太陽光発電シニア

太陽光発電一筋、40年をはるかに過ぎたが何時までも興味のつきない厄介なものに関わってしまった。

朝からなーんだ

2018-01-31 10:16:13 | 社会観察

朝刊を読みながらTVを点けると国会中継が始まっている。野党の結構顔を知られた人が質問に立っている。しかし一体この人はどんな答弁を引き出そうとしているのかサッパリ分からない。極めつけは森友問題に対する総理の追及だ。夫人が講演会で何を喋ったのかとか、名前を冠した小学校の経緯とか、どう考えても以前国会でやりとりした範囲だ。それでも過去をレビューしながらきっと新しい事実を出して追及して行くのだろうと興味を持って視続けたがなーんにも無い。総理も呆れて苦笑混じりの答弁を繰り返していたが無理からぬことである。野党議員はもっと独自調査もし追及しなければ訊く意味が無い。マスコミ報道を質すだけの質問なら税金と時間の無駄である。森友問題は総理の関与を追及しても意味が無い事は分かっている筈である。問題は関係機関が忖度で理不尽な値引をしたかどうかだけである。せめて事前の値引き交渉は無いと言った財務局が音声テープが出て来て虚偽答弁では無かったのかという点からスタートすべきで、質問議員は何を目的の質問か全く意味不明。万年野党どころか億年野党に落ちてしまう。唯一ヒートアップする質疑は憲法改正だけか。朝からなーんだの一幕。

がらりと話題を変える。世の中にはどうもこの人生理的に受け付けられないと思う人は居る。女性では人の話を聞く時に顎を突き出して聞くタイプ。齢がいっているのに若い時と同じような仕草をする女優とか、議員を辞めてネットを騒がしている人、斜に構えてビールの宣伝をする人、ファッションについて一くさりする元モデルとか。その仕草が可愛いと思っているか、相手をなめているかのどちらかにしか思えない。じゃあもし、彼女達が眼の前に居てそんな素ぶりで私の話を聞いたら?会う機会などないから仮定の質問には答えられないが、可愛いいと思ってしまう可能性は否定できない。男性では兎に形を気にする人、元お笑いの人で芸術家ぶって目にも肩にも思い切り力を入れて絵筆を運ぶ人とか、中味ペラペラなのに大御所を気取る落語家、正義漢ぶってMCをする役者とか、やたら政治通ぶる評論家とか。もし彼らが眼の前に居たら?一応サインは貰っておくか。

長いサラリーマン生活で恐らく何千人も出会いがあったが、生理的に受け付けないとか、嫌いだと言う人は極少数である。しかし、縁が切れた今でも許せない者が二人いる。一人は表と裏の顔があり、一人は人間として大欠陥があった人だ。両者に共通していたのは上の覚えがめでたくサラリーマンとしては申し分のない出世をした。一人は途中で道を外し首同然に会社を追われたが、事業家としての才能はあったと思う。一人は巨大企業の重役まで上り詰めたがリタイアしてからの噂は聞かない。リーダーシップのオ―ラだけは半端無くあったと思うがやくざ紛いの親分子分関係のリーダーでしかなかった。今でもこちらが嫌いなくらいだから私の事を思い出す機会があったら彼らも私を嫌っていると思う。彼らとの間では色んな事があったが、どちらが正しかった(出世という意味ではなく)かと言えば、リタイアしてからも殆どの人から笑顔で挨拶して貰える自分だと勝手に思ってはいる。負け惜しみでもそう思わなければならない。ただ、彼らもまだ存命だし、結構名も知られているので何があったかは未だ詳しくは記録に残せない。大して能力も無い自分だが、真面目に仕事をし、正直で人と接する事だけを頼りに過ごしたサラリーマン人生に悔は無い。もし道に迷うサラリーマンが居たら、真面目で正直にやっておれば人生最低点は取れると教えてあげたい。

もしやり直しの人生があったとしても絶対に出来ない事、政治家になること、金持ちになることくらいだろうか。もしかしたら出来るかも知れない事、絵描き、モノ書きならなれるかも知れない。

 


