この本は昨年の5月、6月、7月に対談したのをもとに9月に出版。
その時期は流行の第一波が、完全ではないけれど収まっていた、今思えば凪のような時期。気を付けつつ、この時代を生きていこうという論調。なんか昔日の感がある。
内田氏は仏文を出て幅広い著書をたくさん持つ思想家。岩田氏は昨年のダイヤモンドプリンセス号のとき、世間から注目された感染症の専門医。
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二人は神戸在住で、普段から交流があるとのこと、忌憚のない意見が面白かった。
特に岩田氏は事実に基づかない政策の立て方、非能率な役所の仕事の仕方、誰も責任を取らない日本独特の感染症対策などに、アメリカで勉強してきた立場から鋭く切り込む。
内田氏はコロナであらわになった社会の矛盾をどうとらえ、どう生き延びていくかに言及する。
二人ともめちゃくちゃ頭いいと思った。頭のいい人の言うことは筋が通っているのでよくわかる。
たいていの人間は、コロナの流行という大きな出来事を前にすると、今何が起きているのか理解できず、従って自分か何をしていいかもわからずに右往左往して的外れな言動をするか、はたまた固まってしまって何もできないのではないだろうか。私もそっちへ入るので偉そうには言えないけど、私の愚かさは私が被害を受けるだけなのでまあ引き受けるけど、これが政治家、官僚だとどうでしょうか。
和をもって貴しとなすこの国では、何もない時は何とか回っていても、コロナ禍の時代には冷静に判断し、果敢に政策を打ち出し、その結果も引き受ける気概を持った人物が出てきて欲しいもの。残念ながら、私の知る範囲ではあまり見当たらないのですが。えらそげですみません。
この対談当時、まさか今のような事態は想定していなかったと思う。
第二波は来るかどうかわからない。ワクチンは出来ないかもしれない。その両方とも外れた。ワクチンはいい方に外れたけど、いつ打ってもらえることやら。7月末をめどにって、それはオリンピックと絡めての発言でしょうか。
この中では感染者を徹底的に洗い出して治療するのを繰り返す。徹底したロックダウンで人の流れを止める。抑えるにはそれしかないと強調している。その単純なことが未だにこの国では、なぜできないのか、大いに疑問に思った。