かどくら邦良@高崎市議会議員 ブログ

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2014.2.17 「芸術的抵抗と挫折」-細川護煕氏の都知事選出馬を考える-

2014-02-17 00:57:36 | インポート
     

どうしても好きになれない詩人である吉本隆明だが、彼の論集の中に「芸術的抵抗と挫折」だけは、私を唯一引き寄せるのである。

吉本的な意味での「芸術的抵抗と挫折」ではなく、私的な勝手な解釈をして芸術は現実(政治)に必ず敗北し、挫折する。

しかし、その敗北の先に「芸術=可能性」が開かれてくる。それは「希望」という言葉に置き換えてもいいかもしれない。

     

私にとって、今回の細川護煕元総理の都知事選の出馬と、小泉純一郎元総理の支援は「芸術的抵抗と挫折」にみえた。

二人の元総理がピエロと批判されながら、東京都知事選挙という場を使ってのこの行動と残酷な結果は、まさに「芸術的抵抗と挫折」だったと思う。

政界を引退していた長老の二人が静かにしていれば、何の批判も受けずにいられたのに、原子力を維持したい体制と権力グループに誹謗中傷を浴びながら闘った選挙戦、宇都宮候補にも後塵を拝してしまった選挙結末。この結果と批判を一身に受けるのは二人の元総理だ。

しかし、二人の元総理の抵抗がなければ、安倍政権の原発再稼働、推進の犯罪性を浮き彫りにすることは出来なかったと思う。

「脱原発」はシングルイシューではなく、日本の文明史、政治史的に大転換を図る思想闘争である。この問題提起を東京だけではなく、日本中に喚起してくれたのは二人の元総理の大きな功績だ。

この選挙結果は、確かに大きな挫折である。だが、この挫折と敗北は必ず未来につながる芽となって育っていく、いや育てていかなければ私たちの未来はない。

原発との共存に私たちの未来はない。二人の元総理の芸術的抵抗を、挫折に終わらせない責務が私たちにある。