目が覚めても
目が覚めないまま
夢の浅瀬をさまよっている
(忘れ物が思い出せない)
カーテンを開いても
現実はぼやけたまま
一行も書き出すことができない
(一日を生きることができない)
今日は駄目かも知れない
ずっとこのまま
駄目かも知れない
不安を引きずりながら
空白のページを見つめている
突然
一つの比喩が降りてくる
いつか歩いた街の風景と結びついて
一つの台詞が聞こえてくる
(ああ。ここはいつかもきた)
一行の詩が
世界の隅っこに僕を呼び戻す
堰を切ったように確信があふれ出す
「書ける」(生きられる)
もう 行けない場所はどこにもない
一つの比喩をはじまりにして
世界中を旅することができるのだ
僕はまだ何も書き出さないまま
ただ笑っている
(大丈夫)
もう いつでもはじめることができる
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