花耀亭日記

何でもありの気まぐれ日記

ルーベンスのカラヴァッジョ作品模写。

2018-12-11 23:53:24 | 西洋絵画

ゲストのむろさんさん情報によると、ルーベンスが模写したカラヴァッジョ作品は《キリストの埋葬》だけでなく、フランチェージ教会《聖マタイの召命》模写作品も存在するそうです(・・;)

そのルーベンス模写《聖マタイの召命》の写真が、Michael Jaffé『Rubens and Italy』(1977年)に掲載されているとのこと。(深謝!>むろさんさん)

これ ↑ はルーベンスによるカラヴァッジョ《キリストの埋葬》の模写作品

《聖マタイの召命》も『Rubens and Italy』の掲載ページさえわかれば、(西美は無理でも)大学図書館にもあるようなので、一般人でも受付で資料(コピー)請求し見ることができるのではないかと思われます。藝大図書館にもあるようですね。

https://ci.nii.ac.jp/ncid/BA19903122

http://opac.lib.geidai.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BA19903122?hit=1&caller=xc-search

私もぜひ見たいものです!! 掲載頁をご存知の方がいらっしゃいましたら、ぜひぜひお教えくださいませ...m(__)m



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6 コメント

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芸大図書館 (むろさん)
2018-12-20 00:58:20
芸大図書館で所蔵していることを調べていただき、ありがとうございます。
実は昨日、関係している大学の先生にこのRubens and Italyの本のことを相談したら、その先生も所有されているということで、近いうちに見せてもらうことができそうなのですが、芸大にあるということなら、ちょうど14日に別件で芸大に行く用事があるので確認してきます。但し、ご紹介のCiNiiの芸大所有2件をよく見ると両方とも特定の研究室に配置されているようで、その場合は一般利用者は閲覧不可です。(該当部分のコピーが手に入ったら、素描の写真をメールに添付して送りましょうか。)

なお、別件の用事は仏像関係で、薮内研究室(あの奈良県宣伝キャラのせんとくんをデザインした先生)の博士審査展というイベントです。(下記アドレス)東博大報恩寺展に出ていた肥後定慶の准胝観音(六観音の一躯)の模刻研究の発表会が14日にあります。ここの模刻研究は美術史研究者とは違う製作者としての立場からの研究なので、外から見ているだけの研究とは違う視点からの発見が多いため、たいへん参考になる研究発表です。以前テレビ東京の美の巨人たちで、ベルニーニのアポロンとダフネ(ボルゲーゼ)の話しをやった時に、現代の彫刻家が模刻のために葉っぱの部分を糸鋸で切っていったら、大理石がすぐ折れてしまいうまくできなかったので、ベルニーニはどのように作ったのか分からない、と言ってましたが、このように実際に作ってみないと分からないということは多いようです。絵画でも若冲の裏彩色とか、截金とか、明治時代の超絶工芸などの技法の研究も同様ですが、特に彫刻の場合はそう思います。以前薮内研究室が協力して美術史学会の分科会を芸大で行った時に聞きに行ったことがありますが、日本彫刻史分野の著名な先生が何人も聞きに来ていたので、このような製作者の目線で研究するということの重要性を認識しました。
http://tokyogeidai-hozon.com/news/news.html

20USドル (山科)
2018-12-20 06:40:48
Rubens and Italyは、Abebooks(URL)では20ドルぐらいで売ってます。

どうも、「マタイの招命 模写」はStudyみたいですね。
 ただ、Studyでも、西洋美術館の「二人の子供」みたいに油彩でやったStudyもあるので、そういうものだったら鑑賞価値ありますね。グリザイユかもしれないし、単なる素描かもしれません。ルーベンスって金持ちだったんだね。油彩でSTUDYできるんだから。

Rubens and Italy (むろさん)
2018-12-22 23:56:00
芸大図書館でRubens and Italyを確認し、該当部分をコピーしてきました。

