山浦清美のお気楽トーク

省エネ、農業、飛行機、ボウリングのことなどテーマ限定なしのお気楽トークができればと思っております。

「科学」と「技術」

2020-05-08 | うんちく・小ネタ
 コロナで仕事が激減し、百姓仕事以外は引きこもり状態にありました。そこでやっと「虚数の情緒~中学生からの全方位独学法」 の読破にチャレンジし始めました。現在、400ページを超えた辺りを読んでおります。
 そんなおり今朝方のテレビ番組で九大の小田垣先生の研究が紹介されておりました。(詳細は「新型コロナウイルスの蔓延に関する一考察 」をご参照ください。)
 実は小田垣先生は物理学者です。なのに何故専門が違うコロナに関する研究を発表されただろうかと気になる方も多いのではないかと思います。
私は前々からコロナの専門家会議に物理学者を入れたらとブログに書こうかと思ってはいたのですが、私が書いたって何の影響もありませんので止めてしまいました。というのもPCR検査を多くすると医療崩壊を起こすとか色々な理由で、検査数を抑えていることに対して専門家会議が異議を唱えておりませんでした。漠然と変な方向に進んでしまっている印象を多くの方々が抱いていたのではないかと思います。いわゆるその道の専門家は、現場や色々なことを考慮に入れ過ぎて適切な判断ができなくなる状況に追い込まれることが往々にしてあります。この点、門外漢は客観的に分析出来て何が重要なことであるかを洞察することが可能です。特に物理学者は諸問題を分析し、帰納し、数式化し量的考察を行うのを常としているのです。ということで今回良い実例を見せていただいたのです。

 だいぶわき道にそれてしまいましたが、「虚数の情緒~中学生からの全方位独学法」 の37ページから数ページに渡り引用させていただきます。
 -以下引用ー
 わが国では、「科学技術」と一括りにして語られる場合が多いが、これは本当に面倒な問題を惹き起こす複合語である。<中略>「科学」と「技術」は全く別物である。それは、寧ろ正反対の方向性を持ったものである。この両者を混同する所に多くの悲劇が生じる。その最も大きな違いを簡単に言うと、「専門性の違い」となろう。ここでは、それらに従事する人、即ち「科学者」と「技術者」の違いから説明していこう。
 「科学者」は、固有の専門を持たないのが普通である。<中略>本来、科学者は、自らの興味、或いは、その時代その国の必要性に考慮して、軽快に多くの学問間を渡り歩くものなのである。<中略>敢えて「専門」という言葉に拘泥すれば、科学者にとっての専門とは「科学的な考え方」の事であり、本来それ以外には無い。科学者は、この「科学的な考え方」を唯一の武器に、興味ある分野を片っ端から攻略していく「狩猟民族」なのである。<中略>
 逆に「技術者」は専門を持つ。専門を持たなければ、それは「技術者」とは呼べない。彼らは、生涯を通して同じ作業を遣り続け、その道の職人、一芸名人になるのである。<中略>勿論、技術者も他分野への興味は持つ。然しながら、その興味は後で本来の自分の分野での技術を高める為、その目的の為の好奇心に留まることが殆んどである。<中略>当然、科学と技術に、善悪、優劣のある筈もなく、お互いが補い合ってこその存在であるが、それは決して「科学技術」などと一括りにできるものではない。対立し競い合いながらも協調し合う、「相補的」な関係である。
-引用終わりー

 このように物理学者である小田垣先生が医学の分野に取り組まれることは不自然なことでもなんでもないことなのです。むしろ当然のことなのかも知れません。
 お医者さんと一口に言いますが、その中には臨床を中心にされている方、研究を中心にされている方など様々でしょう。医師免許を持たない医学博士もいらっしゃいます。先の科学者と技術者の分類に従えば、研究を中心にされている方は「科学者」、臨床を中心にされている方が「技術者」とでもいえましょうか。心臓や脳外科医はよく職人に例えられます。それほどに匠としての技が求められている訳です。

 さて、先ほどのコロナの専門家会議のメンバーは「科学者」なのか「技術者」なのか、もしくはその両方を兼ね備えた方々なのか気になるところです。今後の政府の判断は専門家会議の結論に大きく左右されることになります。
 そういった意味で専門家会議のメンバーには専門外(現在は弁護士だけ)の方も参加してもらいたいと思っております。



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