銀冠の小部屋17地点にひょいとかわして残っていれば最高だと思う。美濃もいい。18玉と端に寄って涼しい顔して残して勝ちたいと思う。
「そうやって勝ちたいからだ」
だから僕は振り飛車を指しているのだと思った。だから将棋を指しているのかもしれない。あるいは、だから生きているのかもしれないとふと思ったりもする。(みんなはどうして将棋を指すか考えてみることはあるかな?)
美濃囲いって堅いのかな?
時々疑問に思うこともある。
(角と桂で詰まされたような時は特に)
玉に紐がついていないせいで、ゼットではないのだ。
39に銀を打たれて早速ピンチ。
王手がかかって全然助かってなさそうだけど……
「金なし将棋に詰め手なし!」
18玉!
取ったら詰むけどかわして際どく助かっている。
そして、最後は39に打たれた銀を時間差で取って相手玉を詰まして勝つのが理想。
(かわして、取って、詰ます!)
「王手!」
ひらり♪
「金がなければ詰むまい」
「ならば自陣に手を戻そう。金を渡さず寄せれまい。金が入れば美濃を詰ますぞ」
「確かにその通りだ。金は渡すことになるだろう。しかし、手順を尽くせばどうかな」
「何を? いったいどうすると言うのだ!」
「最後に詰めろを解きつつ詰めろをかけてやるぞ!」
「何? そんな手が?」
ビシッ♪
そして、僕は39金と指すのだ。
詰ましにきた一手が質駒となっている。
取れずにかわした一手が早逃げになっている。
だから、その瞬間18玉はゼット(絶対詰まない形)になっているところが、あまりに素晴らしいではないか!
すぐに詰んでしまいそうな美濃囲いが、相手の攻撃をかわしながら最後にゼットになるなんて!
ああ、振り飛車ってなんて素晴らしいんだろう!
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