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学歴フィルターとGoogleの看板

2015年08月30日 | コンサルティング

学歴フィルターとは、就職活動中の学生を大学名でふるいにかけることです。選考時はもちろん、それ以前の説明会への予約すらできなくするというものです。

「学歴フィルター」を一躍有名にした新聞記事があります。

「日本大学に通う女子学生(21)は昨年12月、志望企業が採用説明会への参加申し込みをネットで受け付け始めた。名前や大学名は事前に登録済みだ。申し込みボタンを押そうとスマートフォンで採用ページを開いた瞬間、目を疑った。画面には、全日程が、「満席」「満席」「満席」……。」 同じ説明会に申し込むと言っていた上智大の友人に電話。友人の「えっ、満席になってないよ」の言葉に、はっとした。・・・」 (出典:朝日新聞デジタル、2014年3月30日)

ほとんどの企業は「大学名は問いません」と公式には言っていますが、エントリー時にこうしたふるい分けが存在していることは事実です。ちなみに、「NAVERまとめ」(http://matome.naver.jp/)によればフィルターは次の4段階になっているそうです。

①戦略系コンサルティングファーム・投資銀行・五大商社・資産運用会社等で採用
⇒東京一工(東大・京大・一橋大・東工大)+早慶上位(経済・政治経済・法・理工)

②一般層に知名度の高い東証一部上場大手一流大企業で採用
⇒上記大学+旧帝下位・早慶下位+上位国立(神戸横国筑波・金岡千広・農繊名電)+上智理科

③東証一部上場大企業で採用
⇒上記大学+中堅国立(埼玉・信州・静岡・滋賀・新潟等)+MARCH・関関同立

④中堅企業(非上場)で採用
⇒上記大学+下位国立+日東駒専・産近甲龍・四工大以上が内定者一般層

さて、企業(特に大企業)が学歴フィルターを設定する理由を考えてみましょう。

まず、一流大学の出身者がそれ以外の出身者と比べて、従業員として概ね優秀であるという「結果」です。この結果は長い時間かけて企業内での出世競争などによって観測された事実です。

次に、インターネットでエントリーを受け付けるようになって、志望者の数が爆発的に増えたことです。実際に有名企業では、募集人数の数百倍から数千倍のエントリーがあるのはごくあたりまえのことです。

1人当たりの採用コストが同じだとすれば、以上の2点から「良い人材が採れる確率の高い一流大学に絞った方が、費用対効果に優れている」という結論になります。もちろん、多くの大学を隈なく受け入れて優秀な人材を見つける方が、企業にとってメリットがあることは百も承知です。

フィルターのおかげで出来の悪い一流大学の出身者を入社させたり、とんでもなく優秀な学生を逃してしまったかもしれません。

しかし、採用に膨大なコストと時間をかけることはできません。

言い方は悪いですが「福引で、当たりくじがたくさん入っている抽選箱と少ない抽選箱があったとき、福引券の枚数が限られているとしたらどうするか」ということになります。

とはいえ、採用する大学をいつまでも絞っていると、人材の多様性が失われ、環境の変化に対応する力が低下してしまう恐れがあります。では、どうしたらよいのでしょう・・・。

上の画像は、2004年にアメリカの西海岸の高速道路沿いに現れた謎の看板です。これが、Google社の求人広告であることをご存知の方もいらっしゃるでしょう。

この看板を訳すと「eの連続する桁で、最初に出てくる10桁の素数.com」となります。理系の方は、小文字のeを見た瞬間に自然対数の底(ネイピア数)、2.718281828459・・・という無理数であることがわかったと思います。

10桁の素数ですから、2.71828以下の数字の並びの中から素数だけが10個連続している部分を見つけなければなりません。基本的には高校数学と表計算で解けるらしいです※。

答えは、7427466391です。

そして、ネットで7427466391.comにアクセスすると次の問題があり、それをクリアしていくとGoogle Labsの求人情報画面が現れるそうです(当然、今はありません)。

Googleが必要とする人材(この例ではエンジニア)に何を求めているのか、よくわかりますね。

企業にとって人の採用は大変難しい問題ですが、一度くらい例年通りの「ネットでエントリー ⇒ フィルタリング ⇒ ・・・」という手法を止めて、Googleのようなちょっとひねった募集方法を試してみるのも良いのではないでしょうか。

もっともそれが可能な企業は極めて限られているでしょうけれど。

(人材育成社)

※ Googleの求人広告~自然対数の底eと素数の求め方 < 永野数学塾塾長日記(永野裕之のblog)


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