さっき第三回の雑談会を終えた。この雑談会もだんだん、定例化してきつつある。
今回は『「坂の上の雲」と歴史』というテーマであったが、歴史と小説との違いはどこにあるかとかいうことがテーマになった。日本の明治維新以来の歴史に中央主権や富国強兵や植民地主義以外に選択肢がありえたのかについては議論していてどうも否定的にならざるを得ないような気がした。これはそれがよかったかどうかは別にしてである。
司馬遼太郎の小説はある一面のその作者が小説を書いた当時の世相を反映していたと考えられるが、それはまた別の一面の世相を反映していなかったのではないかという議論もでた。
1968年から1972年にかけて司馬は「坂の上の雲」を書いている。私にとってはその頃は大学に勤め始めた初期の頃のことでもあり、大学闘争とかその後の公害反対運動の雰囲気を色濃くもった時期である。だが、そういう思想的な影響は司馬にはあまりないかもしれない。
歴史小説は歴史的な事実から離れてはもちろん存在しないが、だからといって歴史的事実というにしては微妙に食い違っているということだ。