花耀亭日記

何でもありの気まぐれ日記

三の丸尚蔵館「花鳥展」(2)

2006-05-05 05:31:38 | 展覧会
伊藤若冲「動植綵絵」第2期(4月29日~5月28日)の展示を三の丸尚蔵館で観てきた。
http://www.kunaicho.go.jp/11/d11-05-06.html
今回の展示は、「雪中鴛鴦図」「梅花皓月図」「梅花群鶴図」「棕櫚雄鶏図」「桃花小禽図」「菊花流水図」の6点だ。

(1)でも触れたが、特に期待していたのはバーク・コレクションと同構図の「梅花皓月図」だった。屈曲する梅の枝振りと白梅の咲き誇るさまは素晴らしいとしか言えない。しかし、何故だろう、私にはバーク作品の方が心に泡立つものを多く感じた。仔細に観れば、バーク作品は白梅の小さな蕾が紅を帯びざわめいていた。ところが、「動植綵絵」では蕾がかなり減少し、開いた梅花の方が目立っているような気がする。ある意味で過剰さが抑制され、より構図として練られたものと考えられる。月を背に枝の重なりが奥行きを暗示し、幹に置いた青描の鮮やかさが画面を引き締める。しかし…だ、完成度は高くとも自己模倣はエネルギーを拡散する。先行作の燃え上がるようなエネルギーの迸りが何故か懐かしく思えたのだった。

さて、どうやら過剰さに反応してしまう花耀亭であるが、今回一番魅了されたのも雪の降りしきる水辺の鴛鴦を描いた「雪中鴛鴦図」だった。雪の散るさま胡粉の飛沫で描く描法はいつ頃に始まったかは知らないが、若冲の細かく振るいをかけたような胡粉の雪はまさに粉雪のしきりに降るさまを視覚から体験させてくれる。対角線を描くかのような枝と鴛鴦の構図、寒さと雪の重みに垂れるかのような小枝の垂直構図。胡粉の雪がまるで白梅の蕾のように下垂れる枝に咲いては降りしきる。鳥たちは雪中で語らっているかのような睦ましい姿だ。鴛鴦の起こ池の波紋の描写の面白さ、水辺に咲く紅白斑の鮮やかな山茶花の美しさ!展示や図録の修復記録を見ると絹裏面にも着色してあり、なんと裏面にも粉雪が舞っているのだ!

構図の面白さなら「菊花流水図」が一番かもしれない。大小絢爛たる菊花と光琳風流水が画面に流麗な弧を描きながら交差する。モダンな着物模様として現代にも通じる意匠センスに満ちている。大輪の白菊の花弁の描写はまさに若冲ならではの繊細で過剰。白黄赤青緑…色彩の散る花弁としなやかな茎葉を絡めながらの流水の面白さには唸ってしまう。琳派の作風さえも我が物にしてしまう若冲の傑物ぶりが窺える作品だ。本当に若冲という画家は凄いとしか言いようがない。若冲の描く世界に陶然としながらも、また、次回第3期の展示も期待が膨らんだ展覧会だった。

(画像貼付けができなくなったので画像は無し。やはり寂しい(>_<))


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2 コメント

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はじめまして (いぬまゆ)
2006-05-05 13:07:16
花耀亭さん、はじめまして。いぬまゆと申します。



僕も昨日「動植綵絵」第2期を見てきました。花耀亭さんのブログの内容と僕のブログの内容がよく似ていたので思わずコメント&TBさせていただきました。



また寄らせていただきますのでよろしくお願いします。
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ようこそです♪ (花耀亭)
2006-05-06 01:22:22
いぬまゆさん、はじめまして。ようこそです♪

コメント&TB、ありがとうございました!



「動植綵絵」第2期は、第1期に劣らぬ名品が揃っていましたよね。いぬまゆさんのブログにお邪魔しまして、本当によく似たご感想をお持ちになったのだなぁ、と嬉しくなってしまいました。拝見しながら再び感動が甦ってしまいましたです。それに画像もまた素晴らしくて!羨ましいなぁ~、いいなぁ~♪



私は日本美術を観るようになったのは近年で、本当に知らないことが多すぎます。いぬまゆさんのブログで勉強させてくださいませ。これからもどうぞよろしくお願いいたします。
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