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「部下とのコミュニケーションは1on1 ミーティングがありますから大丈夫です」
近年、「1on1 ミーティング」という言葉を聞くことが増えたと感じています。弊社では管理職昇格試験の面接における外部面接官を担わせていただくことがありますが、その際の口頭試問においても「1on1でコミュニケーションは積極的にとっていますから」と答える人が多数います。また、管理職研修を担当させていただく際にも、部下とのコミュニケーションを取る手段として同様に1on1ミーティングを挙げる管理職が増えてきたと感じています。このように、最近1on1ミーティングを行えばコミュニケーションは万全だと考えている人が多くなったように思います。
この「1on1 ミーティング」(one on one meeting)とは、文字通り一対一で行う面談であり、上司が部下の育成を目的に部下の仕事に対しての考えや問題点の有無を確認したり、今後の展望や希望などを確認したりすることを目的として行うものです。このミーティングは1~3か月に1度位の頻度で開催しているところが多いようです。
1on1 ミーティングを導入したことによって、部下とのコミュニケーションの時間をなかなか作れなかった管理職が定期的に部下との接点を持つことができるようになり、部下の現状や考えを知ることができる機会になるなど、メリットを感じている人の声をたくさん聴きます。
一方、部下の方からは1on1により上司との接点は増えたものの、上司からの一方的な話を聞くだけだったり、自身が話をする時間はあまりないと感じていたりするなど、1on1 ミーティングのメリットを感じないという声を聞くことも少なくありません。
実際、先日お会いしたある企業の中堅社員からは、「仕事における問題を解決するために他部署との交渉の援助を依頼したものの、一向に上司が動いてくれることはなかった。話をしても何も変わらず、何のためのミーティングだったのか。このような結果をもたらさないミーティングであれば、実施する意味を見出せない」という声を聞きました。
この話を聞いて思ったのは、1on1ミーティングはあくまでも「手段」であって「目的」ではないのですが、管理職によっては1on1ミーティングを行うことが目的となってしまっている人が少なからずいるのかもしれないということです。
それでは、1on1 ミーティングを意味のあるものにするためには、どうすればよいのでしょうか。
そもそも、1on1という言葉が出てくる以前から上司と部下との1対1の面談は行われていたわけで、1on1自体が取り立てて新しいことではないのですが、対面して行う面談を本当に有効なものにするためには、その際の上司の「話の進め方」が鍵になるのではないかと考えています。
対面で面談を行う目的は、部下の仕事の現状や問題点、今後の展望などを確認し、必要なアドバイスをすることです。そのためには、部下からきちんと話を聞きだすことがまず必要になることから、上司は事前に質問・確認する内容を整理しておくとともに、話を傾聴するなどのコミュニケーションの基本を改めて確認しておくことが大切です。事前に十分に準備して面談に臨めば、部下からたくさんの情報を収集することができ、的確なアドバイスを行うことができます。それによって部下の気持ちのリフレッシュも期待できるのではないでしょうか。
漫然と1on1 ミーティングを行ったり、話が一方通行で終わったりするなどの事態にならないようにするために、上司の皆さんには事前に十分な準備と段取りをしてからミーティングに臨んでいただきたいと考えています。