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SUNSET BOULEVARD
1950アメリカ
監督:ビリー・ワイルダー
脚本:ビリー・ワイルダー、チャールズ・ブラケット、D・M・マーシュマン・Jr
音楽:フランツ・ワックスマン
出演:グロリア・スワンソン、ウィリアム・ホールデン、エリッヒ・フォン・シュトロハイム、ナンシー・オルソン、フレッド・クラーク、ジャック・ウェッブ、ヘッダ・ホッパー、バスター・キートン、セシル・B・デミル
デヴィッド・リンチのお気に入りの1作ということでセレクトしてみました。
あらすじなどは他を参照していただくとして、この映画をみてたら、虚実まきこんで猛烈に目眩を感じたので、その辺を列挙。
●ノーマ?/グロリア?
主人公のノーマ・デズモンドは無声映画時代のスターだったが、いまや忘れられた存在。しかし自分ではそのことを認めることが出来ない。そのノーマを演じるグロリア・スワンソンも、撮影時にはすでに過去の人であり、主役を張るのは20年ぶりだったとのこと。
そのノーマ/スワンソンが、かつて自分が君臨したパラマウントの撮影所をおとずれ、セシル・B・デミル監督本人に会うシーンがある。デミルはまさにスワンソンをスターにした監督である。この邂逅はノーマが演じているのか?それともスワンソン本人のシーンなのか?あの、スタジオの門でのやりとりやスタジオ内でとりまかれるシーンは虚構なのか?現実なのか?
この領域侵犯感にくらくらしてしまふ。
パラマウントのスタジオもセットも実際の撮影所のものだし、撮影所とセットを「ロケ」したという面白いシチュエーションである。
ちなみにあのスタジオ(no8だったか?)の外壁風景は、リンチ「インランド・エンパイア」でも舐められていて(no14だったか?)、もしかしたらリンチは意識していたかもしれない。
●マックス=元映画監督
執事マックスは、かつてはノーマのデビュー作を撮った監督であり、かつノーマの最初の夫であるという設定であるが、マックスを演じるエリッヒ・フォン・シュトロハイムは実際に20~30年代に異様な存在感で君臨した映画監督。しかもノーマ役のグロリア・スワンソンは、かつてシュトロハイムの監督した作品に出演しており、実際ふたりは恋仲だったという。
ノーマが自分が主演した過去のフィルムを観て恍惚となるシーンでかかるフィルムは、まさにシュトロハイムが過去に撮ったスワンソン主演の映画である。マックスのセリフに、「彼女を見いだしはしたが、幸せには出来なかった」とかいうようなのがあったが、これは実際のシュトロハイムのセリフであるといってもいいかもしれない。
これはシュトロハイムとスワンソンの胸中を想像するに、すごいシーンでは?
●銀幕のスターたち
無声映画のスターがノーマの家に集まってブリッジをするシーンは、実際に無声映画で活躍した(つまり現在は落ち目の?)俳優が演じているとのこと。確かに、そのうちの一人はキートンだよ!「パス」ばっかしでくすりと笑わせてくれていますね~
●語り手は誰だ?
でもいちばん面白いのはこの物語の語り手が誰だ?というところですかね。オープニングのシーンは試写の時はまったく違うシーンだったということだけど、それを書いちゃうと正真正銘のネタバレになっちまうからね。
ここんとこが結構リンチ的かもしれないな。プールのアングルとかね。
でもって、この語りを聞いている我々とはいったい誰だ?という、(めるつばうさんのおっしゃる)無限後退に似たような、自分を俯瞰してしまうような感覚に襲われる。これがいい。
ビリー・ワイルダーおそるべし。
****
オープニングの異常な視点からの一続きのショットは実にリンチ的というか、ワイルダーの方が先なんだけれども。
リンチは「マルホランド・ドライブ」のときかなんかにパラマウントの正門を撮ろうとしたら、シンボルマークの撮影許可が下りなかったと回想しているが、「サンセット大通り」では平然と映っている。
ナンシー・オルソンが利発でかつ初々しい恋人役を好演。すてきな女性。
全体的に、幻惑されながらも、どこか安心して身を預けられるような感覚もあり、これが50年代ハリウッドの力なのでしょう。
それはワイルダーはじめ、多くの亡命者による力ともいえるでしょう。
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