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THE PIANIST
2002フランス/ドイツ/ポーランド/イギリス
監督:ロマン・ポランスキー
原作:ウワディスワフ・シュピルマン
脚本:ロナルド・ハーウッド、ロマン・ポランスキー
出演:エイドリアン・ブロディ、トーマス・クレッチマン、エミリア・フォックス
すごかったな。
ドイツ占領下のポーランド・ワルシャワで辛くも逃げ延びたユダヤ人ピアニストの体験記をベースにした作品。
ピアニスト(シュピルマン)の視点でみた当時のワルシャワの状況を徹底的に視覚化してやろうという意志を感じた。
占領端緒はまだシュピルマンも街を歩けたので、ドイツが徐々にユダヤ人を迫害していく街の様子が克明に描かれる。
後半、ゲットーでの強制労働から逃亡し隠れ家での生活に入ると、窓や穴から外を覗く視点に移行する。ユダヤ人居住区からの抵抗や、ドイツ兵の傍若無人は、窓から見下ろす視線で描かれる。
次第に情報から疎遠になり、同時に食料や水もなくなり、当面今を生き延びることが主眼となってくる。強制収容所での惨劇も、連合国による解放もシュピルマンには大きなニュースとしては伝わらず、従って映画中でも大きく描かれることはない。
この絞り込むような視点の変化が、緊張感と臨場感を生んでいる。
それにしても可視化への情熱はすごいものがあった。
果てしなく続くユダヤ人居住区の家並み。あれがセットであることは最後に廃墟となった居住区でわかる。あの廃墟を遠近法で遥かに見渡すことにこだわりがあったに違いない。
日に日にみすぼらしくなるユダヤ人たちの服装。餓え。行き倒れの死体が転がる通り。夜、突如やってくるドイツ兵によるユダヤ人一家の虐殺。気まぐれに行われる銃殺。ぞっとするほど実物に似ている移送貨車。
シュピルマンの目にしたものは徹底的に写実的に描かれる。
この情熱は実際占領下のポーランドを逃げ惑った体験をもつポランスキーの執念なのだろうか。
敗者が映像をもたないことへの怒りをこめた埋め合わせのようなことだろうか。
***
音楽が極端に抑えられているのも特徴的だ。
「ミュンヘン」でも「パラダイス・ナウ」でもそうだったが、音楽は特定の状況においてのみ使われる。
この映画でもそう。自ずとシュピルマンがラスト近くで弾くショパンが異様に際だって聴こえることになる。(あのシーンは、なんだか「芸は身を助く」みたいで凡人には残酷なシーンのようでもあるが)
***
日本ではどうだろうか。
被占領国であった朝鮮、台湾、中国などの映画は、あの時代をどのように映像可しているだろうか。
ゴダールはこの映画をみてなんというだろうか。
やはり史実の可視化の政治性について、苦言のひとつでも口にするだろうか。
これを観る前にアラン・レネ「夜と霧」を観た。
こちらは「戦場のピアニスト」では描かれない強制収容所の映像であるが、移送貨車など、当時の映像を見ることができる。
二本立てとしてはなかなか重い組み合せであるが、内容的に補完しあっているかもしれない。
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