眠れない夜の言葉遊び

折句、短歌、言葉遊び、アクロスティック、夢小説

初夢の予感

2018-12-29 10:40:47 | 短歌/折句/あいうえお作文
濃い口の
歌を一曲
飲み干した
年越しそばが
リクエストする

「コウノトリ」



 参列の日を憂い奥を覗いた靴箱からいつかの革靴が現れた。この色はどうだろうか。小枝よりも薄くモスのテーブルよりは濃い。好きだろうか。自分に問いかけてみる。好きだった色だろうか。事情があったのだろうか。好きというより仕方なく選んだのかもしれない。自分の手に入るものがいつも好きなものとは限らない。遠い昔のことならなおそうだとも思える。好きを問いながらずっと見ている内に革靴は眩しくなった。瞬いた時にはスニーカーに見えていた。「1991」表面に鮮やかに浮かび上がる年号。それがこいつの生まれた年か……。靴は改めて見るとデニムとつながって一体になっている。トップに穴が開いていてそこから空気を吹き込むとデニムが大きくなってベストサイズになる。これはいい。今でこそいい!(きっと誰も持っていないぞ)だんだんと興奮が高まっていく。これを着て行こう。これを履いて行こう。これを取っておこう。足を通さず大事に飾っておこう。憂いから始まった出会い、奇跡の再会に感謝しなければならない。エアーデニムシューズをハンガーにかけて眺めた。狭い部屋の壁に吊されたコートがコウモリのように見えて気分を重くした。もうすぐ日付が変わるとラジオが言った。ここは冬の洞窟のようだな……。明日は多分日曜日だというのに。



我先に
立つ鳥々は
私語を止め
普段着を脱ぐ
年末年始

「渡し舟」

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クリスマスと北風小僧

2018-12-29 04:22:39 | 短歌/折句/あいうえお作文
いつにない列のケンタを通り過ぎフードコートでクリスマス・イブ


冷え込んだ聖夜に盤を凝視して遠見の角を据える七段


クリスマス休暇の君がいない日のメニューはブラック・コーヒーひとつ


忙しいサンタに代わりやってきた北風小僧とはしゃぐ豆柴

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