花耀亭日記

何でもありの気まぐれ日記

横浜美術館「ホイッスラー展」を観た。(3)

2015-02-03 23:10:56 | 展覧会
「唯美主義」を調べていたら、思想的源流にテオフィール・ゴーティエ(Pierre Jules Theophile Gautier,1811 - 1872)がいた。ということで、本棚で古色に染まった新潮文庫版『モーパン嬢』(田邊貞之助・訳)を何十年ぶりかで手に取り、「著者序」を読んでしまった。

「美しいものは、その何たるかを問わず、すべて人生に必要缺くべからざるものではない。たとえば、花というものを全くなくしてしまっても、世人は物質的には全然困らない。しかし、誰が花をなくそうと思おうか。僕は、どちらか一方を捨てろと言われれば、薔薇よりもジャガ薯を捨てる。チューリップの花壇をむしって、キャベツを植えることができるような功利主義者は、この世の中に恐らく一人ぐらいのものだろう。....眞に美しいものは、何の役にも立てないものばかりだ。有用なものはみんな醜い。なぜなら、それは何かの必要のあらわれで、しかも、人間の必要は、その貧弱な性質と等しく、下劣で厭わしいからだ。」

昔は序文なんてすっ飛ばして読んでいたけど、けっこう過激で挑発的な内容だったのね(^^;;。当時のロマン主義への批判であるらしい。しかし、現代の私的には「機能的なものは美しい」と言うル・コルビジェの方に加担したいなぁ。

さて、今回来日しなかった《白のシンフォニーNo.1:ホワイト・ガール》。

《白のシンフォニーNo.1:ホワイト・ガール》(1862)ワシントン・ナショナルギャラリー

モデルは当時の恋人。「唯美主義」への傾きが良くわかる作品だ。白色のハーモニーを表現すること自体が絵画の目的となっているとのこと。ワシントンで観た時、ただ綺麗な絵だなぁと思って写真を撮った。多分、唯美主義ってそんな風に鑑賞して良いのだと思う。

ということで、展覧会に戻ろう。第3章はジャポニスム。
ホイッスラーのジャポニスムを観ていると、当時の欧州を席捲した日本美術のインパクトの大きさが実感できる。会場にはホイッスラーの唯美主義とジャポニスムが融合した作品が並んでいた。

今回来日した《白のシンフォニーNo.2》と《白のシンフォニーNo.3》は団扇を持つジャポニスムだった。


《白のシンフォニーNo.2:小さなホワイト・ガール》(1864)テート美術館


《白のシンフォニーNo.3》(1865-67)バーバー美術館

すみません、本当は(3)で終わらせたかったのに、次回へ続く、です(^^;;;