版画草子 All That Print Work

自作版画作品と日常の写真を日記形式で紹介してゆきます。
(画像の無断使用は固くお断りします。)

plant Earth 太郎の時代(3)

2011-06-28 10:21:13 | 作品 Works

相方の手術は無事済みまして 今日退院です。
これから1ヶ月間札幌でリハビリの予定です。

で 今回は「太郎の時代(3)」のお話です。


「Planet Earth 太郎の時代(3)」 410×500mm ED 70 19色38回刷り

太郎が開けてはいけないと言われていた玉手箱を開けた瞬間です。

乙姫は何故 開けてはいけないと言ったか。
「お伽草子」によりますと 竜宮と太郎達の現実世界は時間の流れが違っているので
竜宮で過ごした「時間」を玉手箱に封じ込めて 
開けない限りその玉手箱を持っていれば再び竜宮へ戻れるという 乙姫の心遣いだったそうです。
しかし太郎は開けたんですね。
開けた途端 閉じ込めてあった時間ー乙姫と過ごした竜宮時間300年間ーが 一気に吹き出てきて
太郎は爺さんになってしまいます。

このお話 まるで現代のSF小説や映画にある 惑星間旅行のようです。
当時の人の中には 異次元の空間-別世界ーと時間の関係をあれこれ想像して楽しんでいたのかもしれません。
いやはや その発想と感性には驚くばかりです。

やはりここでも旧作を


浦島太郎その3-回帰ー 2009年制作

これまでシリーズとして2作6点 単独で1点作ったのですが 
次作は一つの画面にすべてのシーンを盛り込んだ作品にしてみたいと考えています。
想像力のとんでもない飛躍が許される世界 浦島太郎 は魅力的なお話です。
まだまだ続きます。


<今日の花>
父の日に娘一家から送って貰った「マダガスカルジャスミン」と云う花です。



ジャスミンと云うくらいですから とってもいい香りのする花です。
ただ てんでんばらばらに向いて咲く姿がおかしい花です。

 

Plant Earth 太郎の時代(2)

2011-06-24 10:13:53 | 作品 Works

この2・3日 埼玉では34℃という暑さが続いています。
しかし地面も家屋もまだ熱くなっていないので 何とか扇風機だけで過ごせています。
クーラーはまだ使っていません エヘンッ!
我が家の周りは大木が多いので 風を呼び込んで幾分気温も低めの様です。
そして やはり ビールが美味しいですな! (冬も美味しいですが....)

と言った所で 今回は「Plant Earth 太郎の時代(2)」です。


410×500mm ED 70 19色28回刷り

今開かれている全道展に出品している作品です。

太郎が時の経つのを忘れて 乙姫と楽しく戯れているこの物語のメインシーンです。
多分 当時の人は持てる想像力すべてを働かせながら 多くのひとが羨ましく想うように 
あるいはひと時 現世の辛苦を忘れるために 物語を紡ぎ出したに違いありません。
理にかなっていなくとも いや荒唐無稽であればある程 良かったんででしょうね。



比較のため旧作もまた出してみました。

いくら不思議でおかしな話しであっても 圧倒的な自然を背景にした暮らしの中では 
充分「あり得る」物語として当時の人達は受け入れられたのでしょう
浜辺でぼんやり海を見つめていたり 満天の星空を眺めている内に それこそ自然に物語ができて行った
その自然と感受性 現実との飛躍的な落差 が私には魅力的です。

知られ過ぎているお話を 今に於いて どの様に描き切るか 私の挑戦です。

次回「太郎の時代(3)」では 玉手箱の秘密を


<今日の花> やはり今時期外せない花 紫陽花です。



手入れ等一切していない 雑草だらけの我が家の庭で健気に咲いています。












YOSAKOIなど

2011-06-20 09:18:25 | その他 Other

今回は急遽予定を変更しまして
NORIKO先生から届きました 旬のお便りと画像をお送りします。
札幌はこれからが一番いい季節 ちょっと例年より寒い様ですが 梅雨の無い爽やかな街が懐かしいです。


photo and comment by NORIKO

「今日(12日)はYOSAKOI祭り最終日でした。
今年はやはり3.11関連の言葉が多いように感じました。
外国からの観光客が少ないせいか例年より人出は少なかったように思います
それとも、札幌ドームの交流戦に行ってしまった?・・ほぼ満席だったようですから



台湾からの参加チーム    
歌は現地語でしたが日本語で「がんばれニッポン!」と最後に全員で唱和していました。


障害者チーム
左端の車いすの方は上半身不随らしく足で踊っていました。


青森からの参加チーム
大きく復興東北をアピールしました。


観客を引き込んで、一緒に踊ります。

(先生は踊ったんですかね まさかね.... kei )

