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「いちまき」 中野翠

2021-10-30 | 読書

1946年生まれの著者は、1990年代、亡くなった父親の遺品の中に、手書きの「大夢 中野みわ自叙伝」を見つける。中野みわが曾祖母、大夢はその父親だそうで。

また同じころ、80代の父親のいとこの叔母から一族の話を聞くこともあり、先祖の来歴を調べたいと思うようになる。

いちまきは一族のこと、血がザワッとする生々しさがあるのは和語の為かと著者は思う。

NHKにファミリーヒストリーという番組があるけれど、それと似た体裁。あれは自分では調べないけれど、こちらは足跡を残した現地に出向き、関係する書籍も読み込んで、著者の探り当てたファミリーヒストリー。

曾祖母は下総関宿藩家老の娘として、江戸、桜田門内の藩上屋敷で生まれる。彼の桜田門外の変の半年ほど前。始まりからしてスリリング。

藩は勤王派と佐幕派に分裂し、やがて戊辰戦争。江戸家老の木村正則(のちの山田大夢)は佐幕派として、若い藩主を連れて戦乱の中を逃げていく。関東をさまよううち、勤王派の藩士と出会い、藩主は奪還され、自らは名を変えて潜伏流浪の生活をする。家族はあちこち転々としながら、最後は佐倉の知り合いの家に厄介になる。

やがて徳川家が移住した静岡に、みわの父親は学校教師としての職を得て家族を呼び寄せ、ようやく落ち着いた暮らしを手に入れる。。。。


戊辰戦争は大きな戦争もなく、日本の明治維新は無血革命、それだけに不十分と若いころは思い込んでいた。

しかしこうして一人の人にスポットを当てて詳しく辿って行けば、血が流されなかったわけではなく、新しい政権が生み出されるには大きな犠牲があったことが実感できる。

その時代に行き合わせる不幸、また幸福は個人には如何ともしがたい側面もあるわけで、もう百年時代が早ければ、家老のお姫様としてみわは一生を終えたはず。動乱の時代に行き合わせて、しなくていい苦労もしたけれど、時代にほんろうされながらたくましく生きてきたのが印象に残った。

口絵に凛とした正面を向いて正座する写真がある。いろいろなものを見た深いまなざし。そして立派な顔つき。昔の日本人って、こんな顔していたんだなあと思った。


謎解きのようにスリリングで、面白く読みました。

膝が痛くてばあちゃん、蟄居。曲げるのはそう痛くないけれど、体重掛けると痛い。

こうなれば空中浮遊するしかない。けどそれは無理なので家にいるときは・・・

じゃじゃーん、これです。

必殺、段ボールギブス。

膝が不意に曲がるのを防ぐ。

初めてした時、夫が面白がってスマホに撮っていた。ったく、人が苦しがっているのに。


司法試験の合格者名簿に名前がなかったそうで、心配ですね。試練はまだまだ続きます。

でも信頼し合っている二人で、どんなことも乗り越えていただきたいものです。だから当然権利のある国庫金、辞退しなければよかったのにと私は思います。

今回のことでは皇室の権威が地に落ちたと嘆く向きもあるようですが、長い目で見ればむしろ逆だと私は思います。

皇室が新しい時代、価値観へと合わせていくための過渡期としての苦しみ、と思います。うまく生まれ変わったら、またしばらくは安泰でしょう。

とは言え、個人が精神的に不調になるまで、国民は何を望むのでしょう。この国民に私は入ってませんが。

余りも生きにくくて、一人ずつ海外逃亡・・・となるまえに、本当に必要な制度なのか考えるてみるのは悪くないと思います。

いざなみいざなぎから始まる国造りの神話、それは奈良時代に国家意識が高まって来た時の作り話。歴史的な史料ではありますが、科学的な歴史ではありません。

それを教科書に入れるよう運動している某団体は、日本を戦前に戻したいのでしょうか。もの言えない国民を作り出して、この国をまた破滅へと導きたいのでしょうか。

とても、倶に天を戴けない人たち。父祖の仇であります。


とは言え、原初の権力が発生する仕組みは興味があります。公民館のグルーブでもよく世話をして事務能力のある人が次第に発言権を増していく。

それが権威にまでバージョンアップするためには、宗教性をまとったり、あと何かな・・・もう二つ三つの段階が必要だと思います。ここらあたりは、吉本隆明(ばななさんのお父さんね)の著作にいろいろありそうですが、どの本のどの辺りか、ばあちゃんはもう忘れた。

ただの権力が現人神になるまでのからくりと長い年月・・・ばあちゃんには永遠に解けない謎であります。立派な御殿に厳かな言動の積み重ねかな。

そしてそんなものに絶対に騙されないぞと、前世紀に外地で、親族に別れを言うこともなく亡くなった多くの若者の為に、きょうもまた固く誓う。


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