か ら け ん


ずっと走り続けてきました。一休みしてまわりを見ます。
そしてまた走ります。

ウソはしきりと絶叫する 75

2021年01月20日 | 韓国

<前回のつづき>

 

このような雰囲気に乗じて文化の世界において特異な事件が起こった。いわば明成皇后シンドロームというべきもので、明星皇后というのは朝鮮末期の改革にたいし極端な抵抗をしたが朝鮮-日本改革勢力によって殺された閔妃を指してこの頃になって新しくつけた名前だ。閔妃に対してはここ100年間朝鮮人たちが女性を非難するとき「閔妃のような女」と言えばもっとも恥辱にまみれた言葉としてうけとられ、朝鮮をダメにした王妃として軽蔑の対象だった。

 

その閔妃を救国の殉教者として美化しようという意図は以前から時たま存在してきた。いち早く極右の作家李文烈は「キツネ狩り」という演劇脚本を書きこれを韓国の劇団が「明星皇后 The Last Enpress」という名前のミュージカルに仕立てブロードウエイに紹介して西欧のマスコミから好評を得た。このような動きが最近になって教科書紛争を反映し反日感情に便乗しTVの歴史ドラマ、演劇公演、小説、楽曲、映画にミュージックビデオに拡大しながら反日感情の事業化現象が現れたのである。韓国ではこれを「明星皇后シンドローム」と呼んでいる。

 

このシンドロームは一年を越えるほど高視聴率を記録し続けている。KBSドラマ「明星皇后」につづき昨年末からは声楽家チョースミが加わった明星皇后OSTとミュージックビデオが発売され、それこそ韓国社会に国粋主義の狂風を起こしている事態になった。このミュージックビデオには性悪の日本公使、三浦 梧楼(梧樓、みうら ごろう)日本の侍を使い朝鮮の宮殿に侵入、救国の希望である明星皇后を無残に殺害したといううまく作られた画面の描写である。

 

このミュージックビデオとOSTは高価にもかかわらず発売以前にすでに30万枚が予約販売された。しかしそれよりもさらに深刻なことは韓国の発達したインターネット網を通じこのミュージックビデオがほとんどのウェブサイトに上がっていることだ。昨年末から韓国人なら(誰でも)接続するサイトにアップされているこのミュージックビデオをいやがおうにも数十回も見ずにはいられない事態になっている。

 

さる1990年代中盤に日本からX-Japanが登場してからは韓国の新人類たちには日本の音楽と春樹の小説、(いわば)ジャパニメイションを知らずしては彼らの仲間の情緒を共有できないほど強力な日本文化のシンドロームの波が押し寄せたことがあった。その結果戦後新世代たちには反日感情どころかかえって親日感情が普遍的であると言えるほど日本に対する好意と憧れが急速に拡大していたのである。明星皇后OSTはインターネットが主流であり感覚世代である彼らを親日から半日に画期的な転換を経験するよう仕向けている。今回の韓国の明星皇后シンドロームは韓国文化の主体性と独自性を回復しようという意図から出発したのであるが、そのじつ効果は歴史への歪曲した理解と狂った反日感情を醸成し若者たちにさらに孤立した国粋主義的な見方を持たせているという悪影響をもたらしている。このような風潮は明星皇后の興行的成功に勢いづいてあちこちに拡散している状態だ。

 

<つづく>