裁量労働制

2018-01-30 08:56:48 | 仕事に関すること

好きな番組の一つに国会中継がある。ちょっと前までは経済産業省の太陽光発電の関連委員会を傍聴に行ったり、ネットで中継を見る事が多かったのだが様変わりである。考えて見れば委員会は仕事の一環であったが、国会中継は趣味である。平日の昼間ということで多分主婦(あまり見ないかも)かリタイアした人達が見ているだろう。ところが一問一答形式の予算委員会でもあまり盛り上がらない。質問は事前通告制で優秀な官僚が徹夜で答案を作成しているためぬかりは無い。籠池氏や佐川理財局長(現国税庁長官)のようなスーパースターが居ない事も今一つ盛り上がらない原因である。多分こう答えるであろうと思う質問も結構ある。野党側は、多分×××とお答えになるとは思いますが、とかの前置きを言って質問すれば良いのにとも思うが、その時はその通りですと答えるだけなのだろう。固唾を呑んで答弁を待つくらいの鋭い質問を野党に期待しても無理なのかも知れない。それから何と言っても日本人にはユーモアのセンスが無さ過ぎる。無理ならせめてパンチの利いた皮肉くらいはやりとりしてもよさそうに思うが、多分真面目な視聴者からはふざけている、国会を軽視しているとお叱りを受けるのだろう。その点では欧米の方が進んでいるように思う。

夫人の国会招致をしつこく言われているが、「呼んでも怖くて一言も喋れないと思いますよ。いえ質問がじゃなくて姑が怖い。」などと首相は言わないだろうな。佐川氏が国税庁長官に栄転したのはおかしいと責められて、「小話で、スリの名人がとうとう捕まってしまい、裁判で話を聞くうちに身の上の哀れに同情した裁判官が、保釈金を積めば出所できますよと優しく宥めた。しかしスリは、その保釈金が無いんですと泣きだしてしまった。」「すぐこの者を戻って来ると約束した上で暫く仮釈放しなさい。」わかりますか?同じことですよ。8億円の値引くらいなんですか、彼なら屁理屈を付けてでも直ぐに取り戻しますよ。皆さんから。」麻生さんなら言いかねないから怖い。

働き方改革で裁量労働制が問題になっている。勤めていた会社でも採用していた。最初は時間カウントが出来ないということで外勤営業マンが見做し残業ということで定額が上乗せになった。同じ営業部でも管理など内勤の者も居り、残業規制が厳しくなる中であいつ等は喫茶店に行っても定額が上乗せ、と不満もあったが時間管理ができないという点では已むを得ないところもあった。次は研究開発部門に裁量労働制という言葉で残業カウントではなく定額上乗せが行われた。これは成果主義を目指したものであった。勿論裁量労働は各個人ではなく職種、具体的にはグループに課せられる。当然成果もグループ単位である。グループのリーダーは成果を出すために必死、部下もじゃあこれでと勝手に帰ることはできない。運よく課せられた成果が出ると、次の上位目標がグループに課せられる。何時も一番最後まで会社に残っていたのは研究開発グループである。

個人商店の集まりのような商社と異なり、多くの会社は集団で成果責任を負う。久し振りにかつての部下で他社に移った男に会ったとき、仕事はどうと聞いたら、同じ仕事なら人より早く終わってしまうので周りからアイツは全力を出していないとか言われチンタラ仕事をする奴と同じ給料ですよという。自慢じゃなく、確かに頭は良く仕事の要領も良い男だった。成果を定量化するのは本当に難しい。個人の裁量で働く時間を決められる人は殆どいないと思う。グループなら何とかなっても、多くのグループは扶養家族的メンバーを抱えており、労働時間の短縮にはまずならない。

誰かが言っていたが、外勤営業でもスマホやタブレットで可也時間カウントはできる可能性はある。逆に労働者にとっては厳しいかも知れないが。研究開発などではリーダーの資質が大きく労働時間を左右する。資質といっても人間性にまで及ぶから相当難しい。スリを野に放てと言った余裕のある裁判官のようなリーダーなどまず存在しない。現役だったらどうだ?勿論6頭だてであろうと10頭だてであろうと思い切りムチを揮って馬車を走らせていただろう。足の遅い馬はしんどかったと思う。


