五月のある日、仕事帰りにお客さんに誘われ祇園甲部のお茶屋さんに飲みに連れて行ってもらいました。
この日は、お客さん6名と私の7名で二階のお座敷を利用し舞妓ちゃんを3人呼んでもらいました。 お茶屋・多麻さん所属の若菜ちゃんが、二週間後
の衿替えを控え、黒紋付に先笄(さっこう) を結い「黒髪」を舞ってくれました。
三味線を弾いていただいた地方のお姉さん
衿替えとは、舞妓さんから芸妓さんになる花街の儀式で、衿替えの二週間前から黒紋付を着て先笄(さっこう)の髪型を結い贔屓衆にお披露目いたしま
す。 自分の髪の毛で結う舞妓最後の髪型です。 後ろに控えておられるのが、多麻のお母さんです。
先笄(さっこう)とは、元々は京都を中心にした町家の若いお嫁さんが結っていた髪型で、現在は舞妓が芸妓になる時に結う慣わしになっております。
理由を尋ねますと、昔の舞妓さん芸妓さんは自由に結婚が出来なかったので、可哀想と言う理由から若妻の恰好をさせてあげたそうです。
多麻さんの満奈葉ちゃん若菜ちゃん弥須葉ちゃん地方の幸苑(ゆきその)さんです。
衿替えの時期は、先笄(さっこう)と共にお歯黒もいたします。お歯黒の意味は、昔は女性の身だしなみの意味がありましたが、時代と共にその意味あ
いが移り変わってまいり、平安時代から戦国時代においては娘の成人を意味し、江戸時代には既婚女性を意味いたしました。先笄(さっこう)と同じよう
に若妻の習慣に真似たものが現在まで続いているようです。
現在のお歯黒は、蝋に着色されたものをライターで炙り緩くなったものを指で付けるそうです。なんせ、熱に弱いため熱い料理や飲み物はこの時期は
極力避けるそうです。二週間の間ご苦労様です。 手前の満奈葉ちゃんは最近少なくなった地元出身の舞妓ちゃんで「お店出し」してからまだ一年が経
っていないので口紅は下唇だけです。
二階のお座敷から、一階のカラオケも出来るホームバー移動いたしました。
ホームバーでカラオケタイムが始まると、年頃の高校生と変わらないはしゃぎぶりで、若い子の唄う歌には全然付いていけませんでしたが、お客さんの
年代に合わせた懐メロにも対応出来、普段接しているお客様の層の厚さを感じました。
気が付けば、深夜二時を回っており花見小路の人影もまばらでした。約4時間遊ばせていただきました。 参考のためにお幾ら位になるのか想像いた
しましたが、自腹で来れる身分でもないので、ご馳走様にあずかりました。 これからも祇園街の発展のために宜しくお願いいたします。