花耀亭日記

何でもありの気まぐれ日記

ロンドン・ナショナル・ギャラリー「マンテーニャとベッリーニ」展 超サクッと感想(^^;

2018-11-22 07:43:43 | 展覧会

「マンテーニャとベッリーニ」展の取りあえずの超サクッと感想を。記憶のみで書いているので誤記があったらすみませぬ

さて、この展覧会、確かに見応えはある。期待していた通り、ハンプトンコートからマンテーニャ《カエサルの凱旋》3作品が展示されていた。ルーヴル、プラド、ベルリン、ワシントン&MET等々、イタリア以外の主要美術館からも作品が収集構成され、質的にも量的にも満足でき、さすがLNGだと思った。

私的に嬉しかったのは、義兄弟ふたりの《神殿奉納》が並んだことで、展覧会ではこの二人の影響関係と作風の違いが、同一テーマ作品を並べながら見て取れる、ある意味贅沢なことでもあるのだが。もしかして、二人のアエムラティオ(aemulatio)と言っても良いのかな??

私見を言えば、初期作品ではやはりマンテーニャの力量の方が際立って見えたが、段々とベッリーニの作風が大気と光を纏うことにより、ヴェネツィア派の抒情的作風を大成していく様がわかったような気がした。

まぁ、マンテーニャはとことん古代彫刻好きだから硬質かつ静的でありがちなのだけど、それが魅力でもあるのだよね。今回人体ポーズ習作素描も多く出展されていて、ブレラ《キリストの死》短縮法への習作のように見えた。

で、展覧会構成で特に興味深かったのは、ふたりの宗教画や神話画の背景である「風景画」展示室であり、ベッリーニなんて風景の方を描きたかったんじゃないだろうかと思うほど。解説では、ヤン・ファン・エイクやディレク・バウツなどの北方の画家からの影響が言及されていた。

超サクッとなので詳細は端折るけど、今回は質的量的に満足はできても、ハンプトンコート作品以外の大型作品が少なく、以前観たローマ「ベッリーニ展」の大型祭壇画が並ぶ威容を体験している身としては少し物足りなさも残ってしまったのだった



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9 コメント

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無知なので(^◇^;) (momo)
2018-11-26 23:33:04
「マンテーニャとベッリーニ」はほとんど知識がないもので、自分が持っている本の中に情報があるかどうかを漁っていました(笑)
途中、どうしても寄り道しちゃうので(フィリッポ・リッピとフラ・アンジェリコとか)なかなか「マンテーニャとベッリーニ」にまで辿り着かず…
宮下先生の著書になんとか見つけました!
キリストの!あの絵の人なんだ!
また興味が広がりました〜
ってか、もう一回宮下先生の本読み直そっ(笑)

最近、巷では西洋美術を知って知識を増やそう的なのが流行っていますが、いや〜本を読んだだけじゃ知識繋がらないし…と思う今日この頃です。
(そもそも知識をつけてどうしたいかが問題だ!と正当化する私)
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momoさん (花耀亭)
2018-12-21 22:47:32
>キリストの!あの絵の人なんだ!
そーなんです~、あの絵ってインパクトあるでしょ(^^;
フィレンツェ好きのmomoさんにはあまり馴染みがないかもしれませんが、ミラノのブレラ美術館では二人の代表作が観られますよ~♪

で、本当に皆さん西洋美術の知識を増やしてどうするのでしょうね??
私なんて、ただ好きで観たい絵を追いかけ、より理解するためお勉強したいと思うだけで、それでどうするなんて全然考えたことありませんでした(;'∀')
momoさんは、それで「どうしたい」ってありますか??
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花さまと同感です! (momo)
2018-12-24 22:23:24
私の場合は自己満(笑)
あと、花さまのブログに集う方々についていけるように…とか?(笑)
(^_^;)
やっぱり好きだから調べたいっていうことでしょうか?
仕事もこれくらい探究心があればいいのに…(笑)
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momoさん (花耀亭)
2018-12-26 01:19:34
あ、私も「自己満足」かもです(^^;
momoさんを含め、ゲストの方々がディープ過ぎて、私も大いに刺激を受けています。momoさん、自信を持ってくださいな♪
で、好きなことって苦にならず調べちゃいますものね(^_-)-☆
確かに仕事は...(^^;;
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命短し恋せよ乙女 (むろさん)
2018-12-27 00:20:44
>キリストの!あの絵の人なんだ!
「あの絵」を初めて見たのは1987年の上野西美「西洋の美術―その空間表現の流れ」展。まだミラノへは行ったことがない時でした。図録を見返すとカラヴァッジョの眠るキューピッドやフェルメールの手紙を書く婦人も来ていたのですね。これらの絵よりも短縮法のキリストの方がインパクトが強くて、記憶に残っています。

