花耀亭日記

何でもありの気まぐれ日記

出光美術館名品選Ⅰ「日月四季花鳥図屏風」

2006-05-14 05:20:52 | 展覧会
開館40周年記念「出光美術館名品選Ⅰ」を観て来た。
http://www.idemitsu.co.jp/museum/2006new_tenjimain01.html

東京に出てきて憧れの日本美術を観ることができるようになった花耀亭は出光にもお世話になっている。特に最近茶碗が面白く感じ始めたものだから、陶磁器の歴史など勉強になることが多い。もちろん陶磁器だけでなくたくさんの名品を所蔵しているのだが、今回は初めて観る「日月四季花鳥図屏風」に目が釘付けになってしまった!

この室町時代の屏風は長い時を経て褪色しているものの、右隻を眺めれば将に柳暗花明。金色の日輪の輝きは金銀箔片を燦然と撒き散らし、満開の桜花は淡紅纏う胡粉花片を繚乱と舞い散らす。柳糸の下には雌雄の雉と幼い雛たち。色彩鮮やかな雄雉と地味色ながら愛情に満ちた眼差しで雛を見守る雌雉。ふと石川県立美術館で観た仁清作「色絵雌雄雉香炉」を思い出す。あ、ポーズまで似ているのでは?!
http://www.ishibi.pref.ishikawa.jp/syozou/election/index.php?PHPSESSID=ba7ac56116ab805157594990766e678b
雉親子の足元には笹、そして左には紅白の花。ちなみに花耀亭はこの草花の種類がよくわからない。松葉牡丹??きっと夏に咲く草花だと思うのだけど…。

さて、左隻を眺めれば将に和歌世界。画面中央は緑色鮮やかな松樹、左右に彩るは紅葉。されば流れる川は竜田川であり鹿も鳴く。銀色の三日月が秋の寂寥感を深め、鳴く鹿の声ぞかなしき、である。岩走る垂水のほとりに咲く白菊も冬の訪れを暗示しているようだ。

幸いに双隻の野辺や松葉の緑色だけは昔日の鮮やかな色彩の残香を留めている。褪色してしまった桜花や金銀を散らしたなびく古風な雲からは、それでもまざまざと綺羅眩い世界が彷彿され、そのめくるめく幻影にしばし陶然としてしまうほどだ。できるものならCGで当時の煌く色彩を再現して欲しいのだが…>出光美術館さま 

ところで、この15世紀の大和絵(土佐派?)を観ながら、美術ド素人は俵屋宗達が出現する先駆的作品のように思えてしまったのだが、結局みな先人をリスペクトしながら貪欲に技術を吸収し、独自の様式を打ちたてていくものだのだろう。先日静嘉堂文庫で観た宗達「関屋・澪標図屏風」もしかりだった...。
http://www.seikado.or.jp/sub0201.htm


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