太陽光発電シニア

太陽光発電一筋、40年をはるかに過ぎたが何時までも興味のつきない厄介なものに関わってしまった。

もうちょっと勉強してから書かれたら

2020-10-25 08:20:56 | 日記
 朝刊の1面と2面にかなりのスペースを割いて著名人のコラムが載る。今日は「エネルギー政策」である。投稿者は著名な鉄道会社の名誉会長だ。庶民から見れば位人臣を極めた信頼すべき知識人と思ってしまう。しかしそれはある分野についてであり、だからと言って万般に教養と知見があるとは限らない。副題は「風力・太陽光安定性に課題」である。しかしながら内容は世間の噂や風評、事実の誤謬に満ちている。後に残る文章として氏は後悔されるのではないだろうか。
・風力や太陽光は風況や日照次第で発電量が大きく変動する。・・・確かにそうだがだから使えないわけではない。比率からして今年上期のIEAの速報値を氏は見ているだろうか。
・それらは必要な時に必要な出力を確保するという主力電源の「資質」に欠けている。・・・後段でだから原発が必要と展開するが原発も出力調整不可の電源であり必要な時に必要は無理である。
・蓄電池や燃料電池はコスト面で近い将来実用化できる見通しは立っていない。・・・車業界の最近の動向をどう見ているのか。蓄電池は高いから使えない時代は過ぎており使えるところから使って行くというのが今の流れである。電気自動車が普及すればそれらは必ず定置用に再利用される。
・偏西風で安定している欧州の風力と違い日本は風向が一定せず洋上も直ぐ深くなり高コストになる。・・・凡そ当たってはいるが多数基の発電所の運転で安定化しているスペインを見学されたらどうか。
・(日本の)多雨の風土は太陽光に有利とは言えない。・・・確かに砂漠地帯の日照と比べればそうだが氏が比較する欧州は日本より日照が少なくても大量導入されている。
・欧州は国際連系線で繋がっており電力を融通できる。・・・それが各国の安定供給のために機能しているというデータは何処にあるのだろう。経済原理で電力の売買をしているデータはやたらある。
・ドイツはフランスから原発電力の供給を受けられるから原発ゼロを目指せる。・・・噂レベルの際たるものでドイツ国民が聞いたらJRに乗らなくなる。
・地熱を石炭火力に置き換えていけば良い。・・・CO2だけを問題にしているが地熱はそのGHGガスの排出する。
「不都合な現実からは目をそらす。遅きに失し、しかも不十分な弥縫策を繰り返して問題を先送りする。」これはそのまま御本人にブーメランとして返ってくるのではないだろうか。勿論再エネが万能でもないし、バックエンドを除けば燃料ウランを確保し償却の進んだ原発を動かせばコストが安いのは事実だろう。しかし定期点検で止まり、夜間需要を越える発電はできないのも原発の実態である。原発も再エネもある意味不器用な電源である。その得失を理解した上でベストミックスをという時代である。片方に与するようなコラムは逆に国民をミスリードする。私のような凡夫でもこんなコラムは恥ずかしくて書けない。編集者なら載せない。折角名誉ある人生を送られたのだからもう少し勉強もし、周りの意見を聞いてから書かれた良かったのに、惜しい。