11月、苦手だった西洋近現代美術について勉強する機会があった。美術ド素人のあやふやな理解かもしれないが、超簡単にまとめると…
絵画の二次元(平面)に三次元世界をリアルに描くことが求められてきた時代の流れが、写真の登場により方向性の転換を迫られた。画家たちは原点である二次元世界への回帰を模作していくが、ちょうどその頃、日本から平面的かつ大胆な構図と色で描く浮世絵が欧州に流入し、画家たちに大きな影響を与える…。
ということで、故国オランダからパリへ出てきたゴッホも画商ビングの屋根裏部屋で大量の浮世絵に出合い触発され、日本に大いに興味を抱き、頭の中に理想化した日本まで作り上げてしまった。そのゴッホと日本との関わりに焦点を当てたのが東京都美術館「ゴッホ展 巡りゆく日本の夢」である。
今回の展覧会は最新の調査研究も反映し、ゴッホ作品とともに、ゴッホが模写したり、絵画に引用した浮世絵や版本等も併せて展示、ゴッホ作品への日本美術の影響の大きさを物語る。いや、私的にはむしろゴッホが夢想した日本の重さに気付かされたと言うべきかもしれない。
更に、私的に興味があったのは、三浦篤『名画に隠された「二重の謎」』 (小学館新書)で読んだ歌川広重の模写作品《梅の木》(1887年)における「浮世絵に漢字額縁」の意味するところであり、ゴッホでさえ西洋的な「絵画に額縁」という伝統から未だ逃れていない?という面白さであった。
フィンセント・ファン・ゴッホ《梅の木》(1887年)ゴッホ美術館
今回の展覧会では絵画的額縁の栄泉模写の《花魁》が展示されていた。
フィンセント・ファン・ゴッホ《花魁》(1887年)ゴッホ美術館
美術ド素人的に思うに、これって絵画タベルナクルム的額縁のようじゃありませんか?? もしかして、このゴッホの浮世絵シリーズは憧れの聖なる日本の象徴?? 或いは、もしかしてこの花魁は聖女なのかも?? なぁんて思っちゃったのでした(^^;;;
描き表具というのは掛け軸の表装部分にも手で絵を描いて表装のようにしてしまう方法で、江戸琳派の
鈴木基一などはけっこうやってます。
しかし、《花魁》の絵の中にも黄色い枠組みが見られるし、スーラ《グランドジャッド島の休日》も額縁のように縁取りが描かれていたりするのですよ(^^;
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:A_Sunday_on_La_Grande_Jatte,_Georges_Seurat,_1884.jpg
それに、ヤン・ブリューゲルやルーベンス作品にも絵画タベルナクル(ム)的作品がありますしね。
https://www.wga.hu/frames-e.html?/html/b/bruegel/jan_e/flowers/virgflow.html
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Peter_Paul_Rubens_%26_Jan_Brueghel_de_Oude_-_Madonna_in_een_bloemenkrans.jpeg
昔の写本細密画にも縁取るように花々が描きこまれていたりしているので
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Angers_Book_of_Hours_(folio_13r).jpg
やはり西洋の伝統も否定できないと思うのですよ(^^;;;