とは人間の歴史だけに限らず宇宙の歴史からはじまる、歴史だという。
H. G. ウエルズの歴史の本で地球の歴史からはじまっているのを見たことがあるが、宇宙のはじめからはじまる歴史書は興味があるので、読んで見たい。
1か月ほど前に朝日新聞でこういう歴史書のことを日曜の書評欄で紹介されていた。もっとも明石書店から出された翻訳は約4000円もして貧乏な私などは簡単に買えそうにない。
宇宙開闢から138億年の「人間」の歴史という副題がついているらしい。歴史などというと人間の歴史に限るはずだが、どうもそうではないという観点が壮大である。
歴史というと最近の話題は呉座雄一著『応仁の乱』(中公新書)が売れているらしい。誰が主人公とかいうことのないのが、応仁の乱らしいが、ヨーロッパの歴史だと30年戦争というのがある。30 j"ahrlige Kriegとか高校時代の世界史でかすかに聞いたことがあるような話である。
それがヨーロッパ人にとってはけっこう身近な話であるのは当然であろうか。フンボルト奨学生を対象にした、フンボルト財団招待のドイツ国内のバス旅行で引率のべヒュートンス氏も歴史に触れて30 j"ahrlige Kriegという語をしばしば口にしていた(注)。
1618年から1648年まで続いた戦争であり、これはいまのドイツが主に戦場になったという。はじめはプロテスタントとカソリックの宗教戦争の色彩を帯びていたが、次第に宗教戦争からハプスブルグ家との覇権争いの色彩が強くなっていたとかどこかで読んだ気がするが、定かでない。人口の1/3くらいか1/2が30年戦争で失われたというからこの戦争によって農民が疲弊したのは当然であろう。
Gr"unewaldの油絵でアルザスの小さな町である、Colmerの教会にあるという「微笑むマリア」はGr"unewaldがヨーロッパの農民を元気づけるために微笑むマリアの像を描いたとは武谷三男の言である。
そういうエピソードを知らなかったから私もこのColmerの教会を40年ほど前に訪れて、Gr"unewaldの油絵を見たことがあるのだが、この絵のことを覚えていない。
思わぬほうに話がそれたが、ビッグ・ヒストリ―という概念はおもしろそうである。
(注)フンボルト財団とは外国の研究者を招くドイツ独特の制度を行っている財団である。ドイツ連邦政府が外国の研究者を招くという制度はなく、実質的にフンボルト財団という組織がドイツ連邦政府に代わって外国の研究者を招いている。
民間の資金も使われているかもしれないが、主に連邦政府と州政府が資金を提供していると聞いている。主に40歳以下の研究者を招待する。もっと若い研究者をドイツに招く制度としてDAADというものもある。