カラヴァッジョ関連は、第6章MANNERISMS AND MODERNITY IN ROME AND FLORENCEの57~58ページにCARAVAGGIOの項目で取り上げられています。図版ページにはページは付けられていなくて、図版の番号だけです。
pl 168がカラヴァッジョのマタイの召命、pl 169がロンドンNGのエマオの晩餐。これらに関連したルーベンスの模写はpl 193と194で、Last SupperのためのStudiesとあり、データとして1601年頃、紙にインク、DerbyshireのBakewell、Trustees of the Chatsworth Settlement とあります。
pl 193の左に、カラヴァッジョのマタイの召命の中央で背中を見せている若者から取ったと思われる椅子に座った人物(但し服装は簡素で帽子も被っていない)。画面右にはカラヴァッジョのロンドンNGのエマオの晩餐の左側でサヴォナローラ椅子に座った男から取ったと思われる人物を左右反転させて簡単に描いています。その他の登場人物はレオナルドのミラノの最後の晩餐その他から寄せ集めた人物のようです。
pl 194はもう少し簡素なペン画で、左側にはpl 193と同じマタイの召命の若者がごく簡単な線で描かれています。一方右側にはエマオの晩餐の人物は描かれていません。その他の登場人物は上下2段に描かれ、上段はかなり簡単な絵で、図柄もpl 193とは異なります。
この2枚のペン画はルーベンスがカラヴァッジョのマタイの召命とエマオの晩餐を直接見て描いた素描から、最後の晩餐のデザインを組み立てるためにレオナルドの絵からの素描なども使いながら、寄せ集めて2次的に描いた絵だと思われます。
pl 170にはティツィアーノのエマオの晩餐(ルーブル)、pl 171にはルーベンスに基づくW.Swanenburgの銅版画エマオの晩餐が出ていて、pl 171の左側で椅子に座る背中を見せた人物がカラヴァッジョのマタイの召命とエマオの晩餐の影響を受けていることをうかがわせます。

この他、pl 175と177にルーベンスのキリスト埋葬の図版が出ていて、175は紙にペン画の習作(アムステルダム王立美術館)、177は板に油彩(ロンドン、Count Antoine Seilern)とあります。カラヴァッジョのキリスト埋葬、ティツィアーノのキリスト埋葬(pl 174、ルーブル)やラファエロのボルゲーゼの絵などの影響を受けて描かれたものと思われます。177はオタワの模写作品ほどではないが、カラヴァッジョのキリスト埋葬に比較的近い作品で、キリストの遺体をもう少し下方へ降ろしたところの絵です。
むろさんさん (花耀亭)
2018-12-26 00:05:29
本当に貴重な情報を色々とありがとうございました!!! 『Rubens and Italy』はカラヴァッジョ好きにも外せない本ですね!!ぜひ見たいものです(^^ゞ

で、藝大に博士審査展というイベントがあるのを初めて知りました(・・;)。一般にも公開しているのが凄いですね!!
で、おっしゃる通り摸刻や模写という、実際に作ってみて初めてわかることの重要さは本当に理解できます。確かに製作者目線の研究は大切ですよね!!藝大サイトもチェックしておかねば...(^^;
むろさんさんのディープな情報に、重ね重ね御礼いたしますm(__)m
山科さん (花耀亭)
2018-12-26 00:32:32
Abebooksのご紹介、ありがとうございました!!
海外サイトで洋書を購入したことがないので、ちょっと敷居が高くて(^^;

で、模写作品は素描のようで、おっしゃる通り多分Studyだと思われますね。売れっ子画家ですから油彩Studyも有りかも...(^^;
今回の展覧会でも素描作品が展示され、ルーベンスが凄い勉強家だったことがわかりましたです。
むろさんさん (花耀亭)
2018-12-26 00:58:12
「Rubens and Italy 」の詳細な掲載情報、ありがとうございました!!m(__)m
これで大学図書館から資料(コピー)請求ができます(^^)v
それにしてもルーベンスはイタリアで貪欲に模写・デッサンしていますね。それを取り入れながら自分の作品として再構成する能力も素晴らしいと言うことでしょうか。
ルーベンスの画業において、やはりイタリア修業時代が大きな意味を持っていたことの証なのかもしれませんね。

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