自由の森日記

埼玉県飯能市にある自由の森学園の日常を校長をはじめ教員たちが紹介

高校修学旅行報告会

2013年08月05日 | 自由の森のこんなこと

夏休みに入りしばらくたちました。やっと日記を書く時間がとれたので、遅くなりましたが、高校修学旅行報告会の様子を書きたいと思います。

7月17日に高校の修学旅行報告会が行われました。会場内は、高校3年と報告会に招待された2年の生徒でいっぱいの状態。会場の密度も濃かったのですが、報告会の内容もなかなか濃い内容でした。
まず、修学旅行実行委員会から、旅行をつくっていく過程で、何を大事にしてどんな課題意識をもちながら進めてきたのかという報告がありました。
実行委員会が大事にしようと呼びかけてきたことは、①学びのある旅、②多くの人が参加できる旅、③一人ひとりが作り上げることができる旅、④人との交流を大切にする旅、の4つの点だったそうです。

次に各コースがそれぞれ工夫しながら報告をしました。
まず、北の大地が呼んでいるコース(北海道・知床半島)
湿原や原生林を歩いたり、牧場体験をしたり、野生生物に出会ったりといった知床の自然を体感する旅であり、そしてアイヌ文化と出会う旅でした。「どうしたら一人ひとりがつくりあげていく旅になるのか」という課題をもちながら追求していった様子が分かりました。

次に、瀬戸内芸術の旅コース(瀬戸内海・直島ほか)
瀬戸内国際芸術祭が開催され、「現代芸術」の島として注目されている瀬戸内海の島々をめぐる旅でした。このコースは美術科の教員の提案により実現したコースです。そのため、「いかにこのコースを自分たちのものにすることができるのか」ということと、「みんなで美術館をめぐることで生まれるものとは何か」といった課題をもちながらの旅だったようです。

次に、えっころごっちょコース(四国・四万十川流域)
海と山と川の自然のつながりの強い四万十川流域に住む人々に出会う旅でした。「人に出会う」ためにホームスティを中心としたコースでした。報告会では「過疎とはどういうことなのか」「限界集落とはなにか」ということが人と出会うことにより実感として理解できたということが伝わってきました。

その次は、琉球文化コース(沖縄本島)
琉球文化に出会うために、前半はホームスティを中心に、後半は食文化や伝統工芸体験を中心に行う旅でした。報告会では、事前のコースミーティングの時に「文化を体験するだけでいいのか」という問題提起が出され、基地問題を学習することになり、基地見学等も日程に加えることになり、今の沖縄の現実を知ることの大切さも語られていました。

タシロスと共に座間味コース(沖縄座間味島・カヌー)
沖縄の座間味島をカヌーで1周するというコースです。行うことは単純だけどそのための準備や練習の大切さ、そして何よりも安全な旅をどのように実現するのかという大きな課題を持った旅だったようです。メンバーが「生活」「環境」「MFA」といった5つの係に分かれ、それぞれの仕事・役割を明確にすることにより、乗り越えていったことが分かりました。

どのコースもこれから修学旅行をつくっていく高校2年生に伝えようということがよく分かる報告でした。それぞれの課題や困難を持ちながらも、何とか乗り越えようとしてきたことがわかる報告だったと思います。
そして、高校3年生が向き合ったことは旅をつくる上での課題だけでなく、今回の旅の中でもさまざまな課題や問題にも出会ったのだと思います。あるコースは自然環境の問題だったり、あるコースは少数民族の文化だったり、また、過疎の問題であったり、基地問題や伝統文化の問題もあったことでしょう。そうしたことが体感できることがこの修学旅行の醍醐味なのだと思います。
この報告を受けて、2年生はこの秋からいよいよ修学旅行づくりが始まります。ぜひ、いい旅をつくっていってください。そして、3年生のみなさんご苦労様でした。


 


新井達也


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