売れない話

絵の前で少年は足を止めた
蜻蛉が花に止まっている
少年が初めて見るような蜻蛉
くるくる指をまわして攪乱した
「さあ、僕と入れ替わらないか」

　アクロスティック「江戸仕草」



底抜けに明るい
子犬の役がまわってきた
噛み倒してしまっても
尻尾を振れば大丈夫
焦げつく夏を冷やかすホラー

　アクロスティック「そこかしこ」



腑に落ちない話が
路地裏で売られていた
くらくらするような僕らの話
からくりだらけの鴉の話
狐につままれたような三つ目の話
稀にみるような晴れの話
知ったところで役には立たぬ
ただ寄り添っているような話ばかりだ
！

　アクロスティック「ブログ書きました！」