夏空
アジア太平洋戦争に関する本は無数にあると思うけど、この本では兵士の現実に肉薄し、どのような軍隊生活だったかを具体的に明らかにする。その意図に貫かれている。
今までありそうでなかった本。鳥瞰的ではなく虫瞰的に描く。
先ずは兵士に虫歯が多かったことに触れている。類書にはない新鮮な視点、戦争体験のない若い学者の目の付け所に感心した。
戦争しているから何日も歯も磨かず顔も洗わない。虫歯になっても治療できない。虫歯などと言うなかれ、歯が悪いとしっかり食べられないし、しっかり食べられないと体力も落ちて戦うどころの話ではない。
一事が万事、資源に乏しく国力の劣る日本は不足する分を精神力でカバーすると言っても、先の見通しもなくやたら戦線を広げてそれを維持するだけの力もなく、つくづくと愚かで無謀な戦争をしたものだと思った。
そして最近、ゲーム感覚でミッドウェーで勝っていたらこうなったとか、ありもしない話がもてはやされる傾向に危惧を抱いたことが巻末には触れられている。
日本万歳、日本偉い、日本をけなすものは反日、というレッテルを貼ったりするけれど、私に言わすれば本当の愛国とはこの国に生きる一人一人の人間が大切にされる方法を考えることだと思う。
先の大戦もさっさとやめればよかったのです。投資の世界にも損切と言う言葉があるではありませんか。負けると分かったら、いかに損害少なくやめるか、それが外交力、政治力であります。
統帥権が独立するように制度設計した明治憲法は、時あたかも政党政治の台頭期、天皇の権力を侵害されないようにとの意図があったと言う。初めて知った。
最後の一年で戦死者は急増、つくづく早くやめればよかったですね。
この本の中では兵士の過酷な様子が、繰り返し語られ、胸が詰まる。車を持たない日本軍は兵士一人一人にいろいろなものを分担して運ばせる。何十キロという荷物を背負って行軍する兵士たち。
今の私の息子たちよりもまだ若い命の一つ一つが本当に可愛そうで、涙が出る。もっともっと、私たちは過去から学ばねばとつくづくと思った。
こちらこそ初めまして。
これは新聞の書評で見て、ベストセラーで品切れでしたが、何とか買いました。
私達の若いころ、歴史から学ぶと言うことがよく言われていました。
最近では政治家も戦争体験のある人はいなくて、人気を得るために仮想敵国を作り、景気のいいことを言います。
兵士の悲惨な境遇を具体的に知ると、戦争とは勝つべきものではなくしてはいけないもの、という思いを新たにしました。
すみません、思わず熱くなってしまって。またお越しくださいね。
何となく「歴史は繰り返す」の予感がしている団塊世代です。
お住まいは同じ県かしら?と思いコメントしました。
この本是非とも読みたいです。
また伺いますね!