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「自転車五大陸走破―喜望峰への13万キロ 」 井上洋平

2015-06-11 | 読書

2013年6月 宇治 三室戸寺で


30年近く前の本である。本通り近く、文蘆堂書店で古書として購入。

自転車で六年間かけて世界一周する。その記録である。面白かった。一気に巡るのではなく、ニューヨークのお兄さんのところでは長く滞在したり、旅費溜めるためにアルバイトもする。

ポーランドだったかな、では自転車を盗られてしまい、帰国して新しく作り変えて再出発する。

著者はヨーロッパなどより、南アメリカ、アフリカなどが印象に残ったらしく、それにページ数の多くを費やしている。南アフリカではアンデス山脈の峠を一つ一つ、ヨーロッパではピレネーを自転車で越える。高山病になって、親切な人に助けられたり、お金を取られたり、アフリカの治安の悪い国を命がけで通過したりと、面白いことが山盛り。

若いっていいなあと改めて思った。それを許し、見守ったご家族も偉い。心配すればきりがないけど、したいことを認める。その愛情に支えられてのことだと思った。

昔なので今ほど世界各地の情報もなく、カメラは当然フィルムカメラ、ほとんど写真がないのでそこが残念だった。

アフリカの最貧国を旅するとき、現地の子供達が寄ってきて、作者が捨てた缶詰の空き缶を拾い、内側を指でこすってそれを舐める。それも小さい子から順番に。自然にそういう決まりになっている。

作者はパンとか缶詰とか、日本人にとっては決して御馳走でないものを現地人に見られながら食べるのが、とても申し訳なく思うようになる。

この本の中で、自転車旅行しているのはイギリス人、フランス人、ドイツ人、イタリア人、スペイン人、それに日本人だとある。自転車で世界を巡る。究極の贅沢かもしれない。それをできる余裕のあるのはそれらの国の人たちだけ。ちょっと考えさせられた。

旅で発見したこと、身に着けたことはたくさんあると思う。文章も後半へ行くにつけて尻上がりによくなっている。書くことで、より深く、経験を再体験したことだろう。

しかし強盗に襲われず、戦争に巻き込まれず、交通事故にも遭わず、無事世界一周したのはとてもよかった。今は何歳になるのでしょう。会ってお話聞いてみたいくらい、とても素晴らしい旅をなさったようですよ。

出発前のテレビ出演。

https://www.youtube.com/watch?v=xSRFZ5x1NlE

 

 

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