治療中にも関わらず たっぷりいただきました! 冷や酒・熱燗交互に.....

折角鎌倉まで来たと云う事で 夜は大船で1泊して 
翌日は山本コータロウの「岬めぐり」でお馴染みの三浦半島周遊のドライブに同期6人で行ってきました。

中でも私が一番印象に残ったのは横須賀の「戦艦三笠」



意外と小さいんです。
ほぼ「青函連絡船」並みの大きさです。
 三笠 全長 131.7m
    幅  23.2m
    総排水量 15.140トン
 青函連絡船(八甲田丸・十和田丸等)
    全長 132m
    幅  17.9m
    満載時排水量 8,313トン

ちなみに 戦艦大和は 全長 261m 幅 39m 満載時 72,000トン



維新から僅か三十数年で大国ロシアと この様な船で戦ったんですね。
大したものではありますが........

「三笠」に関しては 
司馬遼太郎の「坂の上の雲」や
吉村昭の「海の史劇」などの小説を読んでいたので 感慨ひとしおでした。


ロシア艦隊の砲弾

確か司馬遼太郎の記述であったと思うのですが(違っていたらご免なさい)
海戦時 連絡係水兵が甲板に降りた時 ロシア砲弾が着弾 爆発し
瞬時 三笠側砲兵が 頭を丸ごと吹き飛ばされたにも関わらず 
砲弾を抱えたまま数メートル駆け出して行くのを 目撃したと言う話が出ていました。

108年前ではありますが
実際にこの甲板であった事なのだと思うと 何とも言えない戦慄を覚えました。

日本側戦死者 117名  ロシア側 4830名

「皇国ノ興廃、コノ一戦ニ在リ」で始まった会戦も日本の大勝利で終わりましたが
果たして 良かったのか 悪かったのか.....
「コノ一戦」から40年後 無惨な荒廃を見るのですから.....


と言った訳で この後も楽しい三浦半島周遊が続くのですが 随分長くなりました。
今日はこの辺で




お口直しに



先月作り始めた干し柿が完成しました。
ちょっと見栄えが悪いですが とっても美味しく出来ました。





 

新作紹介 その2

2013-12-04 10:37:02 | 作品 Works


さてさて 「運用」を誤ると大変な事になる というのは
2年前にも経験して 未だに苦しんでいる状況があるのに
またも 一歩「運用」を間違うと 危険この上ない法律が 妙に急いで作られようとしている昨今
皆様いかがお過ごしでしょうか。


今回は引き続き 新作のご紹介
五大おとぎ話の一つ「花咲か爺」をテーマにした「花咲か爺と木伐り爺」です。

(ちなみに五大話とは 桃太郎 金太郎 浦島太郎 花咲か爺 です。
 その後につづくのは さるかに合戦 一寸法師 舌切り雀 鶴の恩返し 笠地蔵
 誰が決めたのかは判りませんが.....)


「ここ掘れワンワン」で始まる「花咲か爺」は皆さんも良くご存知と思いますが
このような 良い爺ぃと悪い爺ぃ(あるいは婆ぁ)が出てくる話として
「瘤取り爺」「舌切り雀」などがあります。

共通するのは
正直で 欲は控えめ 文句も言わず 優しくて 我慢強い 良い爺・婆
方や 嘘つきで 強欲 人を羨んで 意地悪 楽して生きようとする 悪い爺・婆
そして 結果 良い爺・婆が幸せになる。

仏教的・儒教的な影響が大きいのでしょうが
いかにも時の権力者に都合のいいモデル達です。

でも現代では このままではちっとも面白くはありません。
そこで今回の作品では ひとひねりした爺達を登場させました。


2013年制作 SIZE 540×455mm ED 70部 23色29刷 赤貝箔使用



枯れ木に花を咲かすなんて 誰もやった事がない 成功したらみんな驚くだろう 
無駄かもしれないけど ひとつ試してみようと想う 夢を追いかける浪漫的な爺




一方 
咲かない木なら 伐って薪に替え 跡は畑にした方がよっぽどいいと想う 
無駄が嫌いで 実利追求の現実的な爺




さてさて どちらの爺がいい結果を得るかは...... 判りませんな......



本来の話からは 随分かけ離れた構想ですが
私的に現代の「花咲か爺」として制作してみました。

そもそも昔話・おとぎ話は時代と共に人と共に かなり変えられてもいます。
そこが私にとっては創作上大きな魅力になっています。
これからも昔話をベースに 大胆に変容させつつ 納得できる作品を制作したいと想っています。



来年の制作予定として 次作は昔話とはちょっと違いますが「牛若丸と弁慶」
そしてまたまたかぐや姫をテーマにした「MELANCHOLYかぐや」
の2点を構想しています。
今からワクワクしながら原画を描いています。