か ら け ん


ずっと走り続けてきました。一休みしてまわりを見ます。
そしてまた走ります。

昔に引き戻す保守、熊本。シリーズ、九州の保守を責めないで。

2013年11月08日 | 日常

051201215403_s4370221 数十年前のことで、多少はあいまいな点がある。が、基本的には記憶に間違いはない。

僕は保守の牙城熊本に配置転換、すなはち飛ばされた。原因はそのうち書くが、要するに松の廊下で刀を抜いたからだ。それを書くと論文になるのでここでは書かない。

今でこそ、消えゆく地方都市のひとつになり下がった熊本であるが、戦前は九州の中心だった。人口、物流、工業生産、農業生産、何をとっても福岡を引き離していた。熊鉄(熊本鉄道管理局)の管轄する範囲は大きく福岡県の久留米市近くに及び、五校(熊本大学)はナンバースクールとして日本三位の難易度だ。

今やかつての影もない。が、福岡にはない大橋時計店、品位ある料亭、小さいが肝心の本がある本屋。視野の狭い頑固な保守に囲まれているという現実を無視すると、なかなかいいところだった。あ、朝鮮飴もある。加藤清正の朝鮮の虎退治に由来する。好きだ。

着任前日、僕は夜明けまでバイクに乗り、コケてしまった。足に大けがをした僕は、革靴が入らなくなり長ぐつで行く。クラッチが踏めなかったのでJRで行くことにする。熊本駅には公用車がいた。黒ではなかったので誰かの自家用を借り上げたのだろう。僕が歩けないと言ったからだ。黒でないのは失礼だ。

それから県庁の講堂だったか、よその体育館だったか、思い出せない。クルマはそこに着くと、僕自身の着任式もそこそこに、緊張した若者が500人ぐらいいる式場に通された。新任式だ。そう言う僕も年は、彼らと2,3年しか違わない。

知事やらなんやら、実に内容のない、かつ面白くない、かつ長い話をして自己満足している。ぼくはぼくで、昼の特急で福岡に帰るつもりでボーっとしていた。

官尊民卑。県は僕に健康診断を出せと言った。電話して文部省から書類を回してもらうことにすると途端に黙る。だって健康診断は、したばっかりだ。新規採用(以下、新採)の卒業したての学生より、職員課のお局様(おつぼねさま)が偉いんだと言いたいようだ。しかも本来低能だから、ぼくを県の新採と間違えたようだ。西も東も分からぬ新採のうちにしっかり「くせ」をつけとこうという魂胆だ。新採なんぞ「民」の部類の青二才。今も熊本は、こう言う下らん上下関係だけで動いている。

お局は、国から怒られて、水戸黄門の印籠を見た人の様にひれ伏していた。以後僕の目を見たことはない。今はもうこの世にいないだろう。

足の痛さと、友達が熊本なんかに行くなと止めてくれたことで、頭はいっぱいだ。友達は、僕が帰ればどんなに喜ぶだろう。

一通りくそ話が終わると、何とぼくが指名されたではないか。僕は、いやいや左遷されたところで、するつもりなのは退職だけで、ひと言も話す気もなく材料もない。

列車が遅れて打ち合わせができなかったと僕を責めるあほ役人。それは、言えるもんならJRに言え。公用車が出払っていたはずはない。僕をアホ緑色の貧乏な自家用車で県庁まで送っておきながら、グジグジ遅刻を責める。そんならここでも癇癪回そうか。今思い出しても腹が立つ。

すべてが明治の形式主義で動いている。砂糖にたかる蟻のように役人は、「寄らば大樹」と一筋に権威にたかる。西郷軍に勝った谷干城を誇るかと思いきや、神風連の乱で見せた反権力の気概、台湾出兵。何でもいいから熊本が一番と言いたがる。

壇上の僕は与えられた時間を使い、死にかけたこん睡状態の議員や役人に、中央役人のすごさを見せつけてやろうと思い、笑いの中に内容のある話をした。随分皮肉を言ったと思うが詳細は忘れた。

そもそも、新任式の講話を、国から着任して30分もたっていない人間にさせるとは、無茶だ。「肥後もっこす」(人の言うことを聞かぬ頑固者、自分の非を認めぬ意地っ張り)たちは僕を測っていた。できるか。能力は。従順度は。

佐賀のように強いものに弱い県ではない。さすがに国と対立するのはためらうが、佐賀にはない独立意識があり、それは一人ひとりの県民によって支えられている。

200メートルぐらいの川幅に橋を架けるとき、川の中央で土木事務所の管轄が違っていた。両者規格を譲らず、橋の幅が川の中央で異なる橋ができた。これは笑いごとではない。その後、橋げたにぶつかる、正面衝突する、転落するという死亡事故が続き、国の指導が入った。

「肥後もっこす」達は、変化を嫌い、優れた意見も取り入れず、薩長土肥の一員である誇りから他人の指図を極度に嫌う。川の両側にこの「肥後もっこす」がいて役人をしていると、上記のようなことが起こる。

僕を飛ばした国は殺したいが、熊本はその価値もない保守だ。ほんとはどこで働いてもいいが、一番苦しかったのは、中身のある教養に裏打ちされた上品な話ができなかったことだ。これにはこたえた。

つまらん過去にこだわる奴は、日本文化の破壊者だ。優れた字を書き文を読み和歌を詠み本を読め。

県庁の南側の芝生の上でコンビニ弁当を食っていたら注意された。イラッとしたので別の日に大型ナイフで立木に彫りを入れた。今も残っている。でも小さくて市役所みたいな県庁は、好きだ。

(西南戦争で熊本城を死守した谷干城、竜馬の友人、出身は土佐だけど)


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