メキシコの隅っこ

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タフコ農場と山本浅二郎氏

2006-11-14 10:07:35 | 日系移民関連
さて、アカコヤグアのお話第二弾~。

cimaちゃんと兄貴分のYさんとに連れられて、
ランチョを見せていただきました~。
が、今日はそのYさんのランチョではなくて(それは取っておき)、
その手前にあった、タフコ農場(ランチョ)を。

アカコヤグアの道をピックアップトラックに乗せてもらって
どっち方向でしょうか?
しばらく行くと、いかにも村外れになって、
ブタの親子(お父さんはイノシシかもしらん……汗)に出会ったりしつつ、
道は徐々にガタガタになり細くなり……
家も途切れがちになって、やがて両側とも放牧地に。
少し行くと、右手に見えてくるのがタフコ農場。



中を見せてもらうことはできませんでしたが、
おおお~、これが、あの! と感激。
というのも、アカコヤグアと移民の人々の話には
必ずタフコ農場の名前が出てくるからです。

門のところをアップで。



日章旗と、TAJUKOの文字。
その下には小さく、
PRIMER ASENTAMIENTO DE LOS
PRIMEROS INMIGRANTES JAPONESES
COLONOS ENOMOTO

「最初の日本人移住者、榎本移民による、最初の居住地」
と書いてあります。

そして移民の人たちに意義深い年号、
1897年と1997年。

TAJUKOの左側に、縦書きで
「多福湖」と書いてあったんですが、
すみません、帰ってから写真を見たら、つぶれてしまって見えませんね。
資料文献などでは「多福岡」という表記もあるようです。

これは、他のいくつかあるランチョと並んで、
本当に初期に作られた農場です。
(てか、最初の、と主張してありますね)

貴重な一次資料に、タフコ農場についての記述があるので、
それを書き写します(改行は亀による)。

最初の榎本植民の一人で三河の人、山本浅次郎を中心に起った農場である。
同植民の契約三ヵ年を完全に果たした唯一の人で約束の百二十町をゆずり受け、
最初は共働会社の人々と共に三奥組合(三河者と奥州者)の形をとった時代もあるが
同会社の解散後は個人農場として発展して
甘蔗を植えて砂糖作りや牧畜を業とした。
革命動乱のときの武勇伝はここを舞台に演じられた(※)。
若くして植民に加わってきた人であったため、
メキシコに来て初めてローマ字を以って日本語を書くことを学んだので、
終生ローマ字日本語の手紙を書いていた。
没後現在もこの農場は牧畜を主として同氏五男が立派に経営して今日にいたっている。


【『南メキシコに遺された日本人の足跡』 松田英二・著 1966年8月】

(※)の革命期の武勇伝というのも、何度か読んだことがありますが、
これまた貴重な一次資料から引用(改行同上)。

故山本浅二郎氏は榎本植民地も大分奥の方タフコ農場に居住していたが、
革命戦の最中ある夜三十名以上の匪賊に襲撃された。
同氏は家族の退避を見極めるや敵の目標をくらますため
一糸まとわぬ裸体となり、屋内をかけめぐりつつ発砲応戦し、
匪賊の大部分をたおしてこれを撃退し、
地方民からその武勇を買われた由である(後略)


【『南メキシコにおける通称「榎本植民地」視察出張報告書』 
       在メキシコ日本国大使館 大倉敏之・著 1966年】

とまあ、そんなドラマがこの農場でも、また他の農場でもあったわけです。
で、今は、のどかな牧畜地。

私の大好きなセブー牛が!



一頭だけでしたが、いつ見てもすごいよ~。
シラサギたちもいっぱい一緒にいるんですよね。



普通の(?)牛たちも。
さて、この一番手前の牛の、腰骨辺りに、
所有農場を示す焼印が押してあるんですが、見えるでしょうか?

こっちのほうが見やすいかも。



「日章旗」をデザインした、タフコ農場のマークだそうです。
cimaちゃんの兄貴分Yさんに教えていただきました~。

少し離れたところに、馬もいました。



ちょっとぽつんと離れて、さびしそう?

そんなこんなして写真を撮ったり、
教えてもらった草の茎から出るネバネバでシャボン玉を飛ばしたり
して遊んでいる私たちの横を、
砂埃を上げて通り過ぎるトラック。



ああっ、セブー牛が!
これまたドナドナかっ!?
と慌てたのでぶれてます、すいません。

でもたぶんこの先にはいくつもの広大なランチョが隣接しているようなので、
ドナドナじゃなくて、どこかの農場で
のんびり草を食べて過ごすために連れていかれたのでしょう。
……ということにしておきます。

今日も長い話を読んでくださってありがとうございました


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2 コメント

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歴史 (mie)
2006-11-14 13:17:25
う~ん、歴史を感じますね。
アマゾンの入植ドキュメンタリーなんかも、
思いっきり見入ってしまうたちなので…

あの~、セブー牛って、シュラスコで良く
食べられるあのコブ牛のことですか?
メキシコにもいるのですね~。
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シュラスコ? ()
2006-11-27 11:10:29
>mieさん
すっかりお返事遅くなりました~。
シュラスコって何でしょうかぁ?
日本のデパートだったりして……?
でもセブー牛って、そうです、コブ牛のことです。
ブラーマンとかいう牛種とともに、メキシコにもいるんですよ~。
前に写真で紹介したことあります。
ちょっとあとで探してみますね。
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