花耀亭日記

何でもありの気まぐれ日記

秋の北イタリア旅行(9)(ヴェネツィア⑦アカデミア美術館-常設展Ⅲ)

2023-12-11 01:55:01 | 海外旅行

今回のヴェネツィア訪問の目的はアカデミア美術館「Tiziano 1508. 」展を観ることだったが、この展覧会は最初期のティツィアーノに焦点を当てたものである。展覧会を観る前に、ティツィアーノの眠るサンタ・マリア・グロリオーサ・デイ・フラーリ聖堂、そしてこの老齢となったティツィアーノ最後の作品の一つである《ピエタ》を観てしまうと、順番的に良かったのかなぁ?という疑問も湧いてしまった

で、《ピエタ》は最後の方の展示室にティントレット作品と並んで展示されていた。

ティツィアーノ《ピエタ》(1575-1576年)

https://www.gallerieaccademia.it/pieta

キリストにすがる男(ニコデモ?アリマタヤのヨセフ?)はティツィアーノ自身と思われる。

キリストの手を握るティツィアーノの必死の思いが画面からもうビシバシ伝わってきて、思わず絵の前のソファに座り込んでしまった。だって、右下の奉納絵はティツィアーノと息子オラツィオのペストからの息災祈願であり、しかしながら、この《ピエタ》を完成させる前にティツィアーノは亡くなり、オラツィオも翌年にはペストで亡くなる。絵を加筆完成させたのはパルマ・イル・ヴェッキオジョヴァネである。

この《ピエタ》は以前にも何度か観ていたが、当時はまだ若くて、老齢のティツィアーノのすがる思い(救いを求める思い)や、その必死さに気づけていなかった。今回、すっかり年寄になった私には、自分の墓碑として描いた画家の気持ちがよ~くわかるし、ティツィアーノの最後の傑作だとも了解できたのだった。

《ピエタ》展示室の奥を曲がるとロレンツォ・ロット《若い紳士の肖像》が展示されていた。

ロレンツォ・ロット《若い紳士の肖像(”Giovane malato”) 》(1530年頃)

https://www.gallerieaccademia.it/ritratto-di-giovane-gentiluomo

アカデミア美術館にはロット作品が少ない。やはり、ヴェネツィア本島では非主流派であったことの現れだろうか?

画面には修復によるものかロットらしい青白い光が満ち...この痩せた若者の青白さを一層際立たせているように見える。通称”Giovane malato”はメランコリックな青年の風貌からきているようだ。

以前にも書いたが、塩野七生『小説 イタリア・ルネサンス4  再び、ヴェネツィア』の表紙がこの作品であり、主人公のマルコ・ダンドロがロレンツォ・ロットに肖像画を描かせている。きっと塩野七生さんはロット好きで、この作品もお好きなのだろうと推察されるのだ

※ご参考:https://blog.goo.ne.jp/kal1123/e/e9db04ec8cbd9759a0cf153f13dadb59

奥の展示室にはティントレットやヴェロネーゼ、サヴォルドやモローニ、ヴァッサーノ一族、テッラ・フェルマの画家たち作品も並び、全てを観終えることで、ようやく1階(地上階)に降りることになった。

「Tiziano 1508. Agli esordi di una luminosa carriera (ティツィアーノ 1508年-輝かしいキャリアの始まりに)」展は1階(地上階)で開催されていた。



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