元旦の朝、割と早くに出かけたら、
こんな風景があちこちに見られました。
道端を覆う、爆竹の残骸。
片付けてから寝ようという発想は……ないでしょうね。
まあ翌日であってもあとで片付けるならいいけど……それも疑わしい。
元旦0時には、と言っても各家庭の時計には差があり、
メキシコには時報なるものがない(あっても局によってずれてる)ので、
フライングも大いに含めて0時には、
もうそこらじゅうから爆竹の音が鳴り響きます。
毎年のことですが、ワンコが怯えて私の足の下にもぐりこむくらいすごい。
ところでですね。今年は年末に道端で変な人形を売ってました。
あれなんだろね、と言いながらも写真は撮れずじまいだったんですが、
……と書いてたら、カイマンさんが見つけてきてくださいました。
それをこちらでパクらせていただきます。
等身大のふにゃっとした布でできた人形で、
白い髪やひげの、おじいさんおばあさんなんですよね。
中には小さい椅子に座らせたものもあり。
わりかし何ヶ所かで売っていました。
30日の晩に家の近くを散歩していたら、ある一軒の家の前にも
その人形がプラスチックの椅子に座らされていて。
何だろう、メキシコも核家族化が進んできて、
家に老人がいることがなくなってきたので、代わりに人形でも?
トラブル起こさないし、いいアイディアかもね???
うちにもソファに座らせたらけっこう楽しいかも。
なんてダンナと話してたんですが。
これ、実は Año Viejo という人形なんだそうです。
「旧年」と「歳をとった」を掛けてあるんでしょうね。
で、新年0時とともに、これを……燃やすんだって。
スペイン語のウィキペディアを調べたら、燃えてる写真がぁ~。
ちょっと怖い光景じゃないですか、これ?
まるで内戦か戦争でも起こっているような……。
ウィキの説明によると、古着と紙と藁で作った人形で、
メキシコからウルグアイまで、ラテンアメリカに広まっている習慣だそうで、
でも一番よく知られているのはエクアドルとコロンビアだとか。
もともとはスペインのいくつかの地方で見られる習慣だとかケルト文化だとか、
でもメキシコやペルーではインディヘナの伝統にも同じようなのがあるとか、
まあとにかくけっこう古い習慣ではあるようです。
でも、これまでそんなの聞いたことなかったよ……。
ダンナもまったく知らなかったと言ってます。
さらにウィキのメキシコでの習慣を読むと、
主にベラクルス、オアハカ、チアパスとタバスコ州で行われているらしく、
それ以外の地域では、これらの州の出身者たちが移住してきて
そこから広まっているらしい。
年末の3日くらい前からこの人形を家の前に置き、横に入れ物を用意して、
通りすがりの人のお布施を募るんだとか。
集まったお金では爆竹やガソリンを買うんだそうです。
まあ旧年のシンボルである人形を燃やして、
悪かったことは水に流し、じゃなくて火にくべて、
すっきり綺麗に新年を迎えましょう、というコンセプトらしいです。
ところで、まだ話に続きがあるんですが、
1日の夕方、近所のカフェにお茶に行ったんですよ。
そこには新聞とか雑誌が読めるように置いてあるので、
新聞を取ってきてめくっていたら、31日の新聞だったんですが、
こんな記事が。
記事にも人形の写真が出てますが、
その内容は、治安警察が、この人形に
爆発物を仕込むのはやめてくれ、と。
うっそ~、そんな物騒なものなの、これ!?
記事をよく読むと、この島(カルメンのことですね)では
この人形を燃やすのはもはや伝統であるが、とか書いてあります。
えー。
今年初めて見たんですけど。
ただ、道端で(もしくは道端に面した店で)売ったのは初めてかもだけど、
今まではメルカードとか、私が普段あまり行かないようなところで
これまでも売っていたのかもしれませんね。
何しろ数日しか売りに出ないわけですから、見逃してたかも。
で、とにかく、メキシコ人賑やかなのが好きだからでしょうか、
この人形に爆竹とか花火を仕込むらしい。
というか、仕込んだのを売ってるらしい。
でもそれは、火傷や火事の原因になるのでやめるようにと、
売っている業者にも、また町の人たちにも呼びかけているということでした。
まあねえ、治安局だって年末年始に火事や怪我人続出、なんてイヤだよねえ。
この新年の爆竹の派手な音の何割かは、
この人形に仕込まれた爆竹の音だったのかもしれません。
いやはや、それにしてもまだまだ知らない「伝統」があるんだなあ。
何しろメキシコ人であるダンナすら知らないってんだから。
まだまだブログネタには困らないかも、と思った元旦でした。