今日はちょっと雑談を。
よく見かける間違いや話題に、メキシコの地理的な位置があります。
地理的には、メキシコは「北米」です。
が、よく中米と間違えられたり、ひどい場合には南米にされてたりします。
文化的には、確かにカナダ・アメリカ合衆国と一線を画していて、
メキシコ以南を「ラテンアメリカ」とするのは正しいと思うんですが。
以前NHKに出演したときも、その点でだいぶ説明しなくてはなりませんでした。
グーグルマップから借りてきた地図ですが、クリックして拡大してください。
赤い●をふたつつけたところがありますよね。
メキシコが人魚の尻尾のようにくびれたところ。
ここを「テワンテペック地峡」と言って、
ここが「北米」と「中米」の境目だそうです。
つまり、私が住んでいるユカタン半島に近いところは、
メキシコでも中米に入る部分です。
が、メキシコ全体を見れば、そのほとんどが「北米大陸」にあることは
納得していただけるでしょう。
ついでに青い●をふたつつけたところは、
当然ですがパナマ地峡で、ここが中米と南米の境界線となります。
なんでこんなことを急に言い出したかというと、
ナショナルジオグラフィックのサイトにこんな記事が載ったからなんですね。
「
南米の古代文明、アステカのダンサー」
ちょっと待て、いくらアステカが勢力を誇っていたと言っても、
南米までは到達してなかったんでは……?
と思って記事を見に行ったら、まあ南米関係なかったですけどね。
天下のナショナルジオグラフィックがそんなこと間違えてどーするよ、
などとブツクサ言いながら、記事本文中にもリンクがありますが、
同サイトの「国情報」から「
メキシコ」を見てみると、
その第一文が「メキシコは、
北アメリカ大陸の南部に位置する」なんですよね。
わかってんじゃん。
ところでですね。
このナショジオのメキシコ紹介をざざっと読んでいて、一番下。
識字率 92%
にびっくりしました。
マジですか!?
それ、メキシコ政府の発表した数字とかじゃないですか?
でもって、それって
あなたは読み書きができますか
はい いいえ
なんてえアンケートの集計結果だったりするんじゃないでしょうか?
私が住んでいるのがオアハカ、チアパスに続く貧困州だからかもしれませんが、
私の受ける感じでは、識字率、もっと低いです。
これまで何人もお付き合いしてきた掃除のおばさんたちも、
数字は何とか読めるけどそれ以外はいっさい読み書きできない、とか、
読むのは何とか読めるけど、書くのはぜんぜん、とか。
町の銀行で自動引き出し機だの、電話の支払いを自動で済ませる機械だので
何をどうしたらいいかわからず立ち往生している人に遭遇しますし、
中には暗証番号を書いた紙を私に見せて、お金を引き出してくれという人もいます。
まあそこらのメキシコ人より、外国人で女だから、私が特に頼まれやすいのかも、
ということを考えても、識字率が90%超えてるとは思えない……。
向かいのおばさんですら、決して貧乏ではない、むしろイギリス系の白人だという人ですが、
字を書くときはものすごくゆっくりと、考え考え、まさに金釘流。
最初はリュウマチとかで手が動かないのかと思ったくらいです。
まあでもこのおばさん程度なら、充分読み書きできるほうに計算されてるんでしょうけど。
この 92% という数字がどこからどうやって出てきたのか、
ちょっと知りたいと思ったことでありました。
しかしその一方で、プリペイドの携帯電話の普及はすごく、
うちの掃除のおばさんもジャカジャカジャン♪と賑やかな音楽の鳴る携帯を持ってます。
で、都合でうちに来られないときはメッセージを送ってるんですが。
携帯のボタンでスペイン語を綴れること自体がすでにすごいんですが、
これが……毎回解読に苦労するんですよね。
たいてい前半は何となくわかるんですが、後半で考え込んじゃう。
ダンナに見せると、まあ30秒くらいで解読してくれます。
それもまたすごいと思う。
言われてみれば、ああなるほど、おばさんのしゃべり方をそのまんま
字にして並べたらこんな感じかなあ、と納得するんですが。
興味のある人は、一部を無断転載しておきますので
解読してみてください。
メッセージその1
Di s cu pe me si e
tomal me du e le
mu cho la ka be sa
si kie r boyoma
nana
メッセージその2
Se llora xxxxx(私の名前) boy
abrabajar o boy
manana por que
meto placha
メッセージその3
Pu e do iri ma n ana
co te me
メッセージその4
Dircu peme pero n
o pue do ir mi ni na
es ta ene fer mi ta
la bo a ye bar
aldotor
メッセージその5
Di kulpeme n o
teni pe sa sa li ri pe
ro n o pu e do iriyo
ye go ko m o a la u
na de la ta rde
この5本目にいたってようやく私も自力で解読できました。
なんかこう、ちょっと、石碑でも解読してるようなワクワクなんですよね。
というか、普段ふつうに対話している人のスペイン語なのに、
表記するとここまで違ってくるのかっていうのが
新鮮な驚きというか、面白いというか。
でもやっぱり読み書きがこのおばさんくらいであっても、できるというのは
とても大事なことだと思います。
以前チアパスから来ていた人は本当にぜんぜん読むこともできなくて、
2歳くらいの男の子を連れてきてたので、
暇を見てその子にはちょっと教えたりしたんですが、
本当はおばさんにも教えたかった……。
仕事もものすごくきちんとしてくれる人だったので、
もっといてくれたらよかったのに、と今でも懐かしく思い出します。