自由の森日記

埼玉県飯能市にある自由の森学園の日常を校長をはじめ教員たちが紹介

韓国のオルタナティブスクール サンマウル高校

2009年08月13日 | 自由の森のこんなこと
 韓国講座の研修旅行に途中から合流して、韓国の江華島にあるサンマウル高校に行ってきました。サンマウルとは「山の村」という意味で、農業や環境、共同体や平和の価値を重視しているオルタナティブスクールです。全寮制で現在の生徒数は約60名。3年前から交流が始まり、今年の冬にはサンマウルの生徒たちが自由の森に来て授業体験を行っていました。
 両国の生徒たちは、それぞれの文化についての発表と交流を行ったり、10代の自殺の問題などをめぐって話し合いを行いました。僕は校長先生をはじめ、教員の方々や生徒の保護者から、学校の考え方や韓国の教育事情について詳しくお話しを聞くことができました。
 韓国で学歴競争が過熱していることはよく知られていることですが、そのような中で学校に行けなくなる(行かなくなる)生徒も少なくなく、保護者の方々も、自分の価値観を見直すきっかけになったと話されていました。自由の森ととても共通点があるように感じます。生徒の表情や雰囲気も自由の森の生徒と近いものを感じました。
 興味深いことは、米と麦、イモ類は生徒たちが育てて完全に自給していること。いただいたトマトは、声を上げるくらいおいしかった。
 校舎は木と土で作られた平屋建て。校庭には大きなソーラーパネルが2基設置されており、電力もほぼ自給できているそうです。おまけに、地熱を利用した空調システムがあり、各教室のエアコンも地下300mから取り出された温風(冷気)が引き込まれていました。
 一方、考えさせられたのは、サンマウル高校は私立の高校でありながら、授業料は公立高校と同じだということです。寄宿舎での生活費は別ですが、教員の人件費は国家が負担するという制度なのだそうです。様々な共通点もありながら、この部分では大きな違いを感じざるをえませんでした。
 冬には、またサンマウルの生徒たちが来校する予定です。

鬼沢真之
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