何だかきな臭い

2018-01-29 09:20:07 | 社会観察

日曜の昼間有名なTV番組で憲法改正について討論があった。討論会というよりバラエティ番組なので面白可笑しく構成しているが、出演者に現役有名政治家がおり結構真剣なやりとりに見えた。護衛艦を空母化してF35Bが発着可能な空母化にするとか、北朝鮮に届く敵基地攻撃能力を有した長距離巡航ミサイルは専守防衛といえるのかとか。ところが肝心なことは誰も言わない。何処までが防衛で何処からが攻撃になるのか線引きをしない。もし、アフリカの小国がICBMを開発し、核爆弾も搭載可能、しかも日本をアメリカの手先と見做しているとしたらアメリカは敵基地を叩くICBMを売ってくれるのだろうか、勿論アメリカ本土も射程に入るICBMだ。核攻撃に対する抑止には核を持つことしかないと言えばアメリカは日本の核開発を許してくれるのだろうか。

いやいやそこまでやる必要は無い、日米同盟によりアメリカが守るから安心せよとブレーキを掛けるだろう。無制限の軍拡抑止力はアメリカ自身である。何時何処が敵国になるかも知れない国際社会で装備が防衛用とか攻撃用と言うのはナンセンスである。全ての戦争は国益を守る、地域の平和と安全のためという理由で始まる。侵略始めますなどという筈が無い。

生意気な女性国際政治学者、ちょっと美形なのであまりボロクソには言えないが、が野党議員に対して、永世中立国を目指しながら日米同盟の役割分担を持ち出すのは二枚舌ではないかと罵った。時間軸を無視した暴論である。今時共産党だって自衛隊の存在を認めている。将来どうするかの議論無くしては憲法がその場その場の条例レベルに落ちてしまう。安倍さんの言うようにこの国の形があっての改正である。選挙好きの私でもそうしょっちゅう国民投票には行けない。何十年も耐え得る改正が必要だ。時代に合わせるのは法律で十分である。軍拡の歯止めを言われた時に論客の石破さんは何故「アメリカの脅威にならない範囲で軍備は増強する。コストパフォーマンスからして輸入した方がよければ買う。」くらい開き直らないないのか。真剣に相手の話を聞いているようで、そんなことも分からないのかという上から目線が垣間見えるのは昼間バラエティの視聴者にとってはマイナスである。国会の場ではないのだから。

今朝(月曜)の新聞を読んで驚いた。何人かの専門家がアメリカ政府内で北朝鮮攻撃の圧力が高まっているとのこと。それもピョンチャンオリンピックの後という。攻撃は中東で行ったように軍基地攻撃に限定されるだろう、それでも反撃による韓国の被害は甚大であると。日本政府が在韓邦人救出の検討も始めているという。トム・クランシーの軍事シミュレーション小説さながらである。

直距離巡航ミサイルを導入する前で良かった。導入していたら、おい、お前も撃てとなる。護衛艦を空母化する前で良かった。F35Bを追加発注して搭載しついて来いとなる。地域の平和と安全を守るためという大義に逆らうのは結構難しい。憲法を改正する前で良かった。憲法改正後だったら必ず、憲法を改正したから戦争に巻き込まれたという輩が必ず出て来る。

不謹慎で冗談にも程があると思う人も居るだろう。そう、冗談で不謹慎であることを願ってブログを書いた。


仕事遺産

2018-01-28 09:10:46 | 仕事に関すること

勿論土地建物預貯金のことでは無い。そんなものは雀の涙程もない。ここでは仕事上で何がしかの爪跡を残せたかと言う意味だ。アイデアと閃きだけの人生だったように思う。大方は普通に考えれば奇想天外、荒唐無稽なアイデアと思われるかも知れないが偶に当たることがあるので人生は面白い。

トルファンでは天山山脈の雪解け水を麓の乾燥地帯まで運ぶための地下水道(カレーズ)を見た時、何と凄いアイデアだと思った。地表の水路では貴重な水は蒸発してしまう。 山の勾配を利用すれば水勾配は簡単にとることができる。麓で食べたブドウやメロンの味は未だに忘れられない。地球アンコールワットなど遺跡には古代人の知恵が詰まったものも多くある。ピラミッドは権威の象徴であろうがその建設方法については未だに解明されていない。継承しなくとも宇宙人が到来して何がしかの遺跡を残した可能性は地球46億年の歴史スケールでは否定できない。勿論現存する遺跡はホモ・サピエンスのてによるものだが。最近大きな発見があった。アフリカに誕生したホモサピエンスが中東を経由してユーラシア大陸に拡散していった証拠がイスラエルで人骨の化石が発見されたという。ホモサピエンスの大陸移動は化石から明らかだったが分岐点である中東地域は唯一化石の発見が無い空白地帯であったとか。