>皆さん西洋美術の知識を増やしてどうするのでしょうね??
好きだから見る、詳しく知りたいから本を読んだり講演会に行く、大学図書館や博物館・文化財研究所の資料室に行く、大学院の聴講生になってカラヴァッジョの勉強をする…どんどん「ディープ」な世界にハマリ込んでます。若い頃の進学・就職などを考えて義務で勉強していた時とは違って、今は自由人なので好きなことだけをやって生きてるという感じ。ロレンツォ豪華王ではありませんが、今日の日を楽しめ、明日に確かな定めなければ(命短し恋せよ乙女)。
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むろさんさん (花耀亭)
2018-12-28 01:01:37
1987年、西美でそんな素敵な展覧会があったなんて!!仙台の田舎者は知りませんでしたです(涙)
「あの絵」は1989年にミラノで初めて観ています。あの短縮法は観る者の眼を釘付けしますよね。同じブレラのカラヴァッジョよりもインパクトありますし、《眠るキューピッド》では、やは り...(;'∀')

、むろさんさん、凄いですね!! 美術にディープにのめり込んでいらっしゃる。本当に好きだからこそ!ですよね(*^^*)
好きな美術をとことん追求できる「今」を大切に生きたいですね!!
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ディープな追求? (むろさん)
2018-12-28 23:22:13
私も初めてミラノへ行ったのは1988年か89年です。どこかですれ違っていたかも。

実は西洋美術に関しては、あまりディープな追求はしていません。海外旅行はめったにできないし、語学の問題で専門書や専門雑誌はほとんど読めないためです。せいぜい図書館でバーリントンマガジンの最新号が入荷したら眺める程度で、ボッティチェリやカラヴァッジョの記事、論文が出ていたらコピーを取っています。(最近のカラヴァッジョ関係では、今年の6月号にクリーブランドのアンデレの殉教についての真作と模写の比較論文が掲載されていました。)

語学の問題が少ない分、どちらかというと日本美術の方を深くやっています。吾妻鏡(原書は漢文だが最近は現代語訳もあり)で運慶に仏像を注文した女性(御家人の妻や将軍の世話役の女房など)の事績を確認したり、東博大報恩寺展では十大弟子・釈迦如来の耳を拡大鏡で眺めて、快慶や弟子の行快の特徴を比べ、耳を見ているだけで1時間ぐらいかかってしまった、などなど。(耳を見るのはモレリ、ベレンソンのルネサンス美術鑑定方法の日本美術への応用です。本家よりも日本の仏像研究で成果を上げていることの理由もだんだんと分かってきました。)
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むろさんさん (花耀亭)
2018-12-30 01:19:50
おお、もしかしてすれ違っていたかもですね(^_-)-☆
で、「The Burlington Magazine」は私もチェックしており、6月号のカラヴァッジョの件もコピーを取っています(^^)v
ちなみに、私は上京した折に美術館のライブラリーでチェックしるのですが、藝大図書館でも一般人が見られるのでしょうか??上野でチェックできると助かるのですがね💦

むろさんさんは西洋美術もディープなのに、日本美術の方がよりディープでしたかぁ(^^;
で、モレッリの耳が日本美術にも応用できるなんて!!(・・;) 私もこれから仏像を観る時に注目したいと思います。貴重な情報、ありがとうございます☆
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momoさんへお勧め (むろさん)
2018-12-30 15:13:13
>フィレンツェ好きのmomoさんにはあまり馴染みがないかも
>どうしても寄り道しちゃうので(フィリッポ・リッピ…とか)

私にとってフィレンツェは世界中で一番好きな町です。
フィレンツェ好きでフィリッポ・リッピに寄り道しちゃうmomoさんにお勧めの場所を2つほど。

1つ目はメディチ・リッカルディ宮の2階です。この建物ではメディチ家礼拝堂のゴッツォリの壁画が有名ですが、ここに上がる階段の反対側の階段を上がると県庁か何かの事務所があり、その一角にガラスケースに入ってフィリッポ・リッピの聖母子の板絵があります。聖母子以上に素晴らしいのは裏面に描かれた男性聖人の頭部(懺悔のヒエロニムスか預言者?)で、典型的なリッピの描く人物像です。ゴッツォリの壁画は有料ですが、リッピの傑作がタダで見ることができるのも嬉しいことです。

2つ目は4年ぐらい前に泊まったフィレンツェのホテルで、Hotel Torre Guelfa という塔のあるホテルです。町の中心部にあり、家族的な雰囲気で値段も手頃、建物は14世紀ぐらい? 塔の上に登ると絶景の景色が楽しめます。特に夜は大聖堂の円蓋とヴェッキオ宮がライトアップされ、闇の中に間近に浮かび上がっていて、これを眺めている時はまさに至福の時間でした。塔の上で軽食や酒も頼めるし、3日間ぐらい朝晩毎日塔の上に登っていました。場所はフェラガモからウフィツィ方向へ少し行ったサンティ・アポストリ教会の近く。中心部で便利な場所なのに観光客が少ない通りです。この周辺では何軒かのホテルに泊まりましたが、ここが最高でした。次回フィレンツェに行った時もまた泊まりたいと思っています。
http://www.hoteltorreguelfa.com/

※ 図書館、美術館資料室の件はあとで書きます。
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