と云う訳で YOSAKOI祭りは今年も賑やかだった様です。
NORIKO先生 ありがとうございました。


そして ちょっとご報告
以前(5月17日)のブログで日本版画協会の震災チャリティー展のお話をしましたが
その結果が事務局から届きました。

作品売却 220点 ¥1,445,000
義援金提供その他 合わせて ¥3,000,237
集まった義援金はNHK厚生文化事業団及び被災地に向けて使わせていただきます。

この金額が多いかどうかは判りませんが 少しでもお役に立てる事ができて良かったと思います。


で <今日の花> 我が家のゼラニウム


「天竺葵てんじくあおい」とも云うそうです こちらの名前の方がいいですね。
水さえやれば 年中咲き続ける世話も手間も要らない花です。 
それで相方が育てています。
今日相方の手術です。




Plant Earth 太郎の時代(1)

2011-06-15 15:42:09 | 作品 Works


昨日から相方が部品交換とメンテナンスのため 1ヶ月半ほど札幌の実家に帰ってしまいました。
その間私は 猫の世話・洗濯・掃除・食料買い出し・おさんドン・酒の肴もしっかり作って
工房の仕事・版画制作・笛の絵付け 氷川神社の役員・町内の役員・ゴミ当番をこなすという
今から自分を誉めてやりたい程の活躍をしなければなりません! (出来るかな......)

そんな訳でこのブログも今まで以上に不定期になるものと思いますが
よろしくお願いいたします。

さて 本題 (長文です 面倒な方は絵だけ見てください)

浦島太郎と云えば 皆さんすぐ思い浮かべる筋として
「浜辺で餓鬼どもにいじめられていた亀を助けて その亀にお礼として竜宮に連れてゆかれる。
そこで麗しい乙姫と出会って 楽しい毎日を過ごすが 里心がおきて 乙姫から玉手箱を貰って
元の村に帰ってみると すっかり変わり果てた村と人に衝撃を受け つい淋しくなって
玉手箱を開けると 煙が出てきて たちまちお爺さんになってしまう」
ざっとこんな具合でしょうか。

荒唐無稽ではあるけれど 面白いとも言いきれず....
成功談としての痛快さも無い....
教訓話しとしても いまいち決まっていない....
にもかかわらず ほとんどの日本人は知っている.....
不思議なお伽噺です。

この様な我々に馴染みのある筋は ほぼ明治以降に作られたようです。



浦島太郎その1ー邁進ー 2009年制作

さりげなく旧作を出しましたが 
太郎が亀と勇んで竜宮へ向かうシーンを作画してみたものです。
海上と海中を渾然と混ぜ合わせ 太郎が突き進み 乙姫が飛んでいるという
絵の中でしか実現出来ない 正に荒唐無稽な夢世界です。

南北朝から江戸時代初期に完成した「お伽草子」では 前出した筋とちょっと違って
「海で漁をしていた太郎が亀を釣り上げ 亀では腹の足しにはならないので 恩着せがましく逃がしてやると
後日小舟で漂流している女人と出会い その女に頼まれて彼女の故郷へ連れて行ってやる云々....」
そこは竜宮ではなく「常世の国」と呼ばれる美しい郷となっています。

他にも 時代によっていろいろ変化させた話しが多い様ですし
(江戸期には非常に艶っぽく脚色したものがあります)
「日本書紀」「万葉集」にも浦島太郎的な話しが出ているそうです(実際に調べていません)

しかし私はやはり明治以降に作られた 馴染みのある話しをベースに絵を展開しました。


Plant Earth 太郎の時代(1) 2011年制作

前回に続いて しつこくまた出してしまいましたが これも上作と制作意図はあまり変わりません。 
太郎の時代が 話しが 成り立っていた「自然の豊かさ」をより強調したくて制作したものです。

この太郎をテーマにすると 何度描いても どうゆう訳か わくわくして実に楽しいんですね。
話しの筋がきっちりしていない ゆるさが 
いかようにも絵として構成出来る可能性を秘めている様に思います。

でも 何故太郎にこだわるのか という回答には 今回も たいしてならなかったようです それは次回で......



最後にNORIKO先生から届いたばかりの 旬の画像


白石区ゴミ埋め立て処分場跡地地盤を安定させるまでの活用として菜の花の栽培を始め
それが満開となり、一日限り5時間のみ一般開放されました。  先生談


ナタネはバイオディーゼル燃料製造に使われるそうです。
菜の花は香りがするんですね。始めて知りました。





<今日の花>は お休みしました。 次回また



 








アンパンマンと太郎の時代(1)

2011-06-11 15:40:12 | 作品 Works


突然ですが 
今 1歳から3歳くらいまでの子に一番人気のあるキャラクターは何かご存知でしょうか?

「アンパンマン」です。

いやその人気たるや 凄いものです。
我が家の孫(1歳半)が泣いていた時 アンパンマンの曲をかけると ぴたっと泣き止んで笑顔になりました!