歴史的に継承されるアイデアは世界遺産として残るが個人レベルまで分解すると噴飯もので箸にも棒にも掛らないものは山ほどある。太陽光発電で歴史的建造物になりそうなものは未だ無いが、一度だけもしかしたらと思ったことがある。横浜国大で水素利用の大家であった先生と学会や施設見学会で度々会う機会があった。気難しい学者のオ―ラが漂う人だったが、スウィーツ、特にアイスクリームが大好きだったのを覚えている。その先生の構想で太平洋に巨大筏を浮かべて熱発電で水を電気分解して水素を作り液化してタンカ-で運ぶというものがある。後に熱発電は光発電に変わったが構想は同じである。残念ながら水素の液化に膨大なエネルギーを要すること、水素利用は化学製品の添加物や還元剤としての利用が主で燃料としての実用が殆ど無かったため実現はしなかった。しかし今でも国際宇宙ステーションより遥かに使い勝手があり現実に近いと思う。太平洋、大西洋、インド洋に巨大筏を浮かべて各国が共同して筏の街句建設を請け負う。「一体一炉計画」とでも言うべきか。

凡庸な私でも実現していれば遺跡ならずとも後世、素人アイデアとしては最先端と評価されたものも幾つかある。と思っている。インドの乾燥地帯にある運河を太陽電池パネルを天蓋にして蒸発分を減らそうというアイデアがあった。カレーズのアイデアにいたく感心した延長である。残念ながらこれはアメリカのメーカに先を越されて一部実現してしまった。折角蒸発損失まで計算して提案していたが。テムズ川に巨大な台船を浮かべて太陽電池を載せ(メガフロート)る提案をしたことがある。実際に現地調査のためウェストミンスター橋の傍のマリオットホテルに宿泊した。橋の向こうにはBig Benが見える。テムズ川に浮かべて岸に係留すると朝は日陰になる。対岸に係留して夕方には 此岸に曳航しようと言う案で纏めた。市に顔が利くという現地コンサルタントだったが一向に許可が下りない。詐欺とまでは行かなかったが甘い話に乗ってしまった結末だ。それならばと中東まで曳航し、海岸で淡水化装置を動かす案に切り替えた。不要になったら次の係留地に曳航する。面白いアイデアだったが誰も乗って来なかった。少し後にロシアから原子力発電船を作って陸上に送電するというアイアを出したが偶然だろう。

テムズに懲りもせず、国内に帰ってからは内水面の利用ということでダム湖に浮かべる案を作った。しかしダム湖は流木が多いという理由で没、そもそもダム湖周辺では電気の需要が無くオンサイト発電にはならない。それなら讃岐の溜め池に浮かべ水の蒸発を防ごうとしたが、未利用の土地が腐るほどあり池に浮かべるメリットは無かった。これらのアイデアは天山山脈に源を発する。用地確保が難しくなってきた最近でこそ水上立地の浮体式工法が出てきたがテムズ川さえ実現していれば少なくとも日本メーカー初だった。

日本初では空港と水道局への導入は旨く行った。水道局は後に他のメーカーだが天蓋や浮体式のものまで実現した。空港設置は国内実績より前にマレーシアから話があり目を付けていた。有名な建築事務所からの引き合いであった。代表の奥さんは元美人女優。何度か打ち合わせに行ったが芸術家風の設計士は明らかに概算見積もりを提出した時点から態度が変わった。興味を失ってしまったのだ。こちらもタダ働きをさせられた腹いせに、最後は、今日奥さんは見えられていませんか、奥さんに頼まれればもう少し安くしたのですが」と軽口を叩いて終わった。オーストラリアの空港でも別の話があり、結構力を入れてパソコンで美しいパースまで作って提案した。しかし向こうが本気ではなかった。アイデアは次々浮かんだが、アイデアや構想を言うだけでパソコンで美しい完成予想図を描くのが得意の部下とか、発電シミュレーションに長けている部下とかスタッフにも恵まれており提案型営業では最先端を行っていた。

