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第1,204話 「君付け」で後輩や部下を呼ぶ人の意識とは

2024年02月21日 | コミュニケーション

「社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。

「先輩社員から『〇〇君』と、「さん」付けではなく呼ばれることに抵抗があります。これはビジネスマナーのルール違反にはならないのでしょうか?」

これは、先日弊社が若手社員の研修を担当させていただいた際に、ビジネスマナーの振り返りをした中で、一人の受講者から尋ねられた質問です。ちなみにこの「君付け」、最近の学校では男女を問わず「さん」と呼ぶことが多くなっているようですが、一方で国会中継などを見ていると議員のことを呼ぶ際に「〇〇君」と言っています。そこでここではあくまで職場での呼び方について考えてみたいと思います。

さて、職場内では以前から他者のことを「〇〇さん」ではなく、「〇〇君」と君付けで呼ぶ人がいます。実際、私が会社員をしていたときにも、後輩社員を「〇〇君」と呼ぶ同僚がいましたし、現在も研修を担当させていただいている会社の担当者が、後輩社員を「〇〇君」と呼んでいるのを頻繁に耳にしています。

それでは「〇〇さん」でなく、敢えて「〇〇君」と呼ぶのには何か理由があるのでしょうか。以前から気になっていたことから、実際に職場で君付けをしている人に尋ねてみたことがあるのですが、一様に「親しみを込めて使っている」との返答でした。本人はあくまでポジティブな気持ちから使用しているようなのですが、一方では冒頭の質問をした受講者のように、君付けで呼ばれることに抵抗感を持っている人も少なからずいるのではないかと感じています。

いくら「親しみを込めて言っている」としても、目上の人に対してはさすがに君付けでは呼ばないはずです。そのように考えると、君付けをしている人は後輩社員に対して、無意識であったにしても「自分より目下の存在である」というような、何らかの意識が働いているのではないでしょうか。そのため、職場などで何かのきっかけで相手に対する言動が「上から目線」になったり、上から下への命令口調になったりしやすいということがあるのではないかと考えています。

これに関連して、先日(2024年2月17日)の朝日新聞の天声人語に、刑務所や拘置所などに収容されているすべての人について、今年4月から「名字+さん」でよばれることになるという記事が載っていました。かつては番号で呼ばれたという受刑者について、戦後は番号ではなく苗字を呼び捨てで呼ばれることが多くなったとのことでしたが、以前に起こった刑務官による受刑者への暴行事件等を受けた改革の一環として、呼び方を「さん」付けに変えるとのことでした。

ちなみに、「さん」は江戸時代に「様」から転じて使われるようになったということで、年齢や性別に左右されずに誰にでも使用できる呼び方とのことです。確かに「君」より「さん」のほうが語感も柔らかいように感じられ、使いやすいように思えます。

「たかが呼び方、されど呼び方」かもしれませんが、同時に朝日新聞の記事にもあったように、「呼び方」によっては様々な(上下の)関係のあり方が固定されてしまうというような面も持っているのではないでしょうか。これまでは、小さなこととしてあまり真剣に取り上げられることが少なかったテーマかもしれませんが、私は人の気持ちに大きく影響する大切な事柄なのではないかと考えています。

さて、あなたは職場でどのような呼び方を使っていますか?また、あなたの職場全体ではどうでしょうか?もし、呼び方が職場の人間関係などに何らかの影響を及ぼしている可能性が考えられるのなら、一度皆で話し合って別の呼び方を試してみてはいかがでしょうか。

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