震災後の避難所でたまたまアンパンマンの曲がかかった時 
小さな子供達が一斉に踊り出したというニュースも伝えられました。

事程左様に 子供達はアンパンマンに夢中です。

やなせたかしさん原作のこの「アンパンマン」 基本の筋は
「お腹がすいて困っている人に あんパンで出来ている自分の顔をちぎって与えてあげる」という
とんでもなく荒唐無稽なお話なのですが 何故にそこまで人気になるのか.....

取りあえず感じたのは 作者も子供達も非常に発想力が自由なんだ と云う事でしょうか....
何のこだわりもタブーも無く 物語世界に遊ぶ事ができる 
幼い子供時代にのみ維持できる 柔らかい感性が成せる技なのかも知れません。

何やらトンでもない方向からお話を初めてしまいましたが
決してこじつけではなく 今回のキーワードは上記の「荒唐無稽」と「柔らかい感性」です。
 
私が「お伽草子」をテーマにしたのも その荒唐無稽な物語の魅力と
当時の時代の読み手の柔らかい感性を羨ましく思ったからです。

もう一つ
「非現実」と「現実」を結びつける力
「嘘話し」を 「あり得るかもしれない」と思わせる力
幼い子供が無意識に感じる 最も近い世界
それは「自然」ではなかろうか と想っています。

いやはや 前振りが長くなってしまいました  語り過ぎ.... ですね。

では 「浦島太郎シリーズ」5作目


「Planet Earth 太郎の時代(1)」410×500mm ED 70 21色30回刷り

次回 もう少し詳しくこの作品の思い入れを また語り過ぎたいと 思います。


そして<今日の花>  金蓮花



これも城山公園に咲いていました。
葉が蓮の葉に似ているのでこの様な名が付いたそうです。

  


66回全道展

2011-06-07 11:03:20 | 作品 Works


白ライラック    photo by NORIKO

やはり白いライラックは別にあったんですね。

前回掲載の写真を撮っていた時 NORIKO先生もライラックではないと思ったそうですが 
近くにいた見知らぬ叔父さんが「ライラックだ」と言っていたそうです。
こういう事 よくありそうな話しですが 困ったおじさんです。
おじさん達! 気をつけましょう。

といったところで ちょっと早いですが 6月15日から札幌市民ギャラリーで開かれる
第66回全道展のお知らせです。


札幌方面の方 是非お立ち寄り下さい。

今回私は「Planet-Earth 太郎の時代(2)」という作品を出品しました。
浦島太郎3部作の他に また太郎物として3部シリーズを制作した内の1点です。

今まで合計7点もの「浦島太郎の世界」を制作してきましたが
今どき 何故に このテーマに惹かれるのか とか 
その新作品の紹介のお話は 次回から連載したいと思います。


で <今日の花> は 実は名前が判らない花です。



これもやはり城山公園の花壇に咲いていたのですが
表示もなくて 何と言う花か私には判別つきませんでした。
「石竹」のような.... よく見る花なんですけどね。
どなたかお判りの方 お知らせ下さい。 







お知らせー工房ミズヤの新部門開設ー

2011-06-02 12:07:43 | その他 Other





以前にもこのブログで紹介していました篠笛
最近ではプロ・アマを問わず結構な数の注文が来る様になりまして
制作技術も向上し 広い需要にも応えられる環境も整いつつあるので
それならばと 私の経営する「工房ミズヤ」の新部門として本格的に展開する事になりました。

笛本体の制作は息子 笛の絵付けを私が担当するcollaboration companyです。

昨日ホームページも立ち上げました。

こちら http://shinobue.koubou-mizuya.com/
(ストレートにリンク出来ないので コピペして下さい)

篠笛のプロ演奏者のコメントや 私たちが創った笛の音も試聴できますので どうぞご覧下さい。

音的には私は良く判りませんが 演奏者のコメントからは 息子の音創りはかなり評判がいいようです。

上記の写真にもある金箔の絵柄は シルクスクリーン蒔絵という技法で制作しています。
シルクスクリーン版画の延長としての仕事ですので 私にとっても楽しみな展開になりそうです。


もうひとつのお知らせ
間瀬ギャラリーで今年4月に開く予定でした個展は 7月からまた11月末へと変更になりました。
その頃には世情もだいぶ落ち着いてくるのではないかと 期待しているのですが....

その時の個展では「お伽草子シリーズの版画」だけではなく 今回の篠笛も展示する予定です。
版画と笛 いい雰囲気の展覧会に仕上げたいと思っています。 
詳しくは いづれまたお知らせいたします。


そして <今日の花> は 三色菫



近くの高校の生徒さんが制作・管理している城山公園の花壇で取材したものです。

「スミレの はーなぁーーーー 咲くーー頃ーー」 ですね。