この時代の前に途上国を散々周り政府機関に提案書のプレゼンもし、奥地の現地調査に行った時代もあるがブログを始めた頃に幾つか書いた記憶がある。しかし、途上国の時代、市場開拓の時代とも、時代に先んじて動いていたように思うが蠅の足跡を辿るようなもので痕跡は薄い。それらの前の研究開発の時代には相当大きな成果を残し、今でも世界で使われている技術があるが、詳細は書いていない。人間関係が複雑な時代で、多くの人が存命で傷つく人も居るから書けない。成果を残した当時の仲間もまた色んな会社で活躍しており証人にはなるだろうが過去の事で人を傷つけるのは本意でない。


腹が立つほど寒い

2018-01-27 09:40:08 | 日記

この所寒い日が続いている。天気予報によれば北極海上空の寒気団が日本列島を覆っており、それが寄せたり引いたりしている。予報は良く当たるし原因も良く納得できる。しかし連日のこの寒さは感情的には怒りさえ覚え、それを持って行く場がない。昔はこれほど寒いと思わなかった。マイナス30度、極寒の2月のモンゴルに何度も出掛けたが、周りの人が寒い寒いという割には感じなかった。防寒着を着て顔だけが露出していたが面の皮は3枚張りで寒さに強かったのかも知れない。

本で読んだが、アフリカに住む人達は手足が細くて長い、極地に住むイヌイットの人達は逆に短く所謂寸胴型の体形である。これは手足が放熱(フィン)の役割をしているからだとのこと。体積に比べて表面積が大きければ当然放熱フィンの役割を果たすだろうと納得した。自身は中肉中背(日本人としては)で何の特徴も無いが、昔はもう少し太っていた。表面積比は今より小さかったから。

おまけに先日は4年振りの積雪とかで15㎝くらい積った。積雪と太陽電池の関係にも思い出がある。会社の建物は直方体の角を切り落としたように南面に大きな太陽電池アレイを設置していた。雪が積もる機会は何年に一度あるかないかで貴重である。そんな日は誰よりも早く会社に出掛け、定点観測写真を撮った。融雪、落雪の具合を観察するためである。当時積雪地方に太陽電池設置の例は少なく、特に積雪の後晴れれば大きな発電損失となることは分かっていた。積雪の一部でも残ると血栓で血流が止まるように発電電流が糞詰まり状態で、見た目の面積以上に発電損失は増える。建物の大きなアレイは熱伝導と暖かい大気の対流で上部より融けて行く。アレイ面のちょっとした出っ張りに引っ掛かり融け難くなるし、アレイ最下部の鉄骨を覆った化粧板は大量の雪を堰き止めて中々融けない。地上に設置したアレイを見る滑り落ちた雪が地面の雪とブリッジを作りそれ以上落ちない。可能な限りアレイ表面に突起部を作らない、地上設置の場合、落雪の場所確保のため全面に穴を掘るか、アレイ自体の地上高をあげなければならないことは分かった。

融雪、落雪実験は別の場所でも行ってビデオ撮影していた。確かにブリッジが出来てそこから進まない。編集していないビデオだったので長時間見るのに飽きて、早回ししたら、現地の作業員がアレイの前を横切った瞬間ドサッと落雪した。何の事はない、作業員が雪のブリッジを壊してしまったのだ。こんなもの何の役に立つのかと説教はしたが。積もった雪をモジュールの上に乗せて積雪厚と太陽電池出力の関係も調べた。1㎝くらいでもう殆ど発電しない。ただ、人工的に乗せた雪の密度と自然の積雪では違うだろうと、会社のリクレーションでスキーに行った時、モジュールを持ちこんで実験をした。猛烈に寒い時で雪は積もるのではなく、横から飛んで来てモジュールガラス表面にいきなり氷着する。文科省の極地研究所に出荷したモジュールが南極で水木一郎のマフラーのような形で横向きの氷柱に覆われたことを思いだした。自然の積雪とは何かがさっぱり分からなくなった。

アレイの上に積雪したものを溶かす実験も思いついた。太陽電池の出力電流の方向とは逆(ダイオードとしては順方向)に電流を流し、太陽電池自体を温めて積雪界面を溶かして落雪を促す方法だ。結構太陽電池は暖められるし、商用電力を使うから費用的にも知れている。ところが太陽電池は発電機としての安全基準や規則はあるが、発熱体としての基準は無い。法的根拠に乏しいこの方法は品質管理のOKが出なかった。誰に指示されるでもなく、思いついたことを直ぐ実験に移したあの頃は今思えば楽しい時期であった。チャレンジする事が山ほどあった時代はラッキーだったかも知れない。今はただ寒さが身に沁みる。