今回は、南アフリカを舞台に、南アフリカの役者達によるハリウッドらしくないSF作品。「District 9 第9地区」
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「キング・コング」や「ロード・オブ・ザ・リング」を監督したピーター・ジャクソン(僕は知らない人)がプロデューサーという以外、監督、出演者全員ほとんど無名。
舞台は南アフリカ。
ヨハネスブルグの上空に宇宙船が停泊している。
その宇宙船は故障して自分の星に帰れなくなっていて、エビと昆虫と人間を合わせたようなエイリアンが、地上に降りてきて住み着いてしまう。
当初は街を徘徊していた彼らも、人間に迷惑をかける為に、District9という所に収容され、世界の数カ国で結成されたMulti-National United(MNU)という組織が、彼らを見張り管理している。
僕には、このDistrict9がスラム街で、フィリピンでみた貧困街のバラック小屋の地域を思い出させた。南アフリカに実際にあるスラム街で撮影されたらしい。
MNUの本当の目的は、エイリアンたちが所持していた強力な武器の研究だった。
なぜか、彼らから押収した武器は人間には使用できないようになっていて、エイリアンのDNAと関係があるようだった。
物語の後半にも出てくるが、エイリアンの武器は人間の兵器などよりもはるかに強力だ。
なんで、こんなものを持っていながら、人間に取られたのか分からない。
そのDistrict9も手狭になり、エイリアンを他の場所に移す計画がすすめられていた。
その強制退去の指揮官に選ばれたのが主人公のウィカス。義父がMNUの幹部なので選ばれただけで、本人は人を指揮するようなリーダーシップはなく、人のいいお役人さんだ。
ただ、彼はDistrict9の内部に詳しかった。
そんな彼が、立ち退きの準備のための住民調査に、この地区を訪れた時にエイリアンのバラック小屋で見つけた化学薬品のガスを誤って吸ってしまう。
この薬品は、エイリアンが宇宙船を再び動かすために、やっと完成した燃料だった。
ウィカスは、そのガスの影響で次第にエイリアンに変化していく。先ずは怪我をした手がザリガニのようになっていく。
ここから、人のいいウィカスと、国際機関と名をうった悪魔のような武器商人の追跡劇がはじまる。
自分の妻に裏切られ、義理の父親の命令で武器とエイリアンとの関係をつかむため解剖されそうになったり、どんどん追い込まれていくウィカス。
その間に体もどんどん変化して、絶望的な状況だ。
そして彼が取った行動は、エイリアンを助け、彼らを宇宙へ帰らせる事だった。
序盤のドキュメンタリー調の粒子の粗い画質と、最近流行の手法でハンディーカメラで写したような映像と、俳優とはとても思えないどこにでもいるおじさんのウィカスの登場で、すぐに物語に引き込まれた。「何だ?何だ?」という感じだ。
そして中盤からは、序盤のドキュメンタリー調とガラッと変わって、アクションシーンの連続。
最後はモビルスーツまで出てきて、「アバター」状態だ。
そう言えば、最初は猫の餌を食べる汚いエビ人間、ゴキブリ人間だったエイリアンに、だんだん感情移入していくところも「アバター」と似ている。
そして、ウィカスとエイリアンが築く友情。
特に、子供のクリストファーが、どんどん可愛くなってくる。
最後は、郷愁をさそいながら、少しだけ希望を抱かせたラスト。ある人は絶望と見たかもしれないかな。
まさか続編は、ないよな。それも3Dで。
トリビア
主人公のシャルト・コプレイは演技経験が全くなく、役者になるつもりもなかったが、監督の短編作目にとまって主役に抜擢された。
合計6種類のエンディングが用意されていた。
オリジナルの作品。主役のシャルト・コプレイが警官役で出ている。