アルブレヒト・アルトドルファー(Albrecht Altdorfer, 1480年頃 -1538年)は、レーゲンスブルグで活躍したドナウ派の画家である。一番有名なのは、多分、ミュンヘンのアルテ・ピナコテーク所蔵《イッソスの戦い》かもしれない。
アルブレヒト・アルトドルファー《イッソスの戦い》(1529年)アルテ・ピナコテーク
アルテ・ピナコテークで観た時、本当に凄い迫力だと思った。空の雲も、戦う兵士たちも、渦を巻き動いている感じがした。
で、今日のお勉強...。
この動いている感は、上部のプレートが斜めに描かれているためであり、回るプレートを中心に雲も、兵士たちも渦巻きながら回り動いているように構成されている。「戦いの絵」大好きなバイエルン公が、風景画を得意としたアルトドルファーに注文したのは不思議であるが、バイエルン公は意外に芸術家を見る眼があったのかも、とのこと。
さて、同じくアルテ・ピナコテーク所蔵の作品である《ドナウの風景》。
アルブレヒト・アルトドルファー《ドナウの風景》(1520-25年)板に羊皮紙、油彩、30×22cm アルテ・ピナコテーク
なんと!「ヨーロッパで最も初期の独立風景画の一つ」だそうだ。二本の高い樹木を前景に、ヴェルト城の見える鬱蒼とした深緑の中景、高い山並みの後景、そして高く広い空と雲!!
興味深いのは、この作品が縦長の風景画であること。17世紀オランダ風景画は横長から時間を経て縦長に移行するのだが(例:J.I.ライスダール)、アルトドルファーは既に縦長の風景画を先取りしていること!!
更に興味深いのは、支持体が板(ブナ材)に羊皮紙を貼り付けたものであり、もしかしてアルトドルファーが写本挿絵の技術を身に着けた画家だったかもしれないこと。(父親が写本画家??)
ということで、興味深くお勉強してしまったのだった。
板絵の風景画では、独立したものではなく、祭壇画の1翼だろうとおもいますが、ヘラルド・ダヴィッドの例あり URL
解説では宗教的意味合いがあるようですが、やはり画家が風景に惹かれたからこそ描いたような気がします(;'∀')