埼玉県立近代美術館で「300%スパニッシュ・デザイン展」と「ファッションとスペインの文化展」を観た。スペインにおける20世紀初頭から現在に至るデザインを一望できる画期的な展覧会だった。
http://www.saitama-j.or.jp/~momas/3.htm
ちょうど行ったのが展覧会オープニングの日と言うこともあり、会場にはスペイン人関係者が多く、日本人観客の方が少なく感じた。なにしろ聞こえてくるのは元気なスペイン語ばかり(笑)
さて、今回は「300%スパニッシュ・デザイン」の感想なのだが・・300%とは、椅子・ポスター・照明の3種類のデザインを指す。
【椅子】
そのデザインを誇るだけあってシンプルでモダンなものが多かった。やはり皮革製品に定評あるスペインなので良質の皮の椅子もある。しかし、一番見応えがあったのはアートとしての椅子だった。ミロの椅子「座る女と子ども」は色彩豊かないかにもミロ的造形で、子どもが空豆のような形で座面にちょこんと置いてある(ように見える)。ダリの椅子の足はハイヒールを履いた女性の足だ。もしかしてガラ夫人の足だろうか?(^^; タピエスの椅子には画家の衣服が貼り付けてあり、椅子と言うよりオブジェ作品と言った感じだ。そんな中で一際目を惹いたのはアントニ・ミラルダ「ロッキング・チェア」だった。揺り椅子全面を覆いつくすのは銃を構えた無数の兵隊の列。白い兵隊のフィギュアが整然と銃を構え、沈黙がロッキング・チェアを支配する...。
【ポスター】
さながら20世紀ヨーロッパにおけるアート・デザインを回顧するような内容だった。ロートレックを思わせるポスターやアール・デコそのものと言えるものなど、当時のスペインが欧州デザインの流行に否応なく影響を受けざるを得なかったことが見て取れる。
しか~し!スペインは圧倒的個性を持った芸術家を生んだ。ダリ自身が作った「ダリ劇場美術館」ポスターの何とシックで素敵なこと!もちろん大御所ピカソやミロも自身の展覧会ポスターを描いている。自分の展覧会だからモチロン力が入っていてオシャレである(笑)。ピカソ「女官たち」もあったが、ベラスケスの絵を元にしたものだと思うのだがどうなのだろう…?
実は私的に一番興味深かったのはアルモドバル監督の映画「ハイヒール」のポスターだった。作者のファン・ガティはヒール部分を拳銃の銃身として描いている。う~ん、この映画を観ているので確かにわかるけど…デザイン的にちょっと考え過ぎのオチという気がしないでもなかった(^^;
【照明】
なにしろ今回の展覧会の一番の期待はマリアーノ・フォルトゥニー(息子)のデザイン作品にあった!下目黒研究所長さまから、期待できそう、との情報をいただき、初日に走ってしまった花耀亭である。と言うことで、期待通りフォルトゥーニの照明ランプもあった(^^)v。繊細なプリント地や房飾りを用いたにランプ・ シェードはそのフォルムも含め東洋的な雰囲気を醸し出していた。実は会場で白いプロジェクターを見たのだが、後でリストを見たら、それもフォルトゥーニのデザインだったようで意外だった。
フォルトゥーニはスペインの画家マリアーノ・フォルトゥーニの息子で、母は画家でありプラド美術館長を務めたマドラッソの娘である。フォルトゥーニ(息子)はベネチアに工房を持ち、照明・ファブリック・衣装等々、さまざまなデザイン活動を行った。今回の2つの企画展では何と親子競演が見られたのだ!)^o^(
さて、スペインの照明ランプで一番有なのはル・フリーク「ピンポン」ではないだろうか?ピンポン玉の集合体としての楽しい作品になっている(ブログの画像参照)。では、一番意表を突いた作品はと問われるならば、はやはりダリの作品と答えたい。スタンド部分にまるで燃えるキリンに出て来るような抽斗が付いているのだ!抽斗の中からコードが出てくるのもダリらしくおちゃめだと思った(^^;。そして、一番見惚れてしまったのがラモン・バイス「ブルカノ」(多分)である。メタリック板素材でスパイラル状に上へと引き伸ばされたような造形で、フォルム的にも素敵だ。その先端からふと天井を見ると、何とスパイラル円の渦巻きが美しい光の影となって映っているのだ!計算し尽くされた造形の美を見たような気がした。ウルカルヌスとウェヌスのシンフォニーと言うところだろうか?
今回スペインのデザインをまとまった形で観ると、歴史に裏付けられながらも、現在のスパニッシュ・デザインがより斬新なものに向かっている様子が見え、目にも大変楽しい展覧会となった。
なお、次回「ファッションとスペインの文化展」へと続く…(予定(^^;;)
http://www.saitama-j.or.jp/~momas/3.htm
ちょうど行ったのが展覧会オープニングの日と言うこともあり、会場にはスペイン人関係者が多く、日本人観客の方が少なく感じた。なにしろ聞こえてくるのは元気なスペイン語ばかり(笑)
さて、今回は「300%スパニッシュ・デザイン」の感想なのだが・・300%とは、椅子・ポスター・照明の3種類のデザインを指す。
【椅子】
そのデザインを誇るだけあってシンプルでモダンなものが多かった。やはり皮革製品に定評あるスペインなので良質の皮の椅子もある。しかし、一番見応えがあったのはアートとしての椅子だった。ミロの椅子「座る女と子ども」は色彩豊かないかにもミロ的造形で、子どもが空豆のような形で座面にちょこんと置いてある(ように見える)。ダリの椅子の足はハイヒールを履いた女性の足だ。もしかしてガラ夫人の足だろうか?(^^; タピエスの椅子には画家の衣服が貼り付けてあり、椅子と言うよりオブジェ作品と言った感じだ。そんな中で一際目を惹いたのはアントニ・ミラルダ「ロッキング・チェア」だった。揺り椅子全面を覆いつくすのは銃を構えた無数の兵隊の列。白い兵隊のフィギュアが整然と銃を構え、沈黙がロッキング・チェアを支配する...。
【ポスター】
さながら20世紀ヨーロッパにおけるアート・デザインを回顧するような内容だった。ロートレックを思わせるポスターやアール・デコそのものと言えるものなど、当時のスペインが欧州デザインの流行に否応なく影響を受けざるを得なかったことが見て取れる。
しか~し!スペインは圧倒的個性を持った芸術家を生んだ。ダリ自身が作った「ダリ劇場美術館」ポスターの何とシックで素敵なこと!もちろん大御所ピカソやミロも自身の展覧会ポスターを描いている。自分の展覧会だからモチロン力が入っていてオシャレである(笑)。ピカソ「女官たち」もあったが、ベラスケスの絵を元にしたものだと思うのだがどうなのだろう…?
実は私的に一番興味深かったのはアルモドバル監督の映画「ハイヒール」のポスターだった。作者のファン・ガティはヒール部分を拳銃の銃身として描いている。う~ん、この映画を観ているので確かにわかるけど…デザイン的にちょっと考え過ぎのオチという気がしないでもなかった(^^;
【照明】
なにしろ今回の展覧会の一番の期待はマリアーノ・フォルトゥニー(息子)のデザイン作品にあった!下目黒研究所長さまから、期待できそう、との情報をいただき、初日に走ってしまった花耀亭である。と言うことで、期待通りフォルトゥーニの照明ランプもあった(^^)v。繊細なプリント地や房飾りを用いたにランプ・ シェードはそのフォルムも含め東洋的な雰囲気を醸し出していた。実は会場で白いプロジェクターを見たのだが、後でリストを見たら、それもフォルトゥーニのデザインだったようで意外だった。
フォルトゥーニはスペインの画家マリアーノ・フォルトゥーニの息子で、母は画家でありプラド美術館長を務めたマドラッソの娘である。フォルトゥーニ(息子)はベネチアに工房を持ち、照明・ファブリック・衣装等々、さまざまなデザイン活動を行った。今回の2つの企画展では何と親子競演が見られたのだ!)^o^(
さて、スペインの照明ランプで一番有なのはル・フリーク「ピンポン」ではないだろうか?ピンポン玉の集合体としての楽しい作品になっている(ブログの画像参照)。では、一番意表を突いた作品はと問われるならば、はやはりダリの作品と答えたい。スタンド部分にまるで燃えるキリンに出て来るような抽斗が付いているのだ!抽斗の中からコードが出てくるのもダリらしくおちゃめだと思った(^^;。そして、一番見惚れてしまったのがラモン・バイス「ブルカノ」(多分)である。メタリック板素材でスパイラル状に上へと引き伸ばされたような造形で、フォルム的にも素敵だ。その先端からふと天井を見ると、何とスパイラル円の渦巻きが美しい光の影となって映っているのだ!計算し尽くされた造形の美を見たような気がした。ウルカルヌスとウェヌスのシンフォニーと言うところだろうか?
今回スペインのデザインをまとまった形で観ると、歴史に裏付けられながらも、現在のスパニッシュ・デザインがより斬新なものに向かっている様子が見え、目にも大変楽しい展覧会となった。
なお、次回「ファッションとスペインの文化展」へと続く…(予定(^^;;)