四国電力の伊方原発1号機の廃炉が決定される見通しと報じられた。同社によれば新しい安全対策にコストがかかり採算に合わないとのこと。同原発資料によれば1982年に稼働開始、2022年に40年を迎えるという。40年経過しても新しい安全基準を満たせば20年の延長は可能な筈である。原発の発電コストは安いという話だったと思うが、殆ど設備償却を終えている原発でも追加安全対策を施すと20年運転しても採算に合わないことになる。このコスト試算を公開すれば単機の採算の計算方法が明らかになり、他の原発の参考になると思うが。コストを総括原価で求める今の方式から2020年の電力改革以降は単機ベースでの採算が重要になるのだろう。今後は高い原発(採算がとれない)と安い原発の仕分けが始まるだろう。勿論電力会社内での試算を終わっているだろうが、エネルギー基本計画見直しは微調整程度で2030年の原発は40基程度の稼働が必要である。ラフには100万KW×稼働率(点検含む)70%×24h×365日×40基≒2450億KWHでほぼ消費の25%だがそろそろ電力会社は候補原発を列挙すべきと思う。偉い先生方が40基と言って後で梯子を外されては面目丸潰れである。勿論原発には伊方のように小型のものも含まれるから100万KWは具体的個別容量でなければならない。再エネについても同じ事が言える。エネルギーの世界で2030年は既に夢や理想あるいは意気込みで捉える年ではない。限りなく実現性可能性が求められ、プロセスまでも提示しなければならない。意気込みだけなら愚生にも語る事ができる。
再エネの記事で驚いたのはソフトバンクGがサウジに200GWの太陽光発電所に投資とのこと。投資額が21兆円、設備容量は2億KWで現在の日本全体の電源設備容量の7割くらいに相当する。日射量が多いことを考慮すれば設備利用率は15%を超えるだろう。発電量は2億KW×15%×24×365=年間2,628億KWHで日本の消費電力量の30%に近くなる。とてつもない数字ではあるが業界が策定したビジョンでは2050年に200GWだからとてつもない計画である。同国の電力消費見通しは2030年で3300~4500億kWHとうい予測もあるからほぼ石油は輸出に振り向けられることになる。制御可能かとか、バックアップ調整電源はとか細かい話もあるが、200GWという規模や投資額があながち夢物語りといえないところはソフトバンクGだからである。これまでの投資やM&A規模からみれば小さい方だろう。太陽光発電をGW(100万KW)を単位にして語るなどとはこの仕事に就いた45年前には夢や理想を遥かに超えた所である。こちらが時代遅れになるのは無理からぬところである。モンゴル人の古い友人が日本に来ている。お誘いがあり出掛けるが、彼と設置に回ったゲルの電化の太陽電池は200Wである。サウジの話題の何分の一か俄かに